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(2004.6.27 山梨・ララミー牧場)
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ベルディンゴ
これは練習ですね、馬場内に先生がいらっしゃるから。
もうちょっと隅角ちゃんと回りなさいよ、私
さていよいよ、検定当日。朝目が覚めて、宿泊部屋のカーテンを開けると、天気は上々。天気予報はいい方に外れてくれたみたいです。
眼下には、昨日のうちに作っておかれたらしい20×40の馬場が。その上に自分と馬の姿を想像し、ちょっとイメージトレーニング。よし、経路は間違えないだろう。
(余談ですが、日の出でO先生と「たぶんララミーでは覆い馬場を使うだろうから、覆い馬場なら場外失権はナシだね」という話をしていました。覆い馬場だとギリギリ20×40のサイズで壁があるから。でも下の馬場を使うことになって、左の写真でもお分かりのようにラチがわりに横木しかないので、こんなもんララミーの馬ならみんな跳ぶぞ。場外失権ありじゃん。)

朝食をとって準備をしているうちに、当日組も集まり始めました。昨日のH先生の話では、実技の順番は4級、5級、3級。あー、さっさと終わってくれたほうが嬉しいけどな。
全員が集まったところで、H先生が「では馬は、公正を期すために抽選にします」と、ピンクの付箋紙で作られたクジを持ってきました。「中見えないようにしてあるから、各自引いて」ということで、さっそく自分の引いたクジを開いてみると…「げっ、ベルだ」反動が高い高いと言われているベルディンゴに、本番で当たるなんてなぁ。座れるフリもできないじゃん、それじゃ。
「中に書いてある馬と順番を申告してね」とH先生が言うので、「KYOKO、騎乗馬ベルです」そこまで言ってから、順番なんか書いてあったのかぁ、とクジを見直すと…「いちばん〜〜?」まぎれもなく、クジには『1』の文字が。うひょー、誰かに馴致してもらってから乗るつもりだったのに、すべからくあてが外れた。
いや、でも考えようによっては、さっさと終わってしまったほうが気が楽か。

さっそく4級から、実技試験が始まりました。4級、5級は覆い馬場で試験が行われます。
私の乗るベルは4級でも使っているので、傾向と対策を練るため覆い馬場の外から見学。ララミーの馬はほとんどそうなんだけど、手綱が緩いとダメみたいだな、すごくのめってる。きっちり手綱を持って、馬の首起こしてやったほうが良さそうだ。
一昨年ベルで3級を受験しているAさんが、「ほら見てごらん、ベルはどうしても左に向くクセがあるだろ」と私にアドバイス。「ほんとだ。左手前ならいいけど、右手前のときはちょっと気を付けてないとダメですね」。

3級の受験者は7名ですが、4頭の馬を2交代で使うので、前半の4名だけで馬場に出ます。H先生のはからいで、馬になれるために15分程度部班レッスンが行われることになりました。
準備のできたベルが馬場の中に引いてこられたので、鐙の長さを合わせて騎乗。各自好きなようにフラットワークを始めます。
私はとりあえず、常歩から軽速歩へ。軽速歩だと調子よくリズムが取れるのですが、速歩に落としてみたら、やっぱり噂どおりの反動だった…(笑)。でもこれくらいなら、日の出のアルフォンスの反動に毛が生えた程度かなぁ。これだけ座れないと、座骨で推すことは無理かもしれないが、もともと前進気勢のある子みたいだからまあいいか。とにかく反動についていくことのほうが先決だな。
あと、さっき見学していたときと同じように、油断すると左に首が傾きます。ふん、やっぱりそうか。じゃあ右の手綱を少し強めに持ってやればいいだろう。

周りが駈歩を始めたので、自分も駈歩に移行。特に何もしなくても、ちょっと内方の手綱を控えて外方脚を引くだけで駈歩が出ました。出たはいいけど、すごい反動だな。アルフォンスの場合、速歩の反動はきつくても、駈歩だと座りやすいんだけど、ベルディンゴときたら駈歩でも反動がきつい。あと、駈歩だとちょっとハミを前に持って行かれるな。単騎だったらこれくらい持って行かれても別にいいけど、今は他の馬も中にいるから、少し手綱を控えておくか。

右手前でも駈歩をしてみますが、ずいぶん上に突き上げられるなぁ。外に放り出される感じではないから反対手前じゃないと思うけど、それにしてもしっくりこない。馬場に立っておられたI野先生に「先生、これ反対手前ですか?」と聞いてみますが、「いや、大丈夫だよ」という返事。じゃあこういう反動なんだ。日の出のジュンヨーだって右手前は座りにくいけど、ジュンちゃんなんか目じゃないぞ。
しばらく走って、すこし常歩に落として休憩していると、I野先生が「馬はどうだ?」と言ってきました。「ちょっと首が左に傾くクセがあるみたいですけど」「それは何とかできるだろう」「はい。あと、ぜんっぜん座れませんけど(笑)」。

「じゃあ少し部班でやるぞ」とI野先生のかけ声で、隊列を組みます。ベルディンゴはいつ見ても部班の先頭にいたし、今日は私が1番手で経路を踏むので、自分から部班の先頭に出ます。
まずは蹄跡で速歩。座れないことは座れないけど、思っていたよりどうにもなんないような反動じゃない。あ、リズムが一定だからか。後肢は硬いみたいだけど、肩の出はいいんだな。
できるだけ今のうちに、隅角を深く踏み込ませるようにしておこう。本番だとどうしても浅くなりがちだから、あらかじめ馬に「深く回るものだ」と思ってもらわないと。
「そこから内蹄跡へ、横木通過」って先生、そんな号令初めて聞きましたけど。横木を通過したときに先生が何かおっしゃったようだけど、よく聞こえなかった。とりあえず蹄跡にそのまま出ると、I野先生が近くまで走ってきて「そこから半巻きで戻って横木に入れっ」「は?」「いいから、本番通りに全部やってしまえ」「あ、なるほど。ありがとうございます」先生の号令なんてあってないようなもの、部班で3級の経路を全部回ってしまえと言うのだな。

駈歩に移行すると、後ろの馬を少し引き離すくらい。やっぱり前進気勢が強いな、すこし控えめで乗らないと隅角とか巻き乗りで回せないかも。
「巻き乗りもやってみろ」とI野先生がおっしゃるけど、「えっ、後ろいるのに無理ですよー」駈歩巻き乗りなんて、単騎でしかやったことないもん。「大きく回れば大丈夫だから、やってみろ」私の後ろには3頭、ぴったりくっついているわけではなくて、それぞれ2〜3馬身ずつ間が空いているから、10mの巻き乗りは無理だな。E点から、X点をすこし越える大きさで巻き乗り。内方に乗って、控え手綱を使って巻いていきますが、ベル素直だなー。いけるいける(反動さえなければ)。

常歩に落として、歩きながら馬場の中を見ると、スタッフさんがA〜C間の中央線に、熊手でかるーく中央線を引いてくれています。さらにはX点に十字まで。「あら、あんな親切なことしていただいて、ありがとうございます」と、たまたま近くにいたW先生に言ったのですが、「あれ、でももしかして、線上でよれたらバレバレってことですか?」「そうだよー、気を付けてね。ってあなた、ベルってことは1番手だね? がんばってねー」。とりあえず常歩のままX点に行き、停止。よし、ベルは停止はかなり上手。X点での景色と、自分との位置関係を覚えておかないとな。
そのうちH先生から、「じゃあベルだけ馬場の中に残って、他の3頭は外に出て待機。ベルはちょっと自分で動かして、準備ができたと思ったら合図してね」という指示。じゃあ、すこし速歩で動かしておこう。W先生から「軽速歩でもいいんだよ」と言われたけど、経路はほとんど速歩だもん、この子のきつい反動に少しでも慣れておきたいし。

ベルのほうはいつでもOKという動きになっているので、「行きます」とH先生に合図してから、控え馬場で速歩を出そうとしたら、ベルが駈歩を出そうとしました。あらぁベルちゃん、やる気だねぇ。2〜3歩で止めて、あらためて速歩発進しようとしたら、後ろから「そっちからじゃ入れないよー」とH先生の声。馬を止めて振り返ると、「馬場の外からじゃA点に入れないから、馬場の中で蹄跡ずっと回ってきて、A点で回転して」あ、なるほど。A点のところに横木が置いてあるので、外からの入場はしないわけですね。
あらためて馬場の中に入り、速歩発進して左手前で蹄跡へ。回り込んで、A点で回転、中央線に入ります。最初は大事だからね(とO先生に言われている)、X点まで真っ直ぐ走ってね、ベルちゃん。
左を向きがちな顔を修正しながら、座骨で推して前へ。よしよし真っ直ぐだ。X点で停止、うん、これもうまく止まった。敬礼すると、C点で審査をしているH先生とW先生が揃って答礼をしてくれました。一呼吸おいて、速歩発進。最初は常歩で出ちゃうかなーと思ったものの、すぐ速歩が出ました。

右手前で蹄跡に出ると、すぐM点から斜め手前変換なので、知っている馬なら隅角をショートカットしようとします。そこをちゃんと隅角に入れろと、N子先生にさんざん怒られたので、隅角へ深く踏み込むようにします。
ベルが素直に隅角に入ってくれたので、M点まですこし控えて我慢をさせて、M点で方向転換してから拳をゆずりながら脚を入れると、ぽーんと前に出ました。わ、さすが3級は踏み慣れてるベル。私はどうも弱気で、馬が前に出ると抑えてしまうクセがあるので、この時ばかりは抑えないように気をつけないと。
K点で蹄跡に入り、F点までは控えに控えて、もう一度F点で方向転換と同時に拳をゆずると、今度はさっきよりも思い切って伸びた感じ。いいぞいいぞベルちゃん、私はがんばって邪魔しないようにするからね。
X点を超えたところで、この勢いのままではラチを踏み越えそうなので、軽速歩をやめて速歩に落とします。一瞬、駈歩出ちゃったかな? と思ったくらいの勢いでした。

右手前でC点を越えた先で、内蹄跡に入って横木に向かいます。ほんと真っ直ぐ走るな、この子。横木の直前で拳をゆずり、馬が首を使いやすいようにして横木に入ります。ちょっと肘を出しすぎたきらいはあるけど、素直にまたいでくれました。
蹄跡まで走って、A点付近で半巻き。ベルはわりと小回りがきくので、思ったより小さく回れ、おかげで横木に対して真っ直ぐ進入することができました。
ところが、またいでいる途中でベルが常歩に落ちそうになりました。うわー、歩幅が変わるからここで常歩はダメだよ。強めに脚を使うと、ベルがはっと気が付いたように速歩に戻りました。足元見すぎたのかしら。

さて、蹄跡に出たらすぐ駈歩だから、準備しておかないと。座骨と脚で推しながら拳を控え、すこし胸をはるようにしておきます。昨日W先生に「ブレーキして」と言われ、馬をためてから駈歩発進をしたら簡単に出たのを思い出したので。
そうそう、昨日のレッスン終了後、H先生から「3級の人は、C点から駈歩発進してたら間に合わないよ。最低でも2m前から駈歩発進して、ちょうどC点から駈歩が出るんだからね」とも言われていたっけ。
2m前、よしここで発進。するとベル、ぽんと駈歩になりました。ちょっと早かったかも、と思ったけど、遅いよりははるかにいい。やっぱり座れないんだけど、そこはいつもより気合いを入れて、自分のお尻を前橋に押し込むつもりで、少しでも座っているように見せかける努力(いや、そんなもん先生には当然バレるけど)。

E点が見えてきました。「E点が見えたらもう巻き乗りに入る」とふだんN子先生に言われているように、E点が見えたところで半減却を軽く使い、方向転換の準備。あらら、私が思っていたより反応がいいや。E点より手前で回転に入っちゃった。
そうするとだ、戻り地点をE点にするのが難しくなっちゃったな。E点を見ながら巻き乗りの後半に入ったところで、ベルが速歩に落ちてしまいました。しまった、E点に戻る、E点に戻ると自分に言い聞かせたあまり、巻き乗りの円が小さくなっちゃったんだ。
あわてて少し控え、駈歩発進しなおすと、すぐ駈歩に戻ってくれました。ベルが素直なおかげで、2〜3歩のイレギュラーで済んだけど、今のは明らかに自分のミスだぁ。

B点までは順調に蹄跡行進、そこから半巻き。日の出で練習したときには大巻きに巻いちゃって必ず苦労したところだけど、ベルは小回りが利くので助かる。横木の脇をすり抜けるくらいでF点に向かい、いったん速歩に落として…って、落ちないしー! どうにか速歩に落ちたのはF点の3歩前、はっきり言ってもう遅い。馬の勢いに負けてしまい、F点からきちんと蹄跡に入り損ねました。すぐに駈歩発進しましたが、F点からA点の間はほとんど輪乗りのような隅角の浅さ。ここは練習でもあまり上手くできなかったところだけど、自分の甘さが出たなぁ。
ふたたびE点が見えてきました。今度は失敗しない、絶対。E点の2歩ほど手前で巻き乗りに入る準備。10mの巻き乗りは、私が今思っているよりちょっと大きめくらいでちょうどいいはず。小回りの利くベルを、敢えて大きめ大きめに巻き乗りさせ、速歩に落ちないように座骨で必死に推します。
あぁ良かった、無事に駈歩のままE点まで戻れた。

右手前でB点まで蹄跡行進、ここで最後の回転。さすがに小回りの利くベル、今度はM点にきちんと入れそうだ。5歩くらい前で速歩に落とし、M点で蹄跡に入って駈歩発進。うんうん、うまくいった。
あとはこのまま、K点まで駈歩。ベル、頼むよ。蹄跡を順調に駈け、もうすぐK点。K点で速歩に落としていては間に合わないので、2mちょっと手前で腰を張って座骨を落としこみます。と、カタンという感じで速歩に落ち、その衝撃で上体をちょっと前に持って行かれてしまいました。
でもちゃんとポイントで速歩に落ちたので、いいとしよう。急いで上体を起こして胸を張り、最後の隅角を深く踏み込ませるようにします。A点で回転、中央線へ。
うわ、どうしよう。いいぞ。きっちり中央線に乗って、真っ直ぐX点に向かえてる。うまくいきすぎて、笑いが出そうだ。X点で停止、また上手く止まること。一呼吸おいて敬礼、先生の答礼を受けたらもう嬉しくなっちゃって、思いっきり馬の首をたたいて愛撫。いやーありがとベルちゃん、おかげでなんとかなりそうだよ。

全員の実技試験が終わって、クラブハウスで昼食をいただいたあとに筆記試験。こちらも難なく終わり、そのあとでH先生の講評をいただきます。
少なくとも今年は、座れていないとは言われませんでしたが、「一人で乗るのもいいかもしれないけど、自分の欠点は自分では気づきにくいから、やっぱり下で見てもらって、少しずつ欠点を直しながら乗るのがいいよ。3級まではどうにかなるけど、この上はもっと難しくなるからね」。
「じゃ、それでいいかな?」というH先生を引き留めて、「あの、3級のジャッジシートというか、評価を伺うことってできますか?」と聞いてみると、ご親切にも「じゃ、ちょっと待ってて」と採点表を取りに行ってくださいました。

戻ってきたH先生によると、私の騎乗は「かかとを使いすぎだね。かかとで馬にしがみついてるよね、それが一番目立ったかな」あぁ、すっごく心当たりある。だいたい昨日W先生からもあんなに拍車使いすぎだって言われて、普段でもN子先生に「拍車ばっか使うなー!」と怒られているっていうのに、なんで出来ないのか自分。
「でも上半身は力が入ってなかったし、全体は良かったんじゃない。かかとだけだね、目立ったのは。そういう癖がついちゃってると、軽い馬に当たった場合に拍車効きすぎちゃうからね。日の出の人、割とそういう人が多いんだけど、しがみつくと脚がラクに使えないよ」あ、なるほど。それはいかに日の出の馬が重いかってことかもしれない。重い馬ばかりで練習している弊害というべきか。
「かかとから力が抜けたら、もっとラクに馬が動かせるようになると思うよ」それこそは私の求める騎乗なのだ。昨日H先生の息子さん(らしい)の騎乗を見ていて、あんなふうに『何もしてないような騎乗』が理想だなー、と思ったばかりだったのでした。
でも考えてみたら、昔は拳とか肩とかに力が入ってるって言われてて、その次には膝でしがみついてるって言われてて、今はかかとになったわけだ。上から順番にヘンな力が抜けていってるってことなら、かかとから抜けるのはもう少し? だと思いたい。

ちなみに、お話を聞きながら先生の手元を覗き込んだら、私の評価は10点満点で6.5、6.5、6.5。項目まではちょっと見えなかったんですが、おそらく柔軟性や姿勢、バランス、図形の正確さってところでしょうね。可もなく不可もなくといったところでしょうか。H先生にはあらかじめ、6点取れれば合格と言われていたので、一応合格しているだろうと思います。
あとで自分の騎乗してる写真を見ていたら、なんかみょーにニコニコして乗ってるんですよね。過去の試合の写真とか見ると、もっと必死な顔して乗ってるんですが、今回はけっこうリラックスしていたみたい。
まぁララミー牧場っていうのは第2のホームグラウンドのようなものだし、八王子乗馬クラブでの試合よりはリラックスして臨めたかも。

2級は馬場限定かな…。

ベルディンゴ
こっちは本番、横木通過。
こうして前から見ると、確かにかかとでしがみついてるなぁ

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