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(2006.5.6 八王子市・八王子乗馬倶楽部)
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コンスタンチン、待機馬場
走られてます走られてます。待機馬場なのに。

今日は八王子乗馬倶楽部(以下HRC)での八王子市民大会。今回も2課目に出場することにしています。前日にO先生から来た連絡によると、今回の騎乗馬はサーコンスタンチン。乗ったことのない馬です。
当日の朝、ひとまず日の出へ。以前サーコンスタンチンに乗ったことのあるCちゃんがいたので、どんな馬だったか聞いてみると「あんまり覚えてないけど、簡単にハミ受けてくれたよ」だそうです。確かCちゃんはその馬で入賞してたような気がするし、乗りやすい馬だろうと期待することにしました。
自分の出番は14時ごろの予定ですが、日の出チームでは午前中に出番がある人もいるので、11時ごろにNさんの車でHRCへ。やたらといいお天気で、こりゃ燕尾服着たら暑いだろうなぁ。

プログラムが進み、わたしの出番が近づいてきました。2課目のなかでは9番目の出場になりますが、サーコンスタンチンには3番目の人(HRCの会員さん)が乗るので、その人が終わってからの乗り代わりになります。
今回も鞍を持ってきているので、出番が終わって待機馬場から出てきたサーコンスタンチンとM先生をつかまえて挨拶し、鞍を換えさせてもらいました。M先生は相方は障碍でよくお世話になっていますが、わたしは初めてです。
騎乗して待機馬場に入りましたが、ちょっと混んでいたので「しばらく歩いていましょう」ということで常歩。コンスタンチン、重いと聞いてたけど全然重くないじゃん。むしろ脚を使いすぎると、元気のいい常歩を通りこして速歩になってしまう感じ。

「じゃあ速歩していいですよ。僕見てますから、自由に運動してください」おや、M先生はこういうタイプか。今まで当たったHRCの先生は、みんな細かく号令をくれるタイプだったので新鮮。普段の練習ではフラットワークなんて放置プレイなので、まぁいつもやってることをやればいいのですが、いつもと違うのは待機馬場にたくさんの人馬がいること。しかも、馬場内は左側通行というのは世界共通のはずなのに、わたしが左によけようとしたら相手は(向こうから見て)右によける人が何人かいて、危ないったらない。気にしなきゃいいようなものですが、先々を見て動こうと思うとつい気になってしまう。
一度などは、蹄跡を使おうとしたら相手が避けてくれなかったので、山型乗りのようにして避けたら「そんなに気を使わなくていいですよ(笑)」とM先生に笑われてしまいました。

ハミ受けを狙うのは少し駈歩してからでいいやと思っていたので、最初の速歩ではハミをいじることはしませんでした。
「じゃあ少し駈歩してみますか? 好きなところで、輪乗りでいきましょうか」と言われ、ちょっと駈歩発進してみましたが、速歩が出てしまいました。止めてやり直そうとしたら、余計ハミにつっかかっていく感じで、速歩でたーっと走ってしまい、止まってくれません。あれ? この子ってもしかして、前持ちすぎるとダメなタイプか?
なんとか止めて発進し直すと、今度はスムーズに発進しました。が、どうしても内側にもたれてきて、なんとなく輪が小さくなっていきます。
内方脚が足りないんだな、と思ってちょっとずつ脚を使っていったとき、馬が少し跳ねるような感じがあってから、ぐっと沈みこみました。うわ、この感じ、覚えがある。走られる。しかも先週のロッキーなんかとは比べ物にならないくらい、引っ掛かり方に力がある。

走っちゃったものは引っ張っても無駄かと思い、手綱をくれてやろうとしたら余計加速しそうになったので、慌てて持ち直します。制御不能ながらも他の人馬がいないところを探して、待機馬場の奥のポケットへ。
うわ、このままじゃ外ラチにぶつかるって。そこでなんとか速歩に落とそうと思えば思うほど、馬は加速する。なんとか外ラチにはぶつからずに済んだものの、次に目の前に現れたのは本馬場の低いラチ。やば、このラチまたいで本馬場に入っちゃったらどうしよう。
死ぬ気で方向を変えたら、あとはもとの場所の馬群に突っ込むよりない。さすがに全ての人馬が停止してくれていたので、馬群を縫うように突っ込んだら、HRCのマネージャーS先生が「巻いて、巻いて!」と言っているのが聞こえました。そうだ、走られたら巻き乗りに持ち込むのは鉄則じゃん。無理矢理内方の鐙を踏み込み、内方の手綱を力ずくで控えてみると、なんとか巻き乗りに持ち込めそう。ようやく速歩に落ちかけたとき、「そうだ、もっと巻いて、もっと」とまたS先生の声がしたので、常歩に落とせるまで巻き乗りを続けました。

ようやく停止すると、すぐさまM先生が飛んできて馬の口をとってくれました。
「大丈夫ですか?」「大丈夫なんですかねぇ…」大丈夫じゃないです、もう下ろしてって言えたらどんなに楽だろう。正直、駈歩するのが怖い。
でもわたしは、今あきらめちゃいけない。今度こそあきらめちゃいけない。数日前、I野先生と交わした会話が蘇ります。以前アトラスに膠着されたとき、あんなにあっさりあきらめるべきではなかった、わたしは自分でそう言ったのだから。

「速歩からやってみましょうか。今度は号令かけますから」「はい、お願いします」「ちょっと脚が動いちゃうみたいだから、鐙つめましょう」鐙を短くして速歩してみると、今度はえらく短い。もともと、普段の練習では長めにしていて、試合だから1穴つめて乗っていたところをまたつめたのですから、都合2穴も短いことになります。
軽速歩と速歩のあと、「輪乗りでゆっくり駈歩してみましょう」とM先生。もちろん、本番の前にもう一度駈歩しておかないといけないとは思っているけど、かなりどきどき。
でもさっき走られたのとは違う右手前だし、輪乗りだから大丈夫、と自分に言い聞かせて発進。難なく駈歩が出て、やっぱり内側に刺さり気味にはなるけどかかる気配はない。でも、鐙をつめたせいか駈歩の歩毎にお尻が浮くのがイヤな感じ。これじゃツーポイントだし(いや、ホントの障碍のツーポイントはもっと鐙短いと思うけど、慣れていないもんで)。
M先生に、「丸拍は持ってきていませんか?」と聞かれましたが、今日に限って持ってきていない。他の先生が倶楽部の備品を探して持ってきてくれましたが、丸拍といっても2センチのものしかなかったみたい。それでも棒拍よりは安心なので、着けなおしてもらいました。

そうこうするうちに出番が近づいてきたので、入場門の近くまでいきます。ついでに、やっぱり鐙が短すぎる気がするので、止めて1穴伸ばさせてもらいました。
そこで速歩を始めると、近くにいたハトがばさばさと飛んできました。コンスタンチンが驚かないといいけどなぁ、と思っていると、なんと1羽がコンスタンチンの頭の上に止まろうとする! 当然ながらコンスタンチンは[ぎゃあ]とびっくりして横に飛びすさりました。あーもー、なんだか全ての流れが向いてない気がしてきたぞ。

やがて入場ベルが鳴り、速歩で2〜3周輪乗りをしてから入場。X点で停止しますが、やっぱりうまく止まれない。いつも停止だけはわりといい点数が取れるのですが、今回はきちっと止まれなかったので主審から「4」をつけられてしまいました。
さすがに速歩発進は問題なく、斜め手前変換へ。ここで下手に拍車を使いすぎたりして馬を荒らすよりは、今日は堅実にいこう。次の三湾曲はラインは悪くないけど、どうも左手前の内方姿勢がうまくいかない。
その次の長蹄跡の中間速歩も、少しは伸ばしたものの、やっぱり慎重になりすぎたせいで伸展不足。なんか馬の鼻面が外側向いてる感じだし、ちょっと左のハミ固いのかしら。
A点で常歩に落とし、F点から斜めに手前を換えながら手綱を伸ばします。拍車を使うと絶対速歩になると思ったので、座骨だけでリズムを作っていきます。お、これは悪くないぞ。

H点で手綱を持ち直すと、ちょっと頭を上げてきそうになったので、目立たないように外方と内方の拳を交互に握ります。ハミをきちんと受けているところまではいかないものの、頭は下がった。よしよし、このまま駈歩に持ち込むぞ。
C点手前で半減却を使い、座骨から駈歩発進。お、今のはベストのタイミング! あとでビデオで確認すると1歩早いような気もしますが、主審・副審ともここの駈歩は「6」をつけているので、悪くはなかったのでしょう。
ところが輪乗りの後半くらいから、ちょっと馬に持っていかれ気味になってきました。あれあれ、拍車当てちゃったのかな、と思ってかかとを離すように意識してみたのですが、蹄跡に入るとますます馬が焦ってぶっとんでいく感じ。

持って行かれたまま長蹄跡に入ると、ついに馬の動きについていけなくなり、お尻が浮いてしまいました。こうなるともう、馬は焦るばかり。隅角なんて輪乗り同然、それでも馬は経路を知っているので斜めに手前は換えてくれるので、まだリカバーできるはず。とにかくX点で速歩に落とせれば。…落とせない。
でもとにかく蹄跡に入るまでに速歩に落とせればなんとかなる、と思って止めるくらいのつもりで抑えてみたら、今度こそ本格的に馬が引っかかってしまいました。なんでぇ!?
もう経路なんて外れてしまい、馬場の真ん中をだーっと突っ走ります。うわー、馬場から飛び出すのだけはやめて。待機馬場のほうから、「体起こせ、手綱しっかり持って巻け!」という声がします。そうだよ、さっきそれで止められたじゃん。自信持って自分で止めないと。
ほぼX点あたりで巻き乗りに持ち込むと、「もっと小さく、もっと小さく!」なるほど、ピルーエットになるくらいどんどん小さくしていけば、いくらなんでも止まるか。外方の手綱だけは譲らないようにして内方の手綱を控えまくり、どんどん巻き乗りを小さくしていったら、ようやく止まれました。

