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(2004.8.22 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日は10時の予約で日の出へ。今日はお昼の休憩時間(サマータイム中なので長い)に、お手伝いスタッフのHさんがカレーを作ってくれるということなので、それを目当てに早めの時間に来ています。
9時すぎに倶楽部に到着してみると、入り口でちょうどHさんに会いました。「手が空いてたらでいいから、じゃがいもとニンジンの仕込みやってくれる?」「どうしようかな、10時から乗るから時間ないかも」と答えたものの、ほかにやってくれそうな人はいないしな。
で、配馬表を見ると、午前中はえらく混んでいて、先生も「今日はスタッフが少ないんだよ」と忙しそう。それに反して、午後の騎乗予定はガラガラ。それならばと相方と相談して、騎乗予定を16時に変更してもらいました。これで15時くらいまではヒマになったので、カレーの仕込みも先生の手伝いもできるぞ(笑)。

カレー効果か、そのうちだんだん人が増えてきて、気が付けば16時のレッスンは4頭部班に。私は10時の予定ではジュンヨーに乗ることになっていて、そのまま時間だけ変更していたのですが、O先生が配馬で悩んでいたので「私アルフォンスでもいいですよ」「それだったらコスモはどう?」「あ、コスモいいですね」ということで、今日の騎乗馬はコスモに決定。前回ちょっと荒れさせちゃったので、今回はリベンジといきたいものだ。
で、Hさんが早朝から6時間もかけて煮込んでくれたカレーが完成。みんなでおいしく食べて、空いている馬場でテニスで遊んだりして「なんか満足したー。もう馬乗らなくてもいいんじゃないの?」というアホなことを言っているうち、馬装の時間。

コスモは15時にも馬場に出ていたのですが、乗っているSさんは自前の鞍だから、乗せ替えなくちゃ。
でもコスモ用の鞍は17インチで、私にはだいぶ大きいのです。Aさんが自鞍を貸してくれると言ってくれたので、お言葉に甘えて鞍を馬繋場に運び、準備をしていました。
そこへコスモをつれてSさんが馬繋場に上がってきたのですが、「良かったら僕の鞍、このまま使っていいよ」えっ、嬉しいけどどうしよう。Sさんの自鞍もパッシェのいい馬場鞍だし、Aさんの鞍も革が柔らかくて座りやすいんだよな。結局、乗せ替える必要がないという理由で、Sさんの鞍をそのまま借りることにしました。

時間がきたので、コスモを連れて馬場へ出ます。鐙を合わせて騎乗し、指導のN子先生に「先生、折り返し手綱ってこの長さで引っ張ってない?」と聞いてみます。前回乗ったときにコスモが荒れちゃったのは、折り返しを持ちすぎだと指摘されていたので。
「うん、それで大丈夫だよ。っていうかね、最初はちょっとだけ持っててもいいんだよ。それで顎ゆずってきたら、すぐ手綱と入れ替えてやって」まぁ、コスモの場合は折り返しを持っただけで顎はゆずってくるので、「引っ張らない」ということ意外はあまり意識しないようにしよう。

N子先生の指示で、ロッキー、ダンス、コスモ、モンブランの順で部班を組みます。常歩で歩かせると、今日のコスモはずいぶん落ち着いています。いつも、通るだけでぱたぱたと慌てる倶楽部の入り口付近(左図で上辺の真中あたり)も、今日は落ち着いて通ってくれます。そのかわり重いけど。コスモさん、今日はこれで3鞍目だしなぁ。
速歩に移行、やっぱり重かった。速歩は出るけど、ものすごくゆったりした速歩。コスモさんの場合、この速歩だと反動が緩くて乗りやすいんだけど、残念ながら今はそういうことを求めてはいないのだ。
「KYOKOさん! その馬はもっと伸ばせるはずだよー!」はい、それは重々分かってるんですが。「しょうがないな、ショートカットしていいから、前に追いつきなさい」。

それでも、隅角ごとに半減却を使ったりしているうちに、少しは前に出るようになってきました。軽速歩をやめて速歩の指示、でもコスモさんの場合はこっちのほうが乗りやすいくらい。座りやすい馬だからってこともあるけど、この子の場合は座って座骨で推すほうが、軽速歩よりも伝わりやすい気がする。
各個に巻き乗り、半減却を使ってから内方の座骨を入れるだけで、すーっと巻き乗りに入ってくれるコスモ。やっぱりこの子は乗りやすいなー。でも、巻き乗りの途中で歩度が落ちる。ぎりぎり速歩で、もう少しで常歩ってくらいまで落ちてしまいます。「コスモは遅すぎ」とN子先生にも言われてしまうし。ついに後ろのモンブランと入れ替わり、最後尾へ行かされてしまいました。
今日はかなり重くて、拍車の反応も鋭敏じゃないから、内方でちょっと拍車を使っとくか。次の巻き乗りで、半減却、座骨、と使ってから、ちょっちょっちょっと内方の拍車を使いながら前に出すと、割と同じリズムで巻き乗りができている。じゃあ最後の1歩もうまく決めないとな。蹄跡に入る最後の1歩まで、内方脚で圧迫して押し込んだら、「よし、今のコスモ上手い」とお褒めにあずかりました。

左手前で、1頭ずつ駈歩。私の順番は最後なので、他の馬が駈歩をする間、コスモがつられて行っちゃわないようにかるーく控えておきます。
目の前のモンブランが軽速歩を終え、次は私の番。内方を軽く控え、駈歩をしようとしたら、なぜか肩から外に逃げていきます。あのーコスモさん、内方向いてくれないと駈歩できませんけど。無理にハミを引っ張ってもダメだと思ったので、なんとか蹄跡に出して隅角で内方姿勢をとらせ、駈歩発進。あれ、出ないや。あ、今の発進は半減却が使えてなかったな。
再度駈歩発進、今度は半減却を使ってから発進したので成功。でも、コスモがどんどん焦った歩様になり、少し持っていかれるようになってしまいます。あらら、突っ走らせちゃった。決して振り落とされたりはしないと思うけど、早く落ち着けてあげないとかわいそう。どうしようかな。
「内方ゼッタイ引っ張るな! 輪乗りでいいから!」とN子先生に言われて、内方は開き手綱気味にしますが、これで落ち着くわけじゃない。馬場の外から、O先生の「拍車」という声が聞こえました。あっ、拍車か! 私のクセで、拍車を必要以上に刺しちゃってるから、馬が突っ走ってるんだ。
そのとき、N子先生が怒鳴りました。「グーパー、グーパー使いなさい! 思い出して!」

――先週のことです。N子先生に、ご年配の男性のお客様がありました。ご親戚かな、くらいにしか思っていなかったのですが、立ち姿が間違いなく馬乗り。これはもしかして、よくN子先生が「私の先生はさ」と話してくれる、その人に違いない、と思いました。
おひとりのときに「今日はお乗りにならないんですか?」と話しかけてみると、嬉しそうに「いや私はね、乗るより下からいろいろ言うほうが専門だから」あ、やっぱり指導者だ。Y先生というその方と、いろいろお話をしていたとき「ここに座って、いいこと教えてあげよう。この練習は家でもできるからね」と、先生の前の丸椅子に座らされました。
「長い紐ないかな?」と言われ、追い鞭を持ってきて渡すと、「靴脱いで」。脱いでもいいんだけど、私は五本指ソックスを履いているのでちょっと恥ずかしいかも(水虫じゃないです。これだと鐙が踏めると聞いたんだけど、効果のほどは定かではない)。
でも五本指ソックスは好都合だったみたいで、Y先生は私の右の親指に、追い鞭の紐の端を結わえつけました。もう片方の端は、左手の親指に。これで、右足の親指と左手の親指がつながれたことになります。紐はあまりたるまない程度の長さ。
「これで、拳を握ってみて」拳を握ってみると、足の指が引っ張られて痛い。「いて」と思わず言うと、「そう、それが馬の口。それくらいで効くってことが分かるだろ」。今度は、「足の指をグーパーさせてみて。下げるときはパー、上げるときはグー、はいグーパーグーパー。拳もあわせて握る」拳を握ると紐で引っ張られて、足を上げたくなるのでグー、拳をゆるめたときは踏み込んでパー。「それが馬の動きと同じなんだよ」。正直なところ、そのときはこの動きをどうやって馬の動きとシンクロさせるのか、よく分からなかったけれど。――

