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(2006.1.15 静岡・つま恋乗馬倶楽部)
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ビートくん、待機馬場
待機馬場ではいたって普通の駈歩なんですけどねぇ…。


この週末は、静岡のつま恋乗馬倶楽部で開催されるホースフェスティバルに出場します。つま恋と言えばオリンピック選手が所属し、頻繁に公式競技を開催している名門ですが、今回のフェスティバルは気楽な運動会のようなものらしい。一緒に参加するAちゃんに聞いたところによると、O先生が「武道館でカラオケやるようなもの」と言ったとか言わないとか。
競技は土日ともほぼ同内容で進行するため、自分で出場する曜日が選べます。さすがにつま恋は遠いので、土曜は移動&見学にあて、日曜に出場することにしました。

土曜日、Aちゃん、Sさん一家、相方&わたしの6人でつま恋へ。東京を出たときは曇りだったのですが、昼前につま恋に到着したときには本格的に雨が降りだし、室内馬場で競技を見ているうちに土砂降りになってしまいました。
しかも天候のせいか疲れが出たのか、持病の偏頭痛が出てしまいました。薬を飲もうとしたら、1回分しかない。明日の分が不安だけど、今飲んでおかないともっとひどくなるしなー。薬を飲んだらだいぶ治まったので、みんなで夕食(という名目の呑み)をとって就寝。
日曜の朝起きてみると、偏頭痛がかえってひどくなっています。ついでに旅先だと必ずお腹をこわすわたし、はっきり言って最低の体調。薬はもうないし、気力で乗りきるしかないのか…。

ジムカーナにSさん一家が出場したあと、2課目の開始時間が近づいてきました。ちょっと早めに集合場所に行くと、インストラクターらしき人に挨拶されたので、こちらからも挨拶。インストラクターさんは進行表を見ながら、「KYOKOさんの乗る馬は1番目に出てから乗り代わりですね。1番目の人をしっかり見ていてくださいね」と言ってくれました。
いよいよ開始寸前。選手が14人しかいないからなのか、本馬場の脇に全員立って待機。本馬場に1頭、待機馬場に1頭。それ以外の馬は馬場の脇で「常歩で」と言われるので、フラットワークらしきことができるのは自分の直前の一人が演技している5分程度だけ。
それにしても、ハットをかぶるとちょうど偏頭痛のするこめかみに当たって、がんがんする。出番が来るまで、こめかみに当たらないようにハットをあみだに被っていることにしました。

いよいよ2課目の競技が始まり、わたしの乗るビートくんが馬場に出ました。ビートくんは茶色がかったブランケット模様で、あれはたぶんアパルーサだな。見ていると、ハミ受けさせるのはかなり難しそうだけど、他の馬と違ってティーディマンや折り返し手綱などの余計な器具がついていないので、全く受けさせられないわけでもないだろう。あらら、隅角どころか蹄跡すら踏まないよ。結構わがままなのかも。
1番目の人の演技が終わり、待機馬場に引き上げてきたので乗り代わろうとしたら、引いていたスタッフさんに「もう少ししてから乗りましょう」と言われ、ビートくんは室内馬場の外に引いていかれました。出場の寸前にならないと乗れないのか。ちっ。

あと3人で出番というとき、再びビートくんが室内馬場の中に引かれてきました。踏み台のところまで連れてきてもらって乗ろうとすると、スタッフさんが少し慌てたように「あ、鞭いらないです」と言います。そこまで軽そうにも見えなかったが、もしかして物見ちゃんか。そりゃ参った。
騎乗して、まだ待機馬場には入れないので、馬場の脇で常歩。細長いところなので、半巻きを繰り返しながら歩かせます。確かに鞭はいらないけど、やっぱワガママだな、曲がらないや。内方の座骨を軸に据え、外方脚をすこし大げさに引いてやっと曲がる感じです。

出番まであと1人となり、待機馬場へ。ここからは女性インストラクターが見てくれるようです。何しろ5分しかないので、発進に対する反応を確認するくらいしかできなさそう。
先生の号令で、右手前から軽速歩。発進はわりと簡単でしたが、とんでもなく軽いわけでもなく、拍車に敏感とかそういうのはなさそうだ。でもなんとなく内にささろうとしてるかな。「外方下げて、もう少し強く持ってあげて。内方いじらない」と言われ、外方の拳を強めにしてみると少し安定してきました。屈撓まではいかないけど、ハミも少し受けてきたかな。
号令に従って左手前にしてみると、様相が一変。輪乗りの手前を換えようとしたところでワガママしようとするところから始まり、どんどん内にささってきて、ハミ受けなんてどこへやら。馬も外を向いているし、つまりこの馬って右のハミを全然とらないんじゃん。案外ワガママだし。
輪乗りがどんどん小さくなっていくので、先生が「輪乗りをしようとしないで、ラチ沿いを大きく回らせるつもりで動かして」と言います。普通なら蹄跡に1歩だけ触れるように輪乗りをしますが、蹄跡を数歩行進するくらいのつもりでライン取りしてちょうどいいみたい。

