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(2004.7.10 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日もいつもどおり、10時すぎに日の出へ。私が乗るのは16時なのですが、相方は11時にも乗るため、こんな時間から1日中倶楽部にいるわけですねぇ。それでも別に退屈しないところが恐ろしい。
午前中はとんでもなく暑い日差しが照りつけていたのですが、13時くらいから空が曇ってきて、ぽつぽつと雨が降り出しました。まぁこの暑さなら、ちょっとくらい雨が降っているくらいのほうが快適ってもんだ。

15時半になったので、今日の騎乗馬ロゼッタの馬房へ。今日のロゼッタは、お仕事はこの1鞍きりです。ちょっと張っているくらいのほうが、この馬はよく動いていいんだよな。
私が馬房に寄ると、ロゼは馬栓棒の上から頭を出していました。そのまま無口と引き手をつけて、馬栓棒を外そうとしましたが、ロゼが馬栓棒の上に寄りかかりっぱなしなので外せない。「じいさん、邪魔しないで」と首をつつきますが、まさに馬の耳に何とやら。ロゼの首をよいしょと持ち上げて、馬栓棒を外して引き出します。
またボロの上で寝てたよ、こいつは。白い馬体に、くすんだ緑色の汚れがべっとりついています。きっちりブラッシングして、装鞍。ふだんは汗取りのタオル、毛布、ジェルパッド、鞍の順で乗せていきますが、毛布は省略することにしました。暑いし、鞍にボアの鞍下がセットされているから、こんなに厚みを出したら馬に座骨扶助が伝わらないじゃないか。それでなくても私の扶助、弱いんだから。

時間がきたので、ロゼッタを連れて馬場に出ます。O先生が踏み台を持ってきてくれたので、補助を受けて騎乗。腹帯を締めなおしてもらったら、「もう少し締められそうなんだけど、これ以上穴がないんですよねぇ」とのこと。「あ、毛布してないんですね」「そうか、それでしたか」。毛布を使わなかった分、厚みが減ってたんだな。まぁ、どうにも緩いわけではないので、とりあえずこれでいってみることに。
この時間はダンス、ロッキー、相方のアルフォンス、私のロゼッタの4頭。このメンバーだと、先頭を切れるのはダンスだけだなぁ、と思っていたら、指導のN子先生が「じゃあ先頭アルフォンスにしよう、いっひっひ」だって。「せんせー、オニ!」「いいのいいの(笑)」先頭を切るのが大っ嫌いなアルフォンス、けっこう頑張って動かさないと膠着しちゃうんだよねー。
というわけで、ちょっと引きつり気味の相方を先頭に、ダンス、ロゼッタ、ロッキーの順で蹄跡に出ます。

速歩発進、すぐに軽速歩へ。体の小さいロゼは、一生懸命動いてもらわないと前に置いていかれるので、軽速歩のタイミングに合わせて鞭を使っていたら、けっこう前に出るようになってきました。先頭のアルフォンスがときどき止まったりするので、追いつけないどころか前がつかえるくらい。
各個に巻き乗り、止まるなよ。常歩に落ちたりするとN子先生に絶対怒られるので、内方の座骨で足りない分は鞭で補いながら動かします。よーしよしよし、何とか止まらずにすんだ。
「ロッキーは各個じゃなくていいからね、前の白い馬にくっついていきなさい」ってことはつまり、白い馬=私が下手な動きをしたら、後ろに影響するってことだ。「せーんせー、それって私にプレッシャーかけてますけどー」「なーに言ってる。あなたはこんなことでプレッシャー感じてる場合じゃないでしょ」その通りです。言ってみただけです。はい。

N子先生の号令で、速歩に落とします。座れなかったらサドルホルダーに頼るつもりだったけど、思ったより座れるな。しかもなぜか、軽速歩してるより速歩してるほうが好きかも。なんか最近、自分があんまり軽速歩が好きじゃないことに気がついてしまった。馬と自分に負担がかからなければ、ずっと速歩していたいくらいだ(実際には、けっこう負担になるので無理なんだけど)。
斜め手前変換の線上など、伸ばせるところは上体を起こして前に出していきます。またちゃんと伸びるんだよね、こいつは。
「KYOKOさんは、あと脚さえ使えればもっと馬が前に出るんだよ」とN子先生が言うのですが、きっとそれは脚でけっ飛ばせとか拍車使えとか、そういうことを言っているのではないんだと思う。ちゃんと騎座が安定して、その上で使える脚がきっとあるはずなんだ。

「アルフォンス以外、馬場の中で輪乗り。常歩で歩いてて。アルフォンス、駈歩」ということで、このパターンだと1頭ずつ蹄跡に出て駈歩ってことだな。私の前のアルフォンス、ダンスがそれぞれ駈歩をする間、私は馬場の内側で常歩。こういうとき、ロゼッタは[今は何もしなくていい]と分かるらしくて、いきなりだらけてくれます。拍車を入れても、鞭を入れても、ほとんど反応がない。
ダンスが駈歩を終わりそうだったので、次は私の番。蹄跡に出る部分だけでも速歩で出ることにしよう。でないと駈歩なんか出やしない。常歩の輪を抜けて蹄跡に向かうと、いきなり速歩が出やすくなりました。ぜったいコイツ、自分で分かってて[ここは言われてもやらなくていい][ここは言われたらやらないと]って使い分けしてるよなー。
先生がロッキーの位置を調整している(内蹄跡の常歩の輪にしっかり入れておかないと、ロッキーは釣られて駈け出す可能性が高い)ので、その間だけでも速歩。

「はいロゼッタ、駈歩」とN子先生に言われ、常歩から駈歩発進。さっき他のレッスンで、N子先生が「手綱をいちいち持ち直さない。駈歩っていうと手綱短くする人が多いんだよねー」と言っていたので、内方を軽く控える以外に手綱はいじらない、上半身は動かさない、と自分に言い聞かせながら発進。
1回目の発進はうまく伝わらなかったらしく、速歩にもならなかったのですが、1回止めて鞭を入れ、常歩から駈歩発進すると、すんなり駈歩が出ました。でも、だるそうな駈歩だなー。「鞭!」と先生に言われるまでもなく、鞭を入れて前に出していきます。
1周くらいして、ようやくスピードが乗ったかなー、と思ったとき、ほいっと踏歩転換されてしまいました。あーあ、私が外方に乗っちゃったんだな。「気にしない、そのまま行け!」反対駈歩のまま、隅角が不安でしたが(だからあんまり深く踏み込ませなかったけど)走りつづけます。
半周くらいそのまま行ったところで、ロゼがさすがに反対手前がつらくなったのか、私がたまたま内方に乗ったのか、またほいっと踏歩転換されました。しめた、これで正手前に戻った。「よし、じゃあそこで巻き乗り!」と言われ、半減脚を使った(つもり)とたん、ぱたっと常歩に落ちてしまいました。「巻き乗りっつったのに止まってどうするのー!」

すぐに駈歩発進しなおして、「よし、じゃあその空いてるとこで巻き乗り」座骨と脚を使って、手綱を控えて巻き乗り。進入はうまくいったけど、しまった、ちょっと小さく巻いたかも。ここで速歩に落とさないように、鞭を使いながら内方の座骨を強く入れます。
どうにかこうにかですが、駈歩のまま巻き乗りを終えて蹄跡に戻れました。そこからさらに半周くらいして、「よーし、じゃあ速歩」ぱたっ。「誰が常歩っつったの、速歩でしょー」「す、すいません」ほんとに停止だけは敏感なんだから。
速歩発進すると、「次の隅角で、外方しっかり持って! もっとしっかり隅角回らせなさい」そうか、外方を持てばいいのか。外方の手綱を少し張ったまま、できるだけ隅角に馬の鼻を真っ直ぐ突っ込ませ、直前くらいで内方脚と控え手綱を使います。「そうだ、今の隅角は上手い」と褒め言葉をもらい(N子先生のアメと鞭は天下一品だ)、調子に乗って次の隅角も外方の手綱を張り、深く踏み込ませます。へぇ、なんかいちいち上手くいくなぁ。
「はい、なみあーし」で常歩に落とし、内蹄跡に戻ります。隊列を組みなおし、軽速歩。おやおや、なんかロゼが自分からハミを受けて前に出ている。競馬用語で「ハミをとる」っていうのはこんな感じかしらん。せっかくロゼが気持ちよく走っているようなので、私は邪魔をしないように、拳を固めないようにしてついていきます。
「それじゃ前の3頭だけ、そのまま手綱をぜーんぶ伸ばしちゃって」ということで、ロッキー以外の3頭は軽速歩のまま手綱を伸ばして走ります。ロゼッタの場合、手綱を伸ばして走らせるとけっこう伸びるのですが、もともとハミに頼って(もたれてとも言うが)動くヤツなので、動きが不安定にもなります。隅角とか、おいおい倒れるなよ、って思うくらい。

でも手綱を伸ばしたまま、軽速歩で追っていると気持ちよく伸びるし、私も手綱に頼らないので肩や肘が窮屈じゃなくていい。どんどん走らせていて、隣の馬場で練習しているハイセイコーJRとラチ越しにすれ違ったとき、ロゼッタがいきなりJRをよけるように内へ切れ込みました。おいおい、ラチ越しなのに何やってんのよ。突然だったので、私も鞍から放り出されそうになりました。手綱は伸ばしているから頼れないし、どうするかな。ロゼもスピードを落としていたので、落ちちゃっても(というか、ほとんど下馬だけど)平気かなぁ。
いや待て、後ろにロッキーちゃんがいる。小心者のあの子をびっくりさせたら危ないから、落ちるわけにはいかないな。サドルホルダーをつかんで体を起こし、持ち直せたので、大丈夫だったかなーと思って振り返ってみると、ロッキーちゃんに乗っていた人が地面に倒れているではありませんか…。

あぁ、ロゼッタのせいでびっくりさせちゃったんだ。でