←277鞍目 外乗・思ったよりワイルド
(2005.9.8 北海道・ホースガーデンMURANAKA)
外乗→
村中さんち
川に出る道も、増水のため水浸かり…。ふだんはただの藪なんですが。


村中さんち
右手の川が濁っているのがお分かりいただけると思います。
鈴姫ちゃん、道草食おうとしてるし(笑)。
相方と結婚して以来、隔年で行っている夏の北海道旅行も今年で3回目。今年も何ヶ月も前から綿密に計画を立て、乗馬と元競走馬見学三昧の日々を過ごすのを楽しみにしていました。ところが、その数日前から日本には今年一番の台風が来て、日本をナメるように縦断。なんと北海道に上陸するのが、わたしたちが飛行機に乗るその日の早朝だというではありませんか。
なんとか早く通り過ぎてくれ〜、と祈りながら迎えた当日の朝。ぎりぎりで台風が通り過ぎてくれて、飛行機も無事運航することになりました。でも到着は予定時刻より30分遅れ。10時半に千歳に到着、まだ台風はオホーツク海上空にいるとのことで、風が強いようです。そこから最初の訪問地は、ホースガーデンMURANAKA。一昨年も外乗させてもらったどさんこ牧場で、人間大好きのどさんこたちとオーナーのムラナカさんの人柄に惹かれて、今年も予約しておいたのでした。

空港からレンタカーでぶっとばしたのですが(相方が)、どうしても到着は12時過ぎそう。予約した騎乗時間は13時だから、どこかお店に入ってお昼を食べる時間はなさそう。ムラナカさんに電話して、「コンビニでお昼買ってくから、そちらで食べさせてください〜」と頼むと、「じゃあおいで」と言ってくれたので、コンビニから直接ムラナカさんちへ。
到着して、敷地内に車を乗り入れると、表に出ていたムラナカさんが出迎えてくれました。そのままクラブハウスに入れてもらい、コンビニで買ったおにぎりとおでんを食べながら、ムラナカさんとおしゃべり。以前日の出のスタッフだったKさんが北海道で働いていたころ、よくここに手伝いに来ていたという縁もあって、ムラナカさんは2年前に1度来たきりのわたしたちのことをよく覚えてくれていました。
食べ終ったところでそろそろ13時になるので、着替えをさせてもらって外に出ます。あぁ、風が強いなぁ。今日は2時間の外乗を予約していますが、台風の余波で川に降りられないことと、15時から別のお客さんが入ってしまっているので、少し時間が短くなってもいいかと聞かれ、OKしました。この人、時間が短いのに料金は正規の値段でとるなんてことは絶対しない人だし。

まずわたしから、準備されていた馬に乗ります。用意されていた3頭の中では一番ちいさい馬で、牝馬のようです。なにしろどさんこは背が低いので踏み台なんて必要なく、鐙に足をかけてさらっと騎乗してしまえます。ムラナカさんに鐙を合わせてもらいましたが、かなり短かったので自分で1穴長くしました。ホント言うと、それでもふだんの鐙から考えると2穴短かった。ふだんは馬場乗りなので長鐙だということもあるし、外乗のときは短めのほうが不測の事態に対処しやすいので、短めでいいことにしました。
相方が騎乗する間、内馬場(というか、とりあえず駐車スペースや倉庫のあるあたり)を常歩で輪乗りして待っていますが、この子ったらどんどん内に刺さっていく。内方脚で外に押し出すとか、そういう小細工は通用しそうにない。でも内に入りたいところと入りたくないところがあるらしいので、入りたくないところで輪を大きめに調節して、輪が小さくなりすぎるのを防いでおきます。まぁ馬場で乗る馬ではないので、大きく反抗されるのでなければこのくらいはいいことにするか。

相方とムラナカさんの準備が整ったので、ムラナカさん&雪柳、わたし&鈴姫、相方&和姫の順で外へ。ホースガーデンMURANAKAの敷地のすぐ外に広がる草地の中にできているほそい道を抜けていきますが、私の乗っている鈴姫はできている道をどうしても踏もうとせず、ちょっと外れて歩きたがります。相方の和姫は一昨年わたしが乗った馬ですが、もんのすごい道草女王で、相方もコースに出るなり苦労させられているよう。
草地を抜けてすぐ、砂利道に出たところで速歩にすると、鈴姫が雪柳を追い越そうとします。どさんこだから駈歩で飛び出したりはしないんだけど、頭を上げてどんどん前に出て行こうとして、制御不能だぁ。「止めて、これ(雪柳)の後ろにつけて」とムラナカさんの言うとおり、苦労しながらも止めて雪柳の後ろで常歩にすると、落ち着いたようです。
「それ(鈴姫)、石が足の裏に当たるのキライだから、草のあるところ歩きたいんだよね」なるほど、今わたしたちが速歩をしようとした道は砂利道で、しかも台風で流されたのか石がごろごろ露出してきているところ。その脇の草が生えているところを走りたかったので、雪柳を抜くような格好になってしまったわけなのね。さっき道を外れて歩いてたのも同じ理由だったのね。どさんこは爪が丈夫だと言うんだけど、石の上がキライだなんてヘンな子。

それにしても風が強い。しばらく行くと、先頭の雪柳がびたっと止まって、[イヤイヤ〜]と後退しようとします。そこに建っているプレハブの建物を見たみたいなのですが、風が強いせいもあったのかも。ムラナカさんが手綱の余りを鞭のように使って、何度か[行くの][イヤ〜]の応酬をしたあと、ようやく雪柳が前へ。後ろに続く鈴姫は別に何も気にしないふうでついていきます。
川のそばまで来ると、これがまた凄い濁流。以前来たときには、子どもが遊べるような浅い流れだったはずですが、今日は土色の水がどうどうと渦を巻いて流れ、ささやかなダムはまるで滝のよう。「ごめんね、川に入るのは無理だね」「川はまた今度でいいですよ」だってまた来るつもりだし。
とか言いながら川沿いの藪をこいで進んでいると、いつの間にか藪の足もとも水でびちゃびちゃになってきました。びちゃびちゃというよりは、もう浅い川を進んでいるくらいの感じ。視界が開けたと思ったら、そこは濁流のうねる川。ひえー、おそろしい、と思いながらも雪柳の後ろをついて歩くと、ムラナカさんと雪柳はじゃぶじゃぶと川の水べりを歩いていきます。増水がなければ河川敷と呼ばれる部分なんだろうが、今は思いっきり川の一部となっているところ(左の写真:3枚目)。水の深さはわたしの鐙のすぐ下くらいまであり、相方は膝を曲げて足が濡れないようにしなければならなかったらしい。どうか馬が血迷って川に突っ込んだりしませんように、と祈りながら水べりを通り抜け、水のないところに上がったときはホッとしました。

橋の下の道を抜けて(これもどさんこだからできること。上を電車が通るような橋の下、サラでくぐるのはちと怖い)、少し広めの道に出ようとしたところで、止まれの合図がかかりました。
「ダメだ、自衛隊さんが演習やってる。引き返すね」ほんとだ、迷彩服の人がなにか機械に乗ってる。ここのコースは自衛隊駐屯地すれすれを通るので、こういうこともあるのです。ほどなく「どーん」という大きな音が何度も聞こえてきたのは大砲の音だとか(空砲だそうだけど、それでもかなり大きかった)。
「もう、川はダメだし、自衛隊さんはいるし、あっちもこっちも行けないよ、ほんとに困ったなあ」とヘコむムラナカさんに、「今日は時間短縮してもいいですよ、また来るし」「悪いなぁ…。あさって東京帰るまえに時間あったら寄ってね、空いてる時間あるから。あさってなら川も大丈夫だろうし」なるほど、じゃあそうしようかな。

林の中を進むと、ところどころ台風で木が倒れたりしています。「ちょっと待ってね」とムラナカさんが下馬して、枝を折ったり倒木をどかしたりして進む場面もあり、なかなかワイルドな状況。
そんな中、ひときわ太い倒木が。ムラナカさんが動かそうとしましたが周りの枝などに引っ掛かって動かず、かと言って折れる太さでもない。動かせるだけ動かしたムラナカさんが、ついにまたぐ判断をしました。どさんこは丈夫な馬だけど、小さいし跳ぶ訓練もしてないだろうし、またいだ先は馬場と違って林だから木があるんだよね…。
まず雪柳ちゃんがまたぎましたが、後肢を引っ掛かけてなかなか通過できません。もしかしてどさんこって、後肢たためないのかなぁ。
続いて鈴姫をまたがせると、前肢は普通にまたいだのですが、後肢でまたぐ瞬間に馬が慌ててしまい、2〜3歩先に立っていた雪柳に速歩で突っ込んでいく格好に。ぎりぎりで向きを変えさせ、雪柳の横から馬体をぶつける感じになって止まりました。わたしの脚が鈴姫のお腹と雪柳のお尻の間で挟まれ、潰されるところでした。むぎゅう。

そうやって通り抜けた先に、突然芝生の広場が開けました。「前はここまで来たっけ? ここは冬、スケートリンクになるの」なるほど、このコンクリート舗装部分に水を撒くと、勝手に凍ってスケートリンクができるって寸法ね。
「ここ下るよ」と、土手のようなところを下ります。かなり傾斜がきつく(たぶん25〜30度くらい)、とても真っ直ぐ下れるような坂ではないので「馬を横にして」と、馬体を下る方向に対して真横にし、斜め横足の要領で坂を下ります。
「こっちはホッケー場。夏はテニスコートに使ってるみたいね」なるほど、長方形のコンクリート面の両端にゴールポストらしいものがくっついています。芝生の広場を一周し、さっき下ってきた土手を今度は上って、もとの道へ。
さっき倒木をまたいだ道へ入り、「鈴姫はまたぐとき慌てちゃうから気をつけてね」と、まず雪柳からまたごうとしますが、どうもこちら側からだと状況が違うらしく、「やっぱり無理そうだなあ…。違う道にしよう。ちょっとUターンするね」確かに倒木のすぐ目の前には木が生えていて、さっきみたいに慌ててまたがれると正面衝突しちゃうかも。

Uターンして芝生の広場に戻り、林沿いにしばらく速歩。速歩でちょっとペースを上げると、鈴姫ときたら勝手に駈歩になります。あれ、どさんこって駈歩しないはずじゃ? 和姫に乗ったときは、ほとんど駈歩出なかったけど、鈴姫は早い速歩だとすぐ駈歩にしてしまいます。まぁ引っかかって走るわけではないので、抑え気味の駈歩のままでも雪柳を追い越すこともないのですが。わりとふわふわの駈歩だから乗りやすいし。
「そいつすぐ駈歩しちゃうでしょー。だから、駈歩やりたい人にはそいつに乗ってもらうの。どさんこは駈歩しないって知らない人も多いからね」あ、そういうこと。
そうやってかなり遠回りをして、また川沿いの道に戻ってきました(方向音痴なので、どう戻ったかなんて記憶にありません)。

月見草とすすきの茂る草原ごしに、ホースガーデンMURANAKAの敷地が見えてきました。道のわきに小さな放牧場があって、中に小さな馬がいるようです。
「あれ、今年産まれた仔っこ。今年は3頭つけたけど2頭は早産でダメで、残ったのあれだけなの」と話しながら放牧場に近づくと、1頭の仔馬がわたしたち(というかムラナカさん)の姿を見るや、たたたたっと速歩で走りよってきました。ひ〜、かわいい。
牧柵の間から顔を出してきた仔馬に馬上からかまっていると(左の写真:4枚目)、仔馬の後ろからのっそりのっそり、母馬が歩いてきて、牧柵の上から顔を出してきました。わたしの乗っている鈴姫はあんまり他馬と仲良くやるタイプではないみたい(雪柳とも途中でケンカしそうになったし…)なので、「鈴ちゃん、その子のママとケンカしないでね」と言ったのですが、やっぱり鈴姫はケンカを売って「ぴー!」と鳴いていました(笑)。女の子だから、立ち上がって威嚇したりしないだけマシですけどね。

ぱらぱらと小雨が落ちはじめたころ、ホースガーデンMURANAKAの敷地内へ。風も出てきて、けっこう涼しくなってきました。
下馬して3頭をつないでおき、クラブハウスの中でお茶をもらいました。ちなみに料金は「1時間半だったから6000円で」、いやー安い。北海道に来たら必ず行く場所のひとつになっています。

村中さんち
カメラの不具合できれいに映っていませんが、川のほとりのよどみ。足下の茶色い部分は、砂ではなくて川の水です。右の茂みからちょっとでも外に出たら、絶対濁流に流されるぅ〜〜。

村中さんち
わたしたちの姿を認めて、走り寄ってきたどさんこの仔。かわいい。


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