←301鞍目 | 試合・入賞、悲喜こもごも (2005.12.24 あきる野・日の出乗馬倶楽部) |
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![]() 待機馬場で駈歩。 |
今日は、おとなりの八王子乗馬倶楽部(以下HRC)にて競技会。わたしはまた2課目に出場することにしていますが、今回一緒に馬場に出るのはなんと6人。今まで日の出から、こんな人数が出るのは初めてのことです。しかもわたし以外はほとんどデビュー戦。ってことは、多少なりとも経験値のあるわたしは、彼らには負けられないような気がするぞ。 当日のスケジュールは、3課目〜1課目〜2課目の順。日の出からは1課目と2課目にしか出ませんが、新しい3課目(2005年10月から施行された3課目2006A)を見たいので、開会からHRC入りしました。 HRCの入り口で、ちょうど日の出のO先生と会えました。「ちょうど良かった。倶楽部に帰ったら分かることだから言っちゃうけど、チェルだめだった。助けられなかった」日の出の自馬、タイコンチェルトが昨日から疝痛で苦しんでいて、獣医さんも必死の手当てをしてくれていたのですが、今朝早く逝ってしまったそうです。チェルの馬房はグレイトの隣なので、馬主さんがすごくかわいがっているのをよく見ていました。 O先生は事後処理があるので、急いで日の出に帰らなければならず、わたしたちがあとを引き継ぐことになりました。先生も心残りそうだったけど、自分たちで頑張るのが、何よりチェルの供養になるんじゃないか。 寒さに震えながら3課目を見ているとき、「あ、雪だね」と誰かが言いました。そんなばかなー、と思っているうちに、はらはらと白いものが舞い始めます。それがみるみるうちに、発泡スチロールを崩したような雪(あられ?)に。げー、雪の中で経路踏むのなんてイヤだー。足元固くなったら馬がかわいそうだし。 と思っていたら、1課目が始まる前に雪はやみ、積もりはしませんでした。助かった。 1課目が終わり、もうすぐ2課目が始まります。2課目では、わたしの出番は20番目。日の出チームの中では17番目のNさんに次いで2番目です。乗馬はヒエン、彼には1課目(1993)で乗ったきりで、2年も前のことなので感触も忘れてしまいました。なんか、物見するのと先取りする馬だったなぁということだけは覚えているんだけど。 すっかり顔見知りになったHRCのI先生に声をかけられたので、今日のわたしの担当を聞いてみると、S先生とのこと。ちょうどS先生がヒエンを引いているところで、「あれがS先生だよ」とI先生が指さしたのは小柄で目がくりくりしたかわいい女性。「今日ヒエン乗せてもらうんで、よろしくお願いします」と声をかけてみると、S先生から「ヒエン乗ったことありますか?」と聞かれ、「いやー、20×60mのころの1課目で1度乗ったきりなので忘れちゃいました」「それはずいぶん前ですね。決して素軽い馬ではないので、ちゃんと推していかないとダメですけど、素直な馬ですから、がんばって」 ヒエンにはわたしの前にHRCの会員さんが乗り、帰ってきたところで乗り替わり。今回も鞍は自分のを持ってきているのですが、ゼッケンとかゲルパッドなどは持ってきていないので、HRCのを借りることにしました。S先生が調達に走ってくれ、待機馬場の外で急いで装鞍。 騎乗して待機馬場に入り、S先生の指示で軽速歩からフラットワーク。確かに軽くはないけど、ズブいわけでもなく、きちんと扶助を出してあげればきちんと動く印象。鞭を使えば1歩だけぱっと前に出るけど、「飛び出す」というほどではない。拍車に対しても、鋭い反応はしない子だな。 輪乗りをしながら外方の拳をき甲のあたりで安定させ、軽速歩でリズムをとっていくと、あらら、簡単に受けてくるじゃないの。ときどき鏡で確認すると、馬の鼻梁が地面に対してほぼ垂直になっているし、反撞もいい感じ。ハミにもヘンなクセがなくて、何より口がやわらかい。あんまり持ちすぎると壊しちゃうんじゃないかと怖くなるくらいです。 雪がやんで日が射してきたものの、今度は風が出てきました。速歩をしていると、燕尾の裾が巻き上がってバタバタと背中をたたくほど。げー、馬から見えなきゃいいけどな。 先生の指示で、常歩から駈歩発進。半減却を使ってから発進すると、すっと発進しました。「いい発進です。軽くはない馬なので、ちゃんと推していってあげて」死ぬほど重いわけではありませんが、確かに座骨と脚の推進は必要な感じ。試しにちょっと推進をやめてみると、すぐ速歩に落ちそうになりました。はは、ほんとだ。 左右とも駈歩をやりましたが、どちらが膨れやすいとか発進しにくいとかいうクセもなさそう。ほんとに素直だな。 馬場の空いたところで、3湾曲もやらせてくれました。わたしとしては一番気になっているところなので助かった。ハミの左右を入れ替えるときに少し反抗されるけど、大した反抗ではないみたい。ちゃんと半減却使っていかないとな。 フラットワークに関しては、S先生からはおおむね停止も発進も「騎座が安定しているし、良くできている」と言ってもらえ、注意されたのは「手綱をもう少し短く」ということだけ。馬も、持っていたイメージよりも全然物見しないし、これならよほどの失敗をしなければちゃんと回ってこられそう。 放送でわたしの名前が呼ばれ、いよいよ出番。「自分のいいと思うところで、鞭使ってから落としましょう」と言われ、輪乗りから入場しようと思ったのですが、入場しやすいラインではなかったので鞭を捨てるのをやめて、もう1周。 よし、このラインならいける、と思って鞭を捨てて入場。昨日みたいによれないように、両脚で馬を規制しながら中央線を直進。拳だけで停止しないように、脚と座骨も使いながら停止すると、もう審判の先生が立ち上がって帽子をとろうとしています。でも慌てて敬礼したりすると馬がばらけるな、と思って、余裕を持って停止してから敬礼したのですが、そこで馬が2歩ほど後退してしまいました。あーあ、やっちゃった。逆効果だった。 いつもN子先生に言われているように、C点で右手前に入るために右肩から速歩発進。C点まで意地で直進し、C点を必死で拾って蹄跡に入ります。 次の隅角、やっぱり深くは入れないか。ちょうど人の多いところなので、馬が嫌がるのは仕方ない(あとでビデオを見たN子先生は、「みんなが深く入れないところだから、そのくらいでも構わん」と言っていました)。 斜め手前変換での中間速歩、ちょっとは伸びたな。蹄跡に入り、隅角を拾ってから3湾曲。うわ、しまった。1湾曲目、湾曲の頂点がきちんと蹄跡に触れませんでした。半減却を使って、ちょっと大げさなくらいにハミの左右を入れ替えて2湾曲目。うわわ、このままだとまた頂点が蹄跡に触れない。えぇい、この際だ。拍車で馬のお尻を思いっきり外に振ってしまえ。それでどうにか後肢が蹄跡に触れるはず。 3湾曲目も、馬が蹄跡より1歩ぶん内側を通ろうとしたので、1歩だけ思いっきり拍車を刺してお尻を外に出させました。 長蹄跡で必死に速歩を伸ばし、A点で常歩。あ、落とすのが1歩早かった。F点で手綱を伸ばし、斜め手前変換。馬がハミを追って頭を下げてくれたのはいいのですが、どんどん右によれていこうとするので、必死で右の脚と座骨で修正。ここで、あらかじめ相方に「手綱をいじり始めるのが早すぎる」と言われていたにも関わらず、早めに手綱を持ち直そうとしてしまいました。そこで気が付いてやめたのですが、かえってぐじぐじと手綱をいじる結果に。 H点で手綱をもとの長さに持ち直すと、ヒエンが頭を上げてハミから逃げてしまいました。次のC点までには受けさせてしまいたい。仕方がない、抜きさしだな。歩かせながら、拳を左右交互に握ると、少し頭が下がってきました。そのときにはもう、C点まであと3歩ほど。このくらいで諦めて、正確にC点で駈歩発進したほうが得策か。 馬の鼻先がC点に差し掛かったあたりで半減却を使うと、馬が一瞬準備をしてから、ふっと駈歩になりました。そうだ、思い出した。前に乗ったときも、馬がここから駈歩だって知っていた。 逆に、馬が経路を覚えていることの難点は、ショートカットしたがること。輪乗りは蹄跡に1歩だけ触れなければいけませんが、M点付近の蹄跡にうまく入れず、輪乗りの図形が小さめになってしまいました。 速歩で拾いにくかった次の隅角は、駈歩でもやはりイマイチ。M点からの中間駈歩はそこそこ伸びたのですが、F点で尋常駈歩にして隅角に入ったところで、速歩に落ちそうになってしまいました。このやろ、ここで速歩にしてたまるかってんだ。拍車はこういうときに使うもんだわ。 なんとか駈歩を維持し、斜め手前変換。X点での速歩移行はよかったのですが、M点で蹄跡に入るまで速歩を維持するのに必死です。M点で常歩に落とし、次のC点は左手前の駈歩発進。むしろ早く出されないように抑え抑え、C点で少しだけ内方の拳を譲るとぱっと駈歩が出ました。しかも輪乗りの図形、こっちはきちんと蹄跡に1歩ずつ触れていて、いい感じだぞ(ジャッジシートも、ここは主審・副審ともに「6」がついていました)。 長蹄跡の中間駈歩もそこそこ伸びて、短蹄跡を周り斜め手前変換、X点で速歩に移行。H点まであと数歩というところで、ヒエンが常歩に落ちそうになり(というか、1歩常歩が入ったな…)、慌てて脚で速歩にし、どうにかこうにかH点へ。 今度は逆に、C点を目の前にするとヒエンが駈歩をしたそうにするので、必死で拳を控えて座骨を落としこみ、まだだよ、まだだよ、と教えつつ、C点まで。駈歩にならないようにそっと速歩発進し、B点で半輪乗り。あ、早すぎた。昨日さんざん、小回りの利かないJRで練習をしていたので、その名残りで早めに回ってしまった。 中央線に乗せて、G点まで気を抜かずに推進。G点で停止しようとする前に主審と目が合い、にこにこしているので、早く停止して敬礼したいけど、まだG点じゃない。馬を止めたところで、もうほとんど主審が会釈をしかけていたのですが、きちんと止めきらないうちに敬礼したって馬のバランスが崩れるのに決まってる。馬が停止してバランスバックするところまでじっと待ってから、敬礼。主審の答礼に対して、もう一度「ありがとうございました」と言ってから(本当は余分なことらしい…)、馬場の外へ。 S先生が馬場の出口で待っていて、「積極的に乗れてて良かったですよ。ちゃんとメリハリをつけて乗っていたし、けっこういいんじゃないですか」「ほんとですか! ありがとうございます」積極的だって! それこそがわたしの騎乗に欠けているところなので、初めてそんなことを言われて嬉しくなりました。点数がそれほど行かなかったとしても、ひとつの課題はクリアできたことにしよう。 馬場の外に出て下馬すると、日の出チームのみんなが出迎えてくれて、「あそこでよく諦めずにがんばったね」と言ってくれました。相方も、「今までで一番難がなかった」と言ってくれたし、自分でも大きなミスはしていないと思うから、今までよりはいい数字を出せているかも。 2課目がこの日の最終競技だったので、閉会式まで出ることにしました。入賞した人は表彰式の前に名前を呼ばれましたが、別に自分が呼ばれることもないわな、そりゃ。なんて思いながらぼーっと式が始まるのを待っていると、試合の応援に来てくれていたKさんが真剣な表情でわたしを手招きします。そちらに行ってみると、「KYOKOさん入賞してる。発表が間違ってる」 成績が張り出されるところにたまたま居合わせたKさん、日の出チームは何%くらいかな、と見比べていて、7位と発表されていたわたしよりも6位と発表されていた人のほうが%が低いことに気が付いたそう。つまり本当は、わたしが6位だったわけです。 「えーと、わたしどうしたらいいの?」「もう主催者に言ってあるから」「あ、それはありがとう」と言いつつ、全く実感がわいてこない。その間違った順位のままで表彰式が進行し、終了してすぐ、スタッフたちとマネージャーが額を集めています。そしてすぐに、I先生が賞品を持ってわたしのところに来て、「KYOKOさん、すみませんでした。改めて6位入賞おめでとう」と、賞品を渡してくれました。 ジャッジシートをもらってみると、52.353%でした。各エレメントの評価が、5と6ばっかり。総合観察でも5と6しかないし。4がないジャッジシート、初めてもらいました。 倶楽部に帰り、先生たちに報告。嬉しそうに報告を聞いていたI野先生が「これだから指導者はやめられんよ」とつぶやきました。こっちも、先生のこういう一言が嬉しかったりするもんなんですよね。 そのあと、タイコンチェルトの馬房に行ってみると、すでに片付けられて、使っていた飼い桶の上に花が飾ってありました。すごく柔らかい歩様をしていたというチェル、いつか乗せてもらいたかったのに。ゆうべ、薬が効いていた時間に様子を見に行ったら、わたしの顔を見るなり[痛いよ]と前掻きを始めたチェル。「大丈夫だからね、がんばってね」と両方のほっぺたを手でこすってやったら、おとなしく目をつぶってされるがままになっていたチェル。本当に愛されていたし、人間のことが好きな子でした。 翌日は障害競技。 相方が小障害に出ることになっていますが、朝家を出るときに上らんを忘れ、取りに帰るハプニング。なんしとんねん、と思いつつ電車に乗ってしばらくすると、ぼそっと「熱が38度あった…」「はぁ!?」家にいるときに言うとわたしに止められると思って、電車に乗るまで黙ってやがったそうです。当たり前だ。 どうしても出るというので、風邪薬と栄養剤を無理矢理飲ませて出場した結果は、一反抗+タイム減点で、減点5で完走。まぁ体調の割には良かったというところでしょうか。 帰る前にHRCのI先生に挨拶したら、「なんか、こう毎回出てきてくれて、ふたりとも毎回少しずつ上手くなってるのが見えるから面白いね。また来てね」と言ってくれました。はい、またおじゃましますとも。 |
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![]() 2湾曲目、拍車で押し込んだところですね ![]() 右手前で駈歩発進してすぐ。 発進してみたら手綱が長いことに気が付いたので、このあとこっそり持ち直します ![]() 左手前の駈歩。輪乗りから蹄跡に入ろうとしているところ。わりといいラインをとってくれました |
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