ここでやめるわけにはいかないんだよ、わたしは。軽く深呼吸をしてから、どこからやり直せばいいか審判に聞きに行こうとC点に向かうと、主審のF先生が「8からやり直して」と言います。「8ってどこですか?」「斜めに手前を換えるところからやり直しなさい」あ、経路表の端に書いてある番号のことか。そこまで覚えてません。
斜めに手前を換えるところから、ということは、本当は駈歩発進してその前の短蹄跡からやり直さないといけないことは分かっていましたが、今すぐ駈歩発進してすぐXで速歩に落とせる自信がない。ここの点数は捨てて、速歩でやり直すことにしました。

速歩発進して、斜め手前変換の線上に入り、M点で常歩。C点からの駈歩発進はさすがに怖かったので、そーっと発進したら、慎重にやりすぎて輪乗りが小さくなってしまいました。でもちゃんと出ただけマシか、とそのまま長蹄跡に向かったら、馬がどんどんイレこんでスピードアップしていく。え〜〜、また?
それでもなんとか経路をトレースしようと思ったのですが、さっきと同じように斜めに手前を換えた線上ではもう引っかかっていて、X点で速歩に落とすどころではありません。ここからは全く「いつか来た道」で、馬はH点で体をかわすようにして、馬場の中央に向かってすごい勢いで走ります。
でもある意味では、さっきと同じだからこそ対処もできたのです。今回もすぐ巻き乗りに持ち込み、小さく小さく巻いて停止。

もう本当にやめたい、と思ったけど、審判に退場を言い渡されるまでは、自分から棄権しちゃダメだ。あと少しだと自分を励ましつつ、経路をやり直します。さっきと同じ経路違反なので、同じところから同じように速歩でやり直し。
最後のC点での速歩発進では、馬が行きたがって駈歩を出そうとするので、「違う!」と馬を押さえ込み(考えてみたら、こんなのC点で言ったら審判に丸聞こえ…)、速歩発進。もう点数が最低なのは分かってるけど、最後だけでもきちんとまとめたい。
自分が焦らないように、B点からX点へ半巻き乗り。G点まで直進し、停止。今度はちゃんと停止でき、敬礼。はぁあ〜〜、やっと終わった…。

ちなみに馬場のジャッジ規則は、1回の経路違反で2点減。これくらいなら大したことはありませんが、2回目だと4点減。3回目だと失権、退場になります。今回のわたしは2回の経路違反ということで4点減点され、速歩でやり直している部分が不実施に近い点数なので、総合点数は38.58%でした。
でも走られるまでは、「5」と「6」しかないので、そんなに悪い馬じゃないはず。しかも、普段は全然走ったりする馬じゃないそうで、わたしが走られているときにHRCの会員さんは「あれってホントにコンスタンチン?」と言っている人もいたとか。相性が悪かったのかもしれないけど、なんか馬を焦らせちゃったんだろうなぁ。

日の出に帰って、I野先生にビデオで見てもらうと「でもKYOKOちゃんは偉いよ。周りにアドバイスもらったって言ったって、止めたのは自分だもの。だいたいあれだけ走られたら、経路なんかふっとぶよ、普通。ちゃんと止めて、審判に聞きに行って、続きを間違えずに続けてるんだから。2課目に専念して踏んできた賜物だな」
「わたしだって、もう待機馬場で走られた時点で泣き入れて止めちゃいたかったですよ。でもそこで止めて帰ってきたら、何言われるか分からないじゃないですか」
「この間、ここで『失権って言われるまでは諦めない』って話したばっかりだもんな。KYOKOちゃんがちゃんと最後まであきらめずに回ってきてくれて、おれはそれが嬉しかったな」先生にそう言ってもらえただけでも、あきらめなくてよかった。

翌日、相方の障碍競技の手伝いでHRCの中をうろうろしていたら、チーフインストラクターのI先生(いつも面倒を見てくれるI先生とは別人なので、以下「Iチーフ」と区別して表記することにします)に声をかけられました。「昨日大変だったね。どうしたのかな?」今日は試合の格好もしていないのに、すっかり名前と顔が一致しているらしいことにもびっくりしつつ、「すみませんでした。たぶんわたしが全然座れなくて背中ドンドンやっちゃって、馬追っちゃったのかなーと」。
するとIチーフは、「そうか。実はね、今までは割と乗りやすい馬当ててたんだけど、最近腕を上げたようだから、ちょっと技術の要る馬にしてみたんだけど、難しかったかな」そう言われると、お世辞でも嬉しくもあり、期待に応えられず申し訳なくもあり。
「でも、また乗りたいです。今度はちゃんと乗ってあげたいです」と言ってしまってから、あたしバカかと思いましたが(笑)。

コンスタンチン、本馬場
この駈歩発進は「6」もらってるんですけどねぇ…。

コンスタンチン、本馬場
走られてます走られてます。必死で巻き乗りに持ち込もうとしているところ。
静止画で見ると落ち着いてるように見えるなぁ(笑)。本人血の気が引いてるのに。

コンスタンチン、本馬場
やっと終わった…。いやー、ほっとしました。


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