←453鞍目 454鞍目・軽乗と精神力
(2007.11.24 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
455鞍目→
3連休の中日、今日は日の出に調教をしにきてくれるY先生の軽乗会に申し込んでいます。
Y先生はスポーツ少年団向けに馬を調教し、軽乗レッスンをしてきた大ベテランですが、大人に軽乗会をやるのは今までほとんどなかったそう。O先生やN子先生もやってみて、これはバランスレッスンに良いということで、日の出で開催してもらうようになって今日が3回目。でもわたしは過去2回は都合が合わず、今日が初めての参加となります。
予定では11時から経験者の部、午後から未経験者の部ということで、じゃあ軽乗会が終わったらすぐ半自馬グレイトに乗ることにしようかな。

なんか落ち着かないねぇ、なんてN子先生と話しているところにY先生到着。今日の軽乗に使う琥珀はもう馬繋場に出してあり、あとはY先生に馬装してもらうだけです。
Y先生は、馬に触っている間はとても厳しい方だと聞いていたので、遠巻きにして馬装を見学していたのですが、意外にも気さくにいろんな話をしてくれました。

今回の参加者は10名ちょっとで、Y先生と琥珀にくっついてぞろぞろと馬場に出ます。
Y先生が馬の肩と後肢を特殊な結び方で動かないようにし、まずは騎乗の仕方から。軽乗鞍というのは腹帯に持ち手がついたようなもので、ほとんど裸馬と言っていいものです。もちろん鐙もないので、騎乗は飛び乗り。軽乗鞍につかまるようにしながら、右足を振り子のようにして勢いをつけ、左足でジャンプして右足を馬の背中に引っ掛けます(横向きに逆上がりする感じ)。これをまず全員で交代しながらやることになりました。
わたしはなんとか成功し、琥珀の背中に引っ掛けた右足と、軽乗鞍をつかんだ腕を使ってよじ登ります。一応鞍下だけは敷いてありますが、自分のお尻の下に馬の背骨があるのがしっかりわかる。ひえ〜。
下馬は、ふだんと違って右へ下馬(調馬索が左手前なので、外に降りる)。そのとき、左足をバレエのようにつま先までぴんと伸ばして馬の首の上を通過させてまたぎます。これが一番安全らしいのですが、いきなり足を伸ばしたのでふくらはぎがつりそうになりました…。

2巡目は、静止した馬の上で向きを変える練習。今度はNくん先生の補助で騎乗しましたが、なぜか補助してもらったほうが失敗。向きを変えること自体は、考えてみたら大学の体育の単位を体操で取っているのでそう難しい気はしない…けど、何しろ15年くらい前のことだからなぁ。
次は、「O先生お手本やって」とのY先生のご指名で、O先生が騎乗。そして琥珀の背中の上でひざ立ちになり、続いてその場でまっすぐ立ち上がりました。ひえ〜、馬の上に立つなんて、ジンガロじゃないんだから!
わたしの番が来て、補助付きで騎乗し、まずはひざ立ち。両手を広げて静止し、次は片足ずつひざを立てて立ち上がります。ここで下を見たら絶対ダメだろうということはなんとなくわかったので、ひたすら空だけ見てそろそろと立ち上がりました。
まっすぐ立って両手を広げ、Y先生の指示どおりに住所と名前を言いかけたとき、足下が一瞬ゆらっと揺れました。たぶん琥珀がほんのすこし後肢を動かした(踏み換えた?)のですが、ちょっとバランスを崩しそうだったのでいったんひざをつき、また体勢を立て直して立ち上がろうとしたら、Y先生が「いいよ、ひざ立ちで」とおっしゃったので、ひざ立ちで住所と名前を言い、下馬。
実はわたし、かなりの高所恐怖症なのですが、まったく下を見なかったせいかあまり恐怖心がなかったのは不思議。

次に、Y先生が琥珀の肢を結んでいたひもを外し、調馬索で回して順番に乗っていくことになりました。経験者と未経験者の部に分かれるはずでしたが、なし崩しに全員いっしょにやることになってしまった感じ。ただし経験者は速歩で騎乗、未経験者は停止状態で騎乗ということになりました。
わたしは常歩から騎乗し、Y先生に速歩を出してもらいます。鐙上げのときと違ってつま先を下げ、上体は気持ち外向きに。調馬索を回しているY先生から見て、「外側のおっぱいが見えないくらい」だそうです。
最初の5周は、とにかく馬の動きについていくこと。軽乗鞍のハンドルにつかまって乗っていていいのですが、腕で乗っても軽乗の意味がないので、できるだけハンドルには頼らないようにゆるく持ちました。琥珀の背中はハマりが良く、これなら手離しもできないことはないかな?

次の順番が回ってきたときには、手を離すとか、自分で考えながらやってみていいとのことだったので、片手ずつ代わるがわる手を離してみました。片手では大丈夫そうだったので、試しに両手を離してみると(もちろん片手ずつ)、意外とバランスをとるのが難しく、1周しないうちに挫折。
ここらへんで調馬索を回していたY先生が、さらっとO先生に調馬索を渡したっぽい。わたしの視界には空しか映りませんが、なんとなく雰囲気でわかりました。

11時から始まった軽乗会ですが、気がつくとお昼を回っています。でも流れを中断するのもナンだし、ということでお昼も続行することになりました。
何周か回してもらって終わりかな、と思いきや、乗るたびに新しいことを教えてもらえます。速歩している馬の上で向きを変え、完全に横乗りしたり、もとに戻ったり。
最後に、「10周回すから、その間自分で好きなことをやっていい」ということで、わたしはとにかく馬の背中のバランスを探ることにしました。少し上体を起こしてみたり、倒してみたり、片手を離してみたり。あんまり上体を倒しすぎても座骨で乗れない感じだし、前傾するのは当然ナシだし。

これで終了だと思っていたら、Y先生がまた琥珀の肢をひもで結び、静止させます。今度はNくん先生(実は馬の専門学校時代、Y先生の軽乗指導を受けた経験あり)が見本を見せることになり、Nくん先生は騎乗して軽乗鞍のハンドルをつかむと、両足を振り子のように振ってから勢いよく後ろに振り上げ、腕立て伏せのように体を浮かせて、馬のお尻の上の空中でかかとを合わせて見せました。うわー、これって教本に騎乗体操として載ってるヤツ? こんなのできるわけないよって思ってましたが、まさか目の前で実物を見ることができるとは。
さらにNくん先生は、その勢いで馬上で180度回転するところまでやって見せました。いやいや、それって相当の腕力と身軽さが必要だと思うんですけど。
なんて言ってる場合じゃなくて、自分の番。もうここからはY先生はクラブハウスに入って、Nくん先生が指導に当たっています。またもやNくん先生の補助で騎乗し、やってみましたが、なかなか思うように足が上まで上がらない。これじゃー180度回転はムリだべ、と思ってNくん先生に「挫折してもいい?」と聞いたら「ダメ」と言われたので、思い切ってやってみたのですが、やはり勢いが足りずに180度も回転できず、馬の上に正座する感じになってしまいました。

この時点で、すでに14時。みんな、11時から3時間も馬場に立っていたことになります。
一応これでだいたいのカリキュラムは終わったらしいので、わたしはグレイトに乗るために抜けることにしました。15時になったら通常のレッスンが始まってしまうので、半自馬のわたしは乗る場所がなくなってしまう。お昼を食べている時間もないけど、ハイになっている今のうちに乗っちゃうのが得策だろう。
急いでグレイトの馬装をし、いつも騎乗前にグレイトにかける調馬索は省略して(というか、ロングレーンの大家であるY先生の前で、ヘタクソな調馬索を披露する勇気がなかった)騎乗。あんまり時間もないことだから、短時間集中でビシッと乗ろう。
まずは軽速歩から前に出します。あれ、なんか調子いいぞ。道路側でグレイトがちょっと物見するけど、横によれたりする程度なので、集中させていけばやらなくなるだろう。
相変わらずヘタクソな横運動を入れながら速歩していると、もう60%くらい受けてきました。左手前で逃げる感じも今日はあまりないので、巻き乗りもやりやすい。

ずいぶん調子がいいので駈歩に移行してみると、最初は少し重く感じたものの、とくに跳ねもせずすらっと駈歩できる。駈歩も調子が出てきたかな、と思って長蹄跡に出すと、自分の上体がすこしこいでいることに気がつきました。最初に重めだと思ってこいじゃったんだな、さっさと修正しよう。
調子がいいので、ついつい斜めに手前を換えて、X点でシンプルチェンジ。おや、昨日の経路練習よりいいんじゃないの。両手前ともやったら、つい3B経路のクセで半巻きから反対駈歩。反対に入ったところで速歩に落ちそうになるので、外方脚ではたいて前に出すと、これも昨日よりは反対駈歩らしくなってる。
これも両手前ともやると、3B経路では次は長蹄跡を中間駈歩。伸ばしたつもりでしたが、足元が悪いF点あたりで足色が鈍るので鞭を入れたら、ぐーちゃんは気に入らなかったらしく、ひねりを入れてピンと跳ねてきます。ふん、そのくらいで落ちると思うなよ。
中央線に入ってX点で停止したら、思いっきり息が切れていましたが、なかなか気分がいい。

馬を伸ばしてやるために、手綱を緩めにして軽速歩していると、N子先生がやってきて「今日は乗りが違うよ、昨日より全然いい」と言ってくれました。N子先生がわざわざそんなことを言いにきてくれることはめったにないので、かなり嬉しい。しかもその後、I野先生まで「今日はかなりいいぞ」と言いにきてくれました。
早くも軽乗の効果が出たんだったら嬉しい。自馬だからこそ間髪入れずに乗ることができたのもラッキーだし、昼抜きでも頑張って乗った甲斐があったというもの。
あとでN子先生が重ねて言うには、「なんつっても今日はKYOKOさんの精神力が違った。いつもあれくらい強気で乗ればいいのに」ということ。わたしとしては特別強気で乗った覚えはないのですが、先生によると「座りに自信がついたから、強気に乗れたんだろうね」だそうです。裸馬で軽乗すると、確かに座りにはいい影響がありそうです。

ぐーちゃんを馬繋場に繋いでみると、首だけでなくトモにも汗をかいていて、けっこういい運動ができたのかな、という感じ。でもY先生が帰ってしまわないうちに一言お礼を言いに行きたいので、ぐーちゃんが冷えないようにエクササイズシートをかぶせてその場を離れようとすると、ぐーちゃんが「ぶふ」と文句を言います。
ちょうど通りかかった相方に「ぐーちゃん見てて」と言い捨ててクラブハウスに行き、Y先生に挨拶してから馬繋場に戻ると、ぐーちゃんはわたしが近づいてくるのをじーっと見ています。「ぐーすけなんか言ってた?」と相方に聞いてみると、わたしが行った方角を何回も振り返って、しまいにうつむいて「ぶふ」とつぶやいたそうです。誰もいないと「ぶふ」が「ぶひひひひ〜〜!!」になるらしいのですが、一応、他の人がいると遠慮がちなんだ(笑)。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)


←453鞍目 455鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop