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(2004.12.19 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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すっかり寒くなってきましたが、今日もいつものように日の出へ。何時からの予約だったか忘れたので(おいおい)、まぁいつもと同じ時間だろうと思って10時過ぎに到着。配馬表を見てみたら14時からのレッスンでした(笑)。
私の配馬はいつものグレイト、相方はコスモ。たぶん私は、次の試合まではずっとグレイトに乗って、彼を手の内に入れることが命題になっているみたい。昼前にN子先生から、「今日はKYOKOさん何時から乗るの?」「14時です」「じゃあ昼休みにさ、ちょっと調馬索回しちゃおう。無口だけでいいから、そのくらいの時間に出してきて」という指令。
N子先生も私もお昼を食べ終わった12時半すぎ、グレイトを馬房から出します。扉を開けて、「グーちゃん、グーすけー」と呼びかけると、一応こっちに体の向きを変えるようになったので、以前よりは私に気を許し始めたかな。
馬繋場に出して、蹄の裏堀りだけして肢のプロテクターをつけ、馬着を脱がせます。N子先生が「馬場まで連れてきてー」と言うので、無口に引き手をつけてそのまま馬場へ。

N子先生が調馬索でグレイトを走らせているのを横目に見ていたら、I野先生がN子先生に「Nちゃん、先生みえたよ」と声をかけています。先生ってだれ? と思って見ると、グレイトの馬主、T先生(医師)の姿が。馬主と言っても半自馬なのですが、T先生から馬をお借りしていることには代わりありません。試合のときにもお借りしているわけだし、帽子をとってT先生のところに挨拶に行きました。
気がついたらグレイトが馬場から上がっていて、戻ってきたN子先生がこっそりと「T先生が乗りたいって言ったら、KYOKOさんの時間ずれてもいいかな?」「そりゃもちろんですよ」「じゃあさ、T先生に乗るかどうか聞いて、馬装手伝ってきな」ということで、急いで馬繋場に戻ります。

馬繋場に行くと、T先生が馬具をしまおうとしていたので、「あれ、T先生お乗りにならないんですか?」と聞くと、「今日はね、いいかなと思って」と、私が長靴を履いているのを見て「乗るの?」「あ、はい、一応配馬してもらったので、乗れれば…」と歯切れの悪くなる私。
グレイトの跛行の原因のひとつに蟻洞があって、T先生としては爪に負担をかけたくないらしく、「あなたのウェイトなら構わないけど、僕は重いから」ということで、治るまでは乗るのを控えているそうです。馬主さんが乗らないのに、私が乗るのって気が引ける。
クラブハウスに戻って、N子先生に「T先生、お乗りにならないそうです」と言うと、「あ、そう? じゃあKYOKOさん14時に乗るね、下乗りしたげる」ということで、急いで馬装をします。

馬装を終えたところで、14時10分前。「KYOKOさん長鞭持ってるよね」「はい」長鞭を持って、先生と一緒にグレイトを連れて馬場へ。N子先生が騎乗するのを補助して、自分はいったんクラブハウスに戻ります。
14時からのレッスンは、コスモ、ハイセイコーJR.、ロッキーとグレイトの4頭。でもN子先生が下乗りで馬場を使っているので、他の3頭は初心者さん用の馬場に混じって常歩をしているよう。
14時を少しまわってから、N子先生が馬を止めたので踏み台を持って馬場へ。いやー、T先生が見てらっしゃると緊張するなー。あんなヘタクソだったら2度と乗せないって言われたらどうしよう。
私が腹帯を調節している間に、ほかの3頭も真ん中の馬場に出てきました。騎乗するなり、N子先生が「グーちゃんは蹄跡に入れて欲しくないんだな。部班の先頭でも後尾でもいいけど、常に蹄跡から20cm内側を歩きなさい」「へっ!? またそんな簡単に、難しい注文を」「それくらいできて当たり前っ」とりあえずは部班の先頭に立ち、蹄跡に出ます…っていうか、出ちゃいけないんだけど。

「こらー、それじゃ1mだ。20cmって言ってるでしょ」うへー、そう言われても、意外と蹄跡につかず離れずの20cmって難しいよぅ。朝からのレッスンでしっかり蹄跡が掘れてしまっているので、20cmの地点はその掘れた横のあぜ道みたいになっている部分。
たぶん跛行気味のグーちゃんの足のために、硬い蹄跡ではなくて、やわらかい内側の部分を歩けということなのでしょうが、馬は放っておけばラチに頼りたがる=蹄跡に入りたがるもの。これを入らせないためには、外方に壁を作れってことだよな。試合のときも外方の壁が弱くて逃げられたりしたし、これはそういう練習をしろということもあるのかも。
「ちゃんと受けさせないと、馬がこわれるよー。昨日勉強したでしょ」とN子先生が言うのは、昨日先生に、関東装蹄師会の講演会に連れて行ってもらったのです。著名な装蹄師A先生の講義テーマは、人間が乗馬に求める動きを、バイオメカニクスの視点から解析する、というようなこと(A先生ご自身も、きっちりテーマを決めていたわけではないらしい…)。細かい内容は割愛しますが、中で「On the Bit(ハミ受け、と訳すとちょっと違うらしいが)」が馬の筋肉や靭帯に及ぼす影響、というような話もあったのでした。

速歩に移行し、「KYOKOさん、ちゃんと受けさせなさい! 大切なのはどっち?」「外方です」「分かってるならやる!」外方のハミを支点にする、だったっけ。でもなかなか、グーちゃんを受けさせることができません。「あっ」「どうしたのKYOKOさん?」「いま一瞬だけ受けてたんですけど」「一瞬じゃダメでしょ。持続しな」できないんだもん…。
でも今日は、先週よりも前に出るな。さすがに内蹄跡を回っているだけあって、後ろの馬をどんどん引き離してしまいます。2番騎のコスモと半周近く離れてしまったので、勝手に巻き乗りして距離を稼ぎます。
それを何度かやっていると、「そうだ、グー助は今日は別メニューでいいから」とN子先生。そういえば蹄跡も使ってないし、なんか部班の中で勝手に単騎で乗っているような感じになってきました。

順次に半巻きの号令で、半巻きしようとしたら、かっと頭を上げて立ち止まられました。あれ、さっきまで各個巻き乗りもスムーズだったのに。「ほら、引っ張るから!」拳を引いたつもりはないけど、これくらいで引っ張られたと思っちゃうの、グースケ? もしかしたら、うっかり内方を開き気味にしたから、それでかなぁ。
「前に出せ、鞭持ってんでしょ!」グースケの場合は鞭使ったって軽く跳ねる程度だから自分はかまわないけど、今自分が止まったことで馬混みを作っちゃったので、この中で跳ねたら他馬に悪いし、と思ってしまい、あまり派手な鞭は使えませんでした。とにかく前を許して、座骨と脚で推し出します。でもこの次の各個半巻きでも、同じことやられちゃった…。

号令で常歩に落とすと、グーちゃんがふっと受けてきました。お、ここから常歩でちゃんと前に出してやれば、けっこういい感じに駆歩もできたりしないかな。「先頭のみ、駆歩。KYOKOさん、試合だと思って一発で出せ」って、言われるそばから速歩入れちゃったし…。
いったん止めて、すぐ半減却を使って発進しなおすと、今度は一発で出ました。いやしかし重いな、ここの子は右手前だと特に重いけど、やっぱり歩ごとに発進しないといけないくらいの勢い。「推せ、推せ」って怒鳴りながら、N子先生が一緒に走ってるくらいだもん。軽く鞭を入れてみたらやっぱり軽く跳ねたので、下手な鞭は使わないほうがマシか。
「そこで巻き乗り」で、だいたい10mくらいを目測して巻き乗り。この子の場合、手綱は軽く内方を控える程度しか使えない。「はい半減却、速歩。…誰が歩度落としていいって言ったー!」「すみませーん!」

全頭が駈歩を終わってから、蹄跡に戻って(いや、しつこいようだが蹄跡に入ってはいないけど)軽速歩。「もっと伸ばす!」と言われ、軽速歩の立つタイミングに合わせて鞭を軽く入れてみたら、ぱこんと跳ねられました。あっそう、鞭のタイミングが違ったっていうのね。私もこういうとき、自分が悪いと分かっていても「分かってるよ、うるさいなぁ」とか言っちゃうんだけどさ。
「軽速歩の脚は、後ろから前に押し出す。そろそろそういう脚の使い方も覚えなさい」そういえば以前雑談していて、たった時に腰でひねり出すようなことを言われたこともあったっけなぁ。かと言ってヘンにふくらはぎだけバタバタするのも違うだろうしな、うーん。

常歩から、また1頭ずつ左駈歩。左はすこし出しやすいので、今度はスムーズに行きました。駈歩を終えたところで、「KYOKOさん、このへんで輪乗りしてていいから、ちゃんと常歩やってなさい。昨日勉強したでしょ」「はい」前述のA先生の講義で、きちんと大きく歩かせる「いい常歩」が、馬の背中の筋肉などに及ぼす効果という話のことです。
他馬が駈歩をする邪魔にならない場所で、常歩で輪乗り。常歩のメカニズムというものを、昨日の講義で教えてもらったので、そのとおりにやれば大きく歩かせられるはずですが、なかなかそううまくいくものでもありません。
でもとりあえず、さっきからグレイトが頭を上げないのだけが救いだな。常歩だけやっていると自分もだらけるので、たまに輪線上で腰内を入れてみたり、軽く斜め横足を入れてみたりします。

レッスン終了時間がきたので、馬場中央に馬を並べて停止。「停止でもちゃんと受けさせるんだよっ」あーしまった、ちょっと頭を下げすぎた、これじゃ巻き込んでる。「脚使って、もう少し頭上げさせて。そう、そこだ」でも脚を締め続けていないと、すぐ頭を下げてしまいます。
「さもなければね、ちょっとこうやって拳を上に上げてみな」手綱を引っ張るのではなく、馬の首の上に拳を出しながら少し上げてみると、グーちゃんが少しだけ首を持ち上げて、頭頚の形がちょっといい感じ。「よーし、そこ。そこで脚で持続して」数秒だけど、いい形の停止。
N子先生が他の人馬の停止をチェックに行っている間に、もう一度1歩前に出して停止。お、今度はさっきよりも巻き込まずに停止してるかも。

下馬して馬の手入れをし終わったあと、T先生が私の肩をたたいて「これからも頑張ってね」と言ってお帰りになりました。ってことは、とりあえず不合格ではなかったらしい。ほっ。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)


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