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(2007.4.14 山梨・ハフリンガー・エクイン・アカデミー)
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馬房
これは昨年秋に遊びに行ったときの写真なのですが、屋根が透明なので馬房がとても明るいのがわかりますよね。校長によると、馬房が明るいと「馬が張らないんだよね」だそうです。

今週は、山梨県の小淵沢にあるララミー牧場(八ヶ岳乗馬会)の運動会に参加します。運動会は日曜ですが、せっかくなので土曜から小淵沢入りし、ララミーの合宿部屋に前泊です。
で、土曜は1年前にオープンしたばかりのハフリンガー・エクイン・アカデミーで乗せていただくことにしました。校長のM子先生は昔は競技者、現在は指導者として有名な方なのですが、実は日の出のN子先生の親友でもあり、小淵沢近辺ではよくお会いするご縁で「機会があったら乗りにいらっしゃい」と言ってくださっていたので、いいチャンスだということで同行3人での予約をお願いしました。

レッスンは15時からの予約でしたが、11時前には小淵沢に着いてしまったため、すぐ近くにあるクラブ、大泉高原牧場フリースペースへ。ここのTオーナー夫妻には懇意にしてもらっているので挨拶がてら、と思って寄ったつもりが、昼食もいっしょに食べることになり、けっこう遊んでしまいました(ありがとうございました)。
そんなこんなで、ハフリンガーに着いたのは14時ごろ。校長は他の方のレッスン中だったので、とりあえず時間まで着替えたり、併設の馬具屋さんを見たりしていました。

しばらくして、レッスンを終えた校長が「今日のレッスンの打ち合わせをしましょう」と声をかけてくれました。
馬場の横のテーブルにつき、「今日はどんなレッスンにしたいですか?」と校長。わたしは<○○のやり方を具体的に教えてほしい>ということではなく、基本的な部分を見直したいと思っていたので、「今悩んでることを言ってもいいですか?」と言うと「それもいいですね」という返事。
それで、めいめい悩みを言うことにし、わたしは「馬を前に出せません」と申告。今2課目から3課目Bにチャレンジしようとしているが、シンプルチェンジがうまくできないこと、何をするにしても馬が前に出ていないと無理だと思っていることなどを話しました。
校長は「それに気がつかれただけでもいいことですね」と言ってくれましたが、いつもN子先生に言われているから気がついただけなんですけどね。

打ち合わせを終了し、校長とともに馬繋場へ。校長がわたしに選んでくれた馬はポールポジション、通称ポージーくん。その名前とは裏腹に、かなりおっとりした馬のようです。拍車はつけてもいいということだったので、丸拍車をつけることにしました。
馬場に出て、校長のダンナさまK先生(獣医)のサポートで騎乗。ここの馬場はウッドチップで、いい歩き心地。ですがこっちは3頭部班には小さいということで、いったんここを出て、林を利用した放牧地を抜けて別の馬場に行くことになりました。
校長の背中を追う形で林を抜け、ちょっとした外乗気分を味わいつつ小さい砂利道を下ると、テニスコートのようなフェンスが見えてきました。どうやらここがレッスン場所らしい。腐葉土のようなものが敷き詰められていましたが、もとはホントにテニスコートだったのかも。

先頭で常歩をしていると、早速校長に「そんなに座骨を動かしても逆効果だよ。前に出したいなら、ちょっとひざを外に開いて拍車を使いましょう」と言われ、鞭を渡されました。わたしは常歩で上体を動かすクセがあるようで、今までも何人かに言われていること。本人は脚を使ってるつもりなんだけど、どうも力の入れどころが違うんだろうな。
終了後に校長と話をしたなかで、乗り疲れて力が抜けたときが一番馬に沿った常歩ができる、というような話が出ました。そのためにフランスのソミュール乗馬学校では、常歩で20kmも行軍するんだとか。
確かに常歩って、レッスン最後の沈静が一番いいもんなぁ…。

校長の号令で軽速歩。ティーディマンを付けているせいもあるかもしれないけど、馬がハミの正しい位置を知っている感じで、サクッとハミを受けてきます。
ポージーは特別重い馬ではないんだけど、もっと前に出そうなのに出せない感じ。「そういうときは、思い出してください。ひざをちょっと開けば拍車が使えるんでしたよね。拍車使うななんて言ってないんだから、かかとを使うことを恐れなくてもいい」そう言われれば、最近拍車で跳ねる馬に乗ることが多いので、かかとを馬に当てないように気を遣いすぎ、ひざが内を向いているかもしれません。

しばらく先頭で動かしていたのですが、校長の指示で2番騎のKさんと入れ替わりました。「ひざで馬をスクイズ(しぼる)したら、馬は止まっちゃいますよ。うん、それだね、わかった。あなたの場合は股関節をもっと捻転させるといいと思う」股関節を必要に応じて動かせるようにしておけば、脚や拍車が思い通りに使えるということみたいです。
これも終了後に言われたことですが、股割りとかできなくたって股関節は捻転できるはず、と。でも思うに、脚に力が入りすぎていたらできないですよね。わたしの場合はそこかもしれない。

輪乗りから、順次駈歩。前に馬がいるせいもあって、半減却から内方座骨を使うだけでスカッと駈歩が出ました。でも時々ポージーくんが下に向かって口をぐんと下げ、それがけっこう力強いので、そのたび腰を張っても持ちこたえきれずにお尻が浮いてしまいます。でもこれをやられるということは、わたしの拳の何かが悪いんだよなぁ。
持ちすぎなのか、固すぎなのか、微妙に探りを入れているうちに、なんとなくしゃくる回数が減ってきました。

駈歩のあとの速歩は前に出るはず、と信じて速歩を出すと、これがけっこう前に出ます。校長も「良くなったじゃないですか」と言ってくれたのが、ちょっと嬉しい。
速歩の輪乗りから、校長が「3歩ずつの軽速歩をやってみましょう。3歩立って、3歩座ります」ということで、速歩で3歩立ちっぱなし、続いて3歩座りっぱなし。立ちっぱなしでバランスを取っているつもりでも、2歩目でお尻が下がり、3歩目でお尻が鞍につきそうになってしまいます。そればかりか、速歩ではしっかり座れないし。
なのに「2番の方うまくできてるから、ほかの皆さんの見本になってもらおうか」と言われてびっくり。言われるままに速歩から輪乗りをし、3歩立って3歩座ります。自分でも最初よりはまともになってきたけど。
ちなみにこの運動の意味をあとで聞いたところ、軽速歩のバランス(もちろん人間の)を矯正するための練習だったそうです。

「こんなところでよろしいですか?」と、レッスン終了。よろしいも何も、かなり濃いレッスンでした。
また林を抜け、もとの馬場に戻って沈静の常歩。しばらく歩いて下馬し、ポージーくんを連れて馬繋場へ。軽く手入れをしてほしいとのことだったので、裏掘りをして固く絞ったタオルで顔や帯径を拭いてやります。ポージーくん、意外と汗かいたんだねぇ。

馬を馬房に入れた後、併設のレストランでお茶をしつつ、校長が講評してくれることになりました。わたしが言われたのは、腰が少し立ちすぎで、そのため座骨が前に倒れてしまうので「行け・止まれ」になっている、ということでした。自分としては、わりと腰をゆるめて乗ることができるほうだと思っていたので、その指摘にびっくり。思いこみって恐ろしいわ。
股関節の捻転ということももちろんだけど、わたしの場合はもっと太ももの裏、膝の裏あたりを馬につけて乗ったほうがいいということ。人間の足の作りを、ペットシュガーの空袋を使ってまで熱心に説明してくれました。校長の表現によると、そのほうが「馬を抱くことができる」ということ。脚で馬にしがみつくのではなく、ふわっと馬を抱き取るような脚、しなやかな脚が使えるようになれれば、馬も人もハッピーでいられるということです。

それは脚の使い方だけではなく、乗り方全体でも言えることで、いつでもガンガン拍車を使ったり、人間が力を入れっぱなしで乗ったりしたら、馬は幸か不幸か慣れる動物なので、[ま、いいや我慢すれば]と思ってニブくなったりする。もちろんビシッと乗れることが必要なんだけど、それはふだん柔らかく乗れていてこそ、ガツッと乗ったときに効くのであって、ふだんから力を入れっぱなしで乗っていては意味がないですよ、というような話でした。
総合すると、スタンダードがきちんと身についていてこそ、イレギュラーが使えるのであって、イレギュラーばかりでは馬も人もハッピーになれませんよ、というようなことだったと思います。

それと、びっくりしたのは、校長が話の途中でいきなり「そういえば、おたくに行ったあの芦毛はどうしました?」と聞いてきたこと。校長のいう芦毛とはわたしの愛馬だった故ロゼッタのことで、ロゼッタはもともとララミー牧場から日の出に来た馬。獣医でもある校長は、ララミー牧場の馬の予防注射なども頼まれている縁で、ロゼッタが日の出に行ったことも知っていたみたいです(ロゼッタの健康手帳には、獣医の欄に校長のサインがある)。それにしても、ロゼッタが日の出に来たのはもう6年近く前のこと。
以前にも似たような経験をしたことがあって、ララミー牧場で会った方と話をしていたら「もしかしてロゼッタのことですか?」と言われたことがあります。もしかしてあいつ、けっこうすごい馬だったのかしら。

そのあとも「馬の飼養のことも知っておいてほしい」と、馬房も案内していただいていろいろ説明していただきました。いやー、楽しかった。
次回はマンツーマンでレッスンしてもらいたいな。

ビーボくん
校長の愛犬、ビーボくん。ぼへーとした性格で、お客さんはみんな遊んでくれると思っているようです(笑)。


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