さっきN子先生が、「あれ、私もやってみたけど、使えるよ。乗りながら試してみな」と言ってたっけ。
踏み込むとき、駈歩のリズムの3節目がパーだ。1・2節目では指先をこころもち上げてグーにし、3節目で長靴の中の指をパーに拡げて踏み込むようにしてみると、すーっとコスモが落ち着きました。「そう、それだ! できるじゃん!」もしかして、今の動きで脚の位置が正しく収まったのかしら。「そのままグーパー、グーパー」と言われるそばから、コスモが落ち着きすぎて速歩に落ちてしまいました。
「んもう、せっかくできたのに! じゃあもう1回、同じように駈歩やってみな」と言われて、駈歩発進。今度は発進もスムーズだし、完歩ごとに足指をグーパーさせてみると、落ち着いて走っています。こうなるとコスモは、ふわんふわん走ってくれるので、乗っていて気持ちいい。いやー、笑いが出そう。

隊列を組み直してしばらく速歩したあと、今度は右手前で駈歩。コスモは基本的に右手前のほうが落ち着いて走れる子だし、グーパーを使えば拍車を刺さずに済むことが分かったので、スムーズに駈歩ができます。
落ち着いてさえいれば、人間の指示には素直に従う子なので、駈歩のままの巻き乗りも非常にスムーズ。いやー、嬉しいなぁ。五本指ソックスを履き始めて半年になるけど、今初めて役に立ってる。
「ね、いつもより全然鐙が踏めてるじゃないの。そうすると騎座がハマるでしょっ」そうそう、私は速歩や駈歩だと鐙が踏めなくて、つい鐙が深くなりがちなんだけど(かかとが下がってても深くなる)、今は足指の根元に鐙が吸い付いたみたいになってる。ちょっと感動的だわ。

常歩から、隊列を組み直して速歩しますが、「そこでもグーパー、グーパー」とN子先生が私に向かって言います。速歩のリズムだといちいちグーパー考えてられないので、パーのみ意識するような感じで速歩。あれ、なんか脚の位置がすんなり決まる。いつもは速歩だと脚がバタバタするのに、あんまりそういう感じがしません。
駈歩の後だからか、コスモはすっかり自分から前に出るようになっているのに、その動きについていくのも割と楽。斜めに手前を換えるときに、線上だけ歩度を伸ばそうとしたら、ぽんと伸びるし。たったこれだけのことで、ずいぶん悩んでいたことがぽろぽろ解決しちゃう感じ。
N子先生の指示で鐙を脱ぎ、鐙上げの速歩でも「鐙履いてないとグーパーできないかもしれないけど、頭の中でやりなさい」と別に指示が出ます。さっき先生の言ったとおり、グーパーを繰り返していると騎座がはまった感じがするので、鐙上げもそんなに苦にならない。ま、コスモは座りやすい馬ではあるんですけどね。

常歩に落として、沈静化してから馬場中央で整列。停止で四肢が揃っている感じがしなかったので、2歩ほど前に出して停止のやり直し。N子先生から「よし愛撫、下馬」とOKが出たので、レッスン終了。
今日のコスモさんはいっぱい働いたので、お礼に丸洗い。タオルでよーく拭いて扇風機で乾かしてから、馬房に戻してあげました。
クラブハウスに戻ってから、N子先生が「今日はKYOKOさんすごく良かったよ。鐙も踏めてるしさ、騎座も安定してたし。あれ、Y先生に教えてもらって良かったでしょ」「ほんと、こんなことだったのーって感じ。すっげー嬉しい」と言うと、「そうよン、こんなことだったのよ」とN子先生も嬉しそうでした。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)


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