常歩から駈歩の号令。すぐ側の本馬場では演技中で、こっちが駈歩を出して中の馬がつられたら気の毒なので、そっちをやり過ごしてからA点の裏ポイント(待機馬場はA点に面しています)で駈歩発進。
拍車も何もいらず、半減却と座骨で簡単にふわっと出ました。少し最初は馬と自分のリズムがずれている感じでしたが、鞍の前のほうに座るように意識していくと、「だいぶ馬になじんできた感じですね。いいですよ」と言ってもらえました。
右手前でもA点の裏ポイントを選んで駈歩発進。あ、こっちのほうが少し楽だな。速歩のときと同じで、ラインも狙いやすい。

両手前で2〜3周ずつしたところで、直前の人の演技が終わったようです。いったん号令で常歩にしたあと、速歩の号令がかかったので右手前で速歩。ここは自分で、経路が右手前で始まるからフラットワークの最後は右手前でいくと決めていたのですが、先生も「そう、右手前がいいですね」と言ったのであながち間違いではないはず。
「そこから、まっすぐ馬場に入りましょう」と言われ、待機馬場からA点に向かって直進。うわ、この速歩じゃ勢いが足りないよ。A点を踏む直前で強めに脚を使ったら、ぱっと前進気勢のある速歩に切り替わりました。あ、この馬いい。ちゃんと試合を分かってるじゃないか。でもずいぶん右によれたり、左によれたりするな(あとでビデオ見ると、1歩ごとに馬が船ゆすりするような速歩になっていて、ジャッジシートには「スイング」と書かれていました)。

X点で停止、敬礼。右手前で発進、うん、この速歩ならいいとこいけるんじゃないか。C点で蹄跡に入り、斜め手前変換。あれ、思ったほど伸びない。これなら入場のときの速歩のほうがよっぽど良かったな。
A点から3湾曲、うわー、この馬ってば蹄跡踏む気がこれっぽっちもないよ。むしろ蹄跡から離れていこうとする馬を、必死で脚で押しとどめます。3湾曲には内方姿勢の入れ替えが必須ですが、内方姿勢どころか外向いてるし。本当に左のハミしかとらないんだな。この際しょうがない。外方の拳を下げ、内方の拳を大げさに控えて、無碍に内方姿勢をとらせます。とにかく湾曲の頂点で蹄跡を1歩だけ踏むことには成功し、蹄跡へ。うわー、隅角踏ませにくい。

長蹄跡での中間速歩はイマイチ伸びず、A点で常歩。F点で斜め手前変換し、手綱を少しずつ伸ばします。あ、こりゃ下手に拍車使うと速歩出ちゃうな。わたしが下手なことをすると馬が勝手に走りそうな予感があったので、極力馬になにもしないよう、そーっと手綱を伸ばしてそーっと手綱を持ち直します。
持ち直したところで、もう馬が行きたくてしょうがないのが伝わってくる。たぶん油断したら、C点より前で駈歩出ちゃうな。まだだよ、まだだよと座骨で押さえ、手綱を控え、C点まで死ぬ気で押さえこみつつ、C点通過時点で譲ると、ぱっと駈歩が出ました。よーし、成功だ。
駈歩で1歩、2歩、3歩、そして輪乗りが蹄跡に触れたあたりで、ぐっと馬が加速しました。しまった、引っかかった!!

それでもまだ、すぐに抑えられると思っていました。ちょっとくらい走られても、そのまま輪乗りを続ければいいや。
ところが、右手前で走っているはずの馬が、長蹄跡が正面に迫ってきたところで左に曲がってしまいました(気が付かなかったけど、ここで踏歩転換したらしい)。もうこの時点で経路違反は確定だけど、どうやれば戻れるんだ。そう考える間にも馬は加速してぐんぐんかっとばし、数歩もいかないうちに短蹄跡のラチが目の前に迫ってきます。
このままじゃラチ跳んじゃうな。跳んだらその先にはSさんがいて、日の出チーム同士で迷惑かけたくないし、っていうか跳んだら場外失権じゃん。ダメダメ。とっさに無理矢理方向転換したら、今度はわたしのバランスが崩れて鐙が外れてしまいました。くそう、こんなところで初落馬か、ビデオに残っちゃうな。って、落馬も失権じゃん。落ちてたまるかっての。
バランスを崩したことで手綱が緩んだのが良かったのか、馬の速度が緩みました。速歩にまでは落とせませんが、だいぶふつうの駈歩になってきた。とりあえずC点からやり直ししていいかどうか、審判席まで聞きに行こう。

どうやら速歩に落としてC点に戻ってくると、審判の先生が「あなた経路は分かってるよね。馬がイライラしてるようだから、駈歩しないで速歩で行きなさい。ほーほーって声かけながら、ゆっくり回ってきなさい」と言われました。駈歩するなと言われたのに、無理に駈歩して余計ヤバイことになっても恥ずかしいなぁと思い、素直に速歩で輪乗りから始めます。
速歩で輪乗りをしていると、馬も少し落ち着いたよう。長蹄跡でも速歩のまま、無理に伸ばさなかった(伸ばせなかった、とも言えるけど)のですが、速歩だと長蹄跡ってとてつもなく長いな。さっき走られたときは一瞬だったのに。どっかで駈歩しちゃおうかな、いやいやそれで走られたらどうにもならないぞ。

斜め手前変換からX点で常歩に落とし、蹄跡へ。C点手前にさしかかったとき、審判席から声がかかりました。「怖くなかったら、駈歩でやっていいよ。怖かったら速歩でもかまわないから」怖いとか怖くないとかじゃないです、先生。まだ競技なんだもん。大した点数が出ないことは分かっているけど、これ以上下げたくはない。
まだ馬は外を向いているので正手前が出せるかどうか分からなかったけど、とにかくC点で駈歩発進。思ったよりもすんなり、ゆっくりと駈歩が出ました。でも馬が内にささってくるのを防ぐことができず、輪乗りというにはあまりにも小さくなってしまいました。「そう、小さくていいよ、馬を落ち着かせて」と先生には言われましたが、実は小さくしたんじゃなくて小さくなっちゃっただけなんですけどね(笑)。
隅角もそうとう浅くなってしまいましたが、もうとにかく無事に回れればいいや。長蹄跡もちょっと譲るだけで、伸ばす努力はあまりしませんでしたが、隅角から斜め手前変換のあたりは少し馬がカッとなっちゃったらしく、また止めにくくなってしまいました。X点をだいぶ過ぎてからやっと速歩に落とせて、H点でどうにか常歩に。
C点からそーっとそーっと速歩発進、B点からの半輪乗りの図形はまぁまぁ。ここまできたら、終わりだけはきちんとまとめないと。C点に向かって直進、G点の手前で止まってしまいそうな馬を脚で前に出しながら、G点で停止。すでに立ち上がっている審判に向かって敬礼、答礼を受けて、やっと終わった…。

手綱を伸ばして歩かせながら、審判席に向かって「ありがとうございました」と言うと、先生が顔をあげて「はい」と笑ってくれました。まぁ、とにかく回ってこられてよかった。
待機馬場に戻ると、指導してくれたインストラクターが「どうしちゃったんですか〜?」そりゃわたしも聞きたいよ…(まぁある意味では、待機馬場での乗りはそんなに悪くなかったのに、という評価とも受け取れるけど)。
「いやー、全然分からないです。拍車刺しちゃったのかなぁ」と答えましたが、すぐに拍車ではなかったなと思いました。拍車だったとしたら、もっと発進の瞬間にどうにかなってるだろうし、頭を上げるなり跳ねるなりしただろう。それに、左手前も同じことになってるだろうし。
下馬すると、日の出チームのAちゃんがわたしよりも泣きそうな顔をしていて、「KYOKOさ〜ん、帰ってきてくれてよかったぁ〜〜」と手を握られました。たぶん走られてるほうより、見てるほうが怖かったでしょうね。ご心配かけました。

当然ながら順位は最下位でしたが、点数は48%。経路違反があるので40%も貰えればありがたいくらいだな、と思っていたので、意外な高得点でした。
怒られるならさっさと怒られておこうと、日の出のお昼休憩時間を狙って経過報告の電話を入れました。ちょうどN子先生が出たので、覚悟を決めて「やっちゃいました」というと、「何やったの(ちょっとドスきかせ気味)」「あのー、前半はけっこう良かったんですよ。C点で駈歩するまではけっこう良かったんです」「…で?」「…走られました。引っかかって、馬場ぐるぐる走り回っちゃった」「だーかーらー、いつも言ってるでしょっ!! 馬を前に出してないから余計走っちゃうの。座骨で抑えてなかったんでしょ、まったくもう!!」ぐうの音も出ない。っていうか、先生ってば見てもいないのに、なんでそんなこと分かっちゃうの。
「でもジャッジ甘かったです。48%もくれました」「そりゃ甘いな。まぁ、経路違反は2点減だからな」「でも駈歩やめて、速歩で踏めって言われた部分があって、不実施とられてるかも」「そんなこと言われるの、屈辱的だと思いな」「思いましたよぉ、そりゃ」「まったく。グーちゃんにいつまでも跳ねられてる場合じゃないよ。ちゃんと座骨で抑えてかないと」まったくです。

このあと気が抜けたらしく、どんどん偏頭痛がひどくなって、チームにはご迷惑おかけしました。
あとでジャッジシートを見てみると、駈歩のところ以外はすべて5と6。ということは、駈歩のところも普通に回っていれば、55%は出せてたかもしれない。そう考えると余計にくやしいなぁ、くそう。またリベンジに行かなきゃ!

ビートくん、入場
A点より入場。ここだけ見ると馬場っぽい(顎譲ってないけど)。


ビートくん、かかる
かかった!
しかも手前換えようとしてる、かな?


ビートくん、やり直し
やり直しの左駈歩。いたってふつう…。



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