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(2007.7.14 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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ハッピーマンデーの3連休、せっかくだから前半の土日は馬に乗りまくろうと、日の出乗馬倶楽部の近くの宿を取っておきました。
ところがこの週末、台風直撃だってさ…。もう宿のキャンセル料も発生するし、とにかく行くだけでも行って、乗れなければ厩務の手伝いでもするか、ということで、雨の中お泊まり荷物を抱えて日の出へ。
到着してみると、先生方スタッフのほかにも、様子を見に来た会員さん2名がいましたが、乗る気はないみたい。わたしたちは乗れれば乗りたいし、「乗れない雨じゃない」とN子先生も言うし、明日になれば風が出てきそうだし(雨はいいけど風はイヤ!)で、今思い切って乗ることにしました。

O先生が馬場にハローをかけてくれている間、わたしは愛馬グレイトの馬装をします。ありゃ、鞍がちょこっとカビてる。ありゃりゃ、頭絡はもっとカビてる(笑)。鞍はわたしのだから仕方ないとしても、ぐーちゃん専用の頭絡がこれだけカビるってことは、ぐーちゃん1週間ぐらい誰も乗ってないな。
先に準備のできたチョコと相方が、大きい方の馬場に出て騎乗したよう。ハナから指導なしのフリー騎乗のつもりなので、お互い気兼ねなく乗れるように、わたしは小さいほうの馬場へ。一人で踏み台なしで乗ろうかなーと思って、ちょっとやってみましたが、なんか鐙が滑りそう。あっさり断念して、Nくん先生を呼びつけて騎乗補助してもらいました。
ぐーちゃん、腹帯を締めるのを待たずに歩き出してしまうところを見ると、やっぱり少し張ってるな。まあそれはそれで面白いけど。

雨は強くなりこそすれ止むことはなさそうなので、防水ジャンバーをしっかり着込んでいます。それと、今までグレイトに乗るときは1.5cmの丸拍車だったのを、今日から2cmの丸拍車に変更。ぐーちゃんは拍車に敏感で、間違った使い方をすると後肢を振り上げる馬ですが、ここのところ1.5cmなら跳ねられなくなっていたので、そろそろ2cmの使い方(着けていても必要ないときは使わない、という乗り方)に慣れなきゃなあ、と思ったからです。
最初はじっくりほぐそうと思って長めに常歩をし、続けて斜め横足、腰内と横運動。でもどうにもうまくできないなぁ、と思っていると、N子先生が馬場に入ってきました。あれ、この時間って指導なしにしたつもりだったけど、どうも好意で教えてくれるらしい。

「こないだあたしが教わったこと、教えてやるから。鐙をヒモで繋いで固定してるつもりで、鐙はそこから動かない」とN子先生が言うのは、最近、月に1〜2回調教に来てくれるY先生(ロングレーン調教で有名な方だそうで、わたしもだいぶ前に鐙の踏み方のさわりだけ習ったことがあります)に習った乗り方のこと。
N子先生が先週、自分の馬に乗るときに、馬の腹の下にゴムひもを通して鐙どうしを繋いでいて、それがY先生に教わったやり方だと言っていたので、あれをやってるつもりになればいいわけね。
「その鐙を動かさないためには、薬指と小指で鐙をしっかり踏み込んで、ふくらはぎを馬から離さない。当然拍車は当てない。で、き甲をふくらはぎで持ち上げるように」と言われたとおりにやってみようとしますが、「鐙は固定〜」とすぐに注意されてしまいます。思わず「常歩難しい!」と訴えると、「そうよ、いかに脚に頼って馬を動かしてたか、わかるでしょ。それをうまくやろうと思ったら、死ぬ気で鐙を踏み込んで座骨使うの。鐙がないとできないこともあるってのは、こういうことよ」

どうにか常歩での脚の使い方に慣れたころ、「じゃあ脚をいっさい使わないで速歩。外方(拳)でかっちり支点を取って、座骨のリズム。あとは内方ハミにバイブレーションかけるだけで出るよ」と、先生が言う通りにやってみますが、なかなか出せません。
「鐙は固定。拍車使うくらいなら鞭使え」ということで、ちょっと鞭に頼って速歩をようやく出しました。「速歩を出したら、目標を遠くに定めてそこ以外見ない。蹄跡の延長上にある木でも電柱でも、高いところに視線を固定しな」そう言われてやってみると、改めて自分が何かにつけて下を見てるんだなーということがわかります。真下を見ることはなくても、馬の耳くらいは見たくなる。でも今要求されている視線の高さは、馬の耳すら見られない高さです。

「そうやって視線を定めたら、馬がよれていかないでしょう。はい鐙は動かない、外方甘い。その状態で、隅角に馬をぶつけていきなさい。そして隅角に入る瞬間に、1度だけ内方拳で合図する」つい甘くなりがちな外方拳を、ひじを引きつける感じで保持しながら隅角に突っ込み、一瞬だけ内方ハミに合図、ということを繰り返していると、ほとんど脚を使っていないのに、馬の後駆がドリフトみたいにキュッと外に振れます。あれ、この扶助ってもしかして、もっとシビアにやっていけばピルーエットになるんちゃうか。
あとでN子先生に聞いてみたら、「そういうこと。ただし、もっと前に出していかないとならないけどね」だそうです。

速歩で、「手綱を使わないで、外方脚だけで巻き乗り」えっ、外方脚って? わたしここのところ、内方座骨と内方手綱でしか巻き乗りしてないですけど。
「外方脚で、『こっちへいらっしゃい』って言うの」しかも鐙を動かさずに、となると、外方のふくらはぎで内方に向かって押すしかないよなあ。試しに、外方脚の小指で鐙に踏み込むようにして押してみると、あら曲がるじゃん。「そうだ、そして座骨はまっすぐ、視線は上」
(書いてて気がついたけど、馬にしてみれば外方から押されたというよりは、外方に壁ができたから曲がったんでしょうな。)

「そのままの姿勢を崩さずに、内方のバイブレーションと座骨のリズムだけで駈歩してごらん。鐙は動かないんだよ」となると半減却は使えるけど、外方脚を引くとか内方脚で推すとかは一切できないってことなので、思わず固まりそうになるわたし。
「内方のバイブレーションだけでも出るよ。出なかったら拍車じゃなくて鞭」と先生に言われ、どうにか駈歩を出しましたが、何歩も続かず、それを無理に推そうとして拍車を使ってしまったようで、軽く跳ねられました。
「KYOKOさんの駈歩の欠点は、馬を推そうとしてだんだん上体が揺すれること。だから馬より前にいけなくなって、余計推せなくなるの。最初の何歩かは揺れてないんだから、自分が揺れ始めたと思ったら止めてやり直しな」

駈歩発進を何度もやり直していると、グレイトがもぐってひねって蹴る、という普段はやらないような動きをして、あまつさえ先生に向かっていこうとする。拍車くらいで、こんなことする馬だっけ?
「いつもと違う乗り方してるんだから、馬が荒れるのは当たり前、気にしなくていい。こういう乗り方してると、外方ちょっとでも引いたら馬が荒れるよ。脚を引くと、馬のトモを止めるから、座骨で行けって言ってんのに脚で止めるようなもの。だから脚は腹帯の上で使えって言ってるんだよ。何にもしないで、静か〜に発進してみな」そうか、そんなにシビアな要求をしてるのか。

何度も跳ねられ、一度はお尻が完全に浮いて鐙も外れてしまいましたが(ギャラリーのほうから驚きの声が上がったようだ)、そんなことで駈歩やめると思うなよ。
「外方はしっかり持って、内方は息をするように使うの。発進の瞬間に、ひざをほんのわずか開いてみな。ひざが触ると馬が止まるよ」さすがに今さらひざで締めつけているとか、しがみついているとか言われるわけではありませんが、たったこれくらいひざが触っただけで馬って出ないものなの?

ひざと鞍の間を開けつつ、つま先を開かずに拍車を使わないっていうのはかなり股関節がツラい。でも言われた通りにがんばっていると、何回かに1回はふわっと発進して、何事もなく駈歩できるときもあります。「それだと、移行したときにハミ受けが崩れないでしょう」確かに、わたしは駈歩でのハミ受けがヘタで、発進するとハミを外されることがかなり多いのですが、今はハミを維持したまま発進できてる。
「あ」「自分で揺れたのわかったんなら、そこでやめる。1歩でも2歩でも、ちゃんとできたのだけ体で覚えちゃいな」感触としては、上体というか肩を揺らしちゃうんだな、わたし。
何度もトライして、発進から上体が揺れずにきちんと駈歩できるのは10歩くらいが限度。「でも、最初はできてるんだから。できる長さを1歩ずつでも伸ばしていけばいいのよ」というN子先生の言葉を信じて、がんばって乗るしかないのでしょうね。

だいぶ時間もオーバーしてしまい、先生が「あとは好きに練習しな」と馬場から出ていったので、最後に速歩でまとめます。
時間も時間だし、こんなところかな、とクーリングダウンとして手綱を伸ばした軽速歩に移行。すると再び通りかかったN子先生が、「軽速歩やるなら、輪乗りで反対速歩してみな。馬は内方姿勢のままで」要するに、普通に軽速歩で輪乗りをしたうえで、手前を間違えばいいわけね。
「脚はさっきと同じように使うんだよ。鐙は固定」うわ、これは速歩よりもっと股関節が苦しいではないか。「軽速歩ってめっちゃ難しくないですか!?」「難しいよ。でさ、外方脚が自然にずれるでしょ。それが外方脚」「使うときでも、これ以上引かないってことですか?」「そういうこと」なるほどなー。それにしてもこれはキツい。
「あ、あんまりやると足がつるから、ほどほどにしときな」…って!(笑)
確かに、下馬した瞬間は股関節がガクガクで、あたし歩けんの? と思うほどでした。

さすがに雨が強くなってきたので、馬繋場に引き上げてぐーちゃんをタオルで拭きまくって乾かしました。
午後からはさらに雨足が強くなってきたのですが、「乗れないかもしれないけど…」と来た人たちが続々と乗っていました。どうも、来てみたらわたしたちが乗っていたので、触発されちゃったらしいです(先生すみません)。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)


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