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(2004.8.14 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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お盆休み真っ最中、相変わらず夏日が続きます。今日は10時の予約なので、9時すぎに日の出へ着くように計算して家を出たのですが、JR中央線の運行が悪く、日の出に着いたのは9時半近く。やばいやばい、馬装の時間がギリギリだよ。
配馬表を見ると、騎乗馬はダンス。うわー、ダンスくんか。いや、ダンスくんに乗ること自体はやぶさかでないけど、あの子はなかなか馬房から出ないんだよな。よりにもよって、こんな時間のない日に。

大急ぎで自分の着替えをすませ、鞍や肢巻を準備してからダンスの馬房へ。ダンスくんは馬房を替わって、扉ではなく馬詮棒のある馬房になりました。これで人懐っこい子だったら、馬詮棒ごしに無口をかけさせてくれるんだけど、ダンスくんの場合はそうはいかないんだよね。
無口を見せないようにして馬詮棒を外し、ゆっくり中に入ろうとしましたが、首の左側に回りこもうとした瞬間にくるっとお尻を向けてしまうダンスくん。あーあ、やっぱりか。こうなると持久戦になっちゃうんだよな。
下手に叱ったりすると余計出てこない(らしい)ので、扉のところで声をかけながら、気長に待つことにしました。お尻をむけたまま、ちらっと目だけこっちに向けたりする、このひねひね坊主が。いったい何が気に入らないんだか(昔馬房の中でいじめられたことがあるんじゃないかと、勝手に推測しているんですが…)。

「ダーンスくん」と声をかけつづけながら(正確には「だんちゅくん」と発音しているが)、ちょろっとこっちを向いたところをつかまえようとしては逃げられ、を繰り返していましたが、もういいかげん時間がなくなってきた。そこらへんの草を引っこ抜いておびき寄せようともしてみましたが、みんながその手を使うので、ダンスくんも慣れてきてその手は通用しなくなっているらしい。
もーだめだ、レッスン始まっちゃうよ。お手伝いスタッフのCちゃんを呼んで、馬房から出してもらいました。この時点で、レッスン開始5分前。30分前に来たはずだから、25分もダンスを待っていたことになります。うへー、最長記録だわ。

蹄の裏堀だけして、ブラシはもうかけてる暇ないから中止。Cちゃんに手伝ってもらいながら大急ぎで装鞍して、ダンスを連れて馬場に出ます。
騎乗しようとすると後びきする悪いクセがあるので、Cちゃんに口を持っていてもらいつつ腹帯を締め、騎乗。今日のレッスンは相方&アルフォンスとの2頭部班、指導は久しぶりにO先生です。
「自分で配馬しといてナンだけど、またどっちを先に行かせていいか、やりにくい部班ですねー」といいつつ、アルフォンスが先頭に行くことに。アルの後ろについて蹄跡に出ます。
うっ、座骨が痛いかも。珍しく中一日で乗っているせいか、おとといやった鐙上げの痛みがまだ残ってた。

速歩から軽速歩。前のアルフォンスはなにしろニブくて脚も遅くて、おまけに歩幅も小さい馬だから、歩幅の大きいダンスくんはすぐ追いついてしまいます。前にすぐつっかかってしまうので、ダンスくんも[ねー前のヒト遅いんだけどー]と、イライラしてきたみたい。
せめて隅角を大きく回そうとして、隅角の手前で半減却を使ってから内方脚と控え手綱を使うと、左手前では割と深く通過できるのですが、右手前は全然ダメ。そう言えばこの子、左のトモが強いから右手前が苦手だったっけ。あのねダンスくん、自分が隅角浅く回っといて、前のヒト遅いんだけどーじゃないでしょ。

各個に巻き乗り、半減却から座骨で曲がらせたつもりだったけど、私の思った場所より2歩ほど進入が遅れてしまいました。おかしいなぁ、以前はもっと曲がりやすい馬だと思ってたんだけど。
私の進入が遅れたため、巻き乗りの円が前のアルフォンスと近づきすぎてしまいました。あんまり近づくと気が散る馬であることは分かっているので、強めに脚と鞭を使いながら回していたつもりだったのですが、アルと顔が並んだ瞬間にぎゅっと耳を絞ってアルをにらみ、立ち止まろうとします。この若造が、何しとんねん。年上にケンカ売るなっつーの。長鞭で強くお尻をたたいて叱ると、ぶーとした顔で前を向いて動き出しました。この辺が子供なんだよなぁ、ダンスくんは。

気がつくと、O先生が横木を馬場の中央線上に引きずり出しています。あら、部班レッスンで横木が出てくるのは久しぶりだなぁ。よく見ると、横木の横にはキャバレッティ用の台が。へー、高さつけるのかな。まぁダンスくんは、頑張ればクロスバーくらいは飛べないこともない子だけど、気に入らなかったら障害を破壊する無神経なところもあるので、ちゃんと足元見てちょうだいね。
最初は常歩で、3本横木から。横木に入る手前で拳を譲ると、これはもう3級の経路でさんざんやったので、ダンスのほうも得意げにまたぎます。次は軽速歩で行きますが、私のほうが軽速歩のまままたぐとタイミングがつかめないので、横木通過だけ速歩に落としてみます。これもさすがに、うまくまたいでくれました。知ってることはちゃんとやるねぇ、ダンスくん。しかも真っ直ぐ横木に向かってくれるのもいいところ。

ときどき、前のアルフォンスにくっついて早めに方向転換してしまい、横木に対して大きな巻き乗りのようになってしまい、真っ直ぐ向かえない角度になることがありました。これじゃダメだな、と思ってアルフォンスから4馬身くらい距離をとり、くっついていかないようにしてから、3級経路を踏んだときのように「ここだよ」とちゃんと半減却で指示してから曲がらせるようにすると、きちんと蹄跡から中央線に入るようになりました。よしよし、えらいぞ。

手前を換えながら、速歩で何度かまたいだ後、3本目に高さがつけられました。1本目と2本目は横木のまま、3本目だけキャバレッティになります。ダンスくんで高さのあるものまたぐのは(キャバレッティ程度で跳ぶとは言えない…)初めてだけど、うまくやってくれるかな。
少し前に出して、拳をゆずってまたがせると、高さのある3本目もうまくまたいでくれたよう。よしよし、と軽く愛撫して次の周回へ。数本やって常歩に落とすと、今度は先生が3本とも高さをつけています。3本キャバレッティ、うまくできるとまるでピアッフェのような動きが体験できると聞いたことがあって、やってみたいとは思っていた。モンダイはダンスくんにできるかどうかだけど。
速歩を出して、キャバレッティに向かいます。「今度は少し前進気勢をつけないとうまくまたげませんよ。前に出して、入るときは前を許して」キャバレッティに入ると、ひょっひょっと上に向かって反動が大きくなるけど、座れない反動ではない。おもしろー。1本、2本、3本目で「がこっ」。あー、横木に触っちゃったか。

何回かキャバレッティをまたぎますが、必ず3本目で「がこっ」。私が前に出せていないのが悪いんだけど、ダンスくんもこういうの気にしないタチだからなぁ。
相方のほうは、うまくまたげたらしくて「はい、じゃあこれで終わりにしましょう」と言われましたが、その後ろの私はまた「がこっ」とやってしまったもので、「うーん、もう1本、今度はうまくやってね」つまり、つまずかずにできるまでやろうねということですよね。
よーしダンスくん、今度は上手くやろうよ。中央線に入るところで鞭を使い、横木に入ってからも脚を使い続けたのですが、3本目でやっぱり「がこっ」。「あーもう少しだったのにー!」「惜しいね、じゃあもう1回。右手前のほうがやりやすいかな、右手前で入ってきて」ということで、もう1本。
右手前だと方向転換はうまくないけど、前には出しやすいかも。鞭と脚を使って前に出し、キャバレッティへ。頑張れ、頑張れと脚を使ったけど、最後の3本目にかるーくかすってしまいました。「まぁいいか、じゃあこれで手綱を伸ばして、終わりにしましょう」。

手綱を伸ばして沈静化していると、O先生がお茶目っぽく「こういうのもたまにはいいでしょ?」横木は3級経路でさんざんまたいだけど、キャバレッティやるのはかなり久しぶりで面白かった。3連続キャバレッティなんて初めてだし。それにしても、このレッスンは人馬ともに経験負けって感じだなぁ。人間のほうも、私は相方に障害の経験で負けているし、馬のほうも、一応障害が飛べるアルフォンスと何も知らないダンスくんとでは、経験に雲泥の差がある。そりゃー、経験の浅い騎手と障害を知らない馬とでは、うまく行くはずないよな。
「列へ」の号令で馬場中央へ、脚を使いながら停止(こういうときの脚は「全減却」というらしいけど、半減却との違いはよく分かっていなかったりして)。ちょっと後肢が揃っていないけど、先生に一応「はい、OK」と言ってもらえたので愛撫、下馬。馬繋場に連れて行って馬装を解除し、馬房に戻します。

お昼を食べたあと、相変わらず体調の悪いらしいロゼッタを見舞いに行くと、なんか馬房の中でバタバタしている。虫を追っているのでしょうが、前肢をガンガンやったりするのは、穏やかなロゼにしては珍しいしぐさ。近くにいたNさんが「さっきからずっとですよ」と言うので、ロゼッタなりにちょっと張ってるのかもな。
クラブハウスに戻って、「N子先生、ロゼッタがなんかイライラしてるから放牧してもいい?」と聞くと、「いいよ、でも暑いから時間見てやってね」「うーん、じゃあ16時からレッスンあるから、15時半から30分だけ」「今すぐでもいいよ、時間が短ければ。どうせ後で洗ってやりたいんでしょ? 日があるうちのほうが乾くから」さすがN子先生、よく分かってる。
馬房に戻って、無口と引き手を付けて外へ。ロゼにしては、馬房から出ようとしてずんずん歩くので、やっぱり張ってるんじゃん。と思いきや、馬場へ出る坂道を嫌がって、馬房へ戻ろうとします。あんたどっちなのよ。
いくら痩せたロゼとはいえ、馬の力で引っ張られるとけっこう危ないので、相方に替わってもらって、ロゼを馬場に放牧に出しました。

せっかく放牧に出したのに、馬房に戻りたがって仕方のないロゼッタ。やっぱり腰がよろよろしていて、かわいそうだけど、だからって運動させなかったら本当に立てなくなってしまう。心を鬼にして、引き手を振って追い立てます。
しばらくすると諦めたのか、蹄跡に出て速歩を始めました。そうすると今度は、きちんと蹄跡を踏んで、方向転換するときは斜め手前変換。砂浴びをしようとしないのが気になるけど、ときどきは駈歩もしているし、私が思うほど悪くもないのか。
20分ほどで、ロゼが飽きて常歩をはじめたころ(それもなんだか、自分から沈静化しているように見えるんだけど)、柵を外して馬場に入り、「じいさん、どうする? おうち帰る?」と声をかけると、とことこと私のところに寄ってきて立ち止まりました。

ロゼを引いて馬繋場に上がり、ぬるま湯で一通り体を洗います。最初、水洗い用のブラシで体を洗おうとしたら、ロゼがやたらとバタバタします。いつもなら銅像のようにじーっと洗われるのに、今日はなんだか避けているみたい。もしかして、ブラシがイヤなのか? と思ってブラシを捨て、手で洗ったら、だんだん落ち着いてきました。
洗っていて、トモ肉の落ちっぷりに涙が出そうになりました。誰の扱いが悪いってこともない、でももうロゼ自身が体力をつけようとしないんだもん。人間だって、年をとって骨皮ばかりに痩せてしまう人がいるけど、きっとあれと同じ状態。今ブラシを嫌がったのだって、きっと脂肪が落ちた皮膚が痛かったんだろう。こんな状態で、もう乗せてくれとは言えない。
汗こきも嫌がるようなので、ひたすらタオルで拭いてやりました。ついでに首筋をマッサージしてやると、おちんちんが伸びてきました。なんだよ、それくらいの元気があるんだったら、もっと元気になってよ。
乾かす間、嫌がるかなーと思いながらもたてがみに櫛を通してみたら、むしろ[もっとやって]という風に首を預けてきました。あとどれくらい、こいつとこうしていられるんだろう。もうそろそろ、覚悟が必要かもしれません。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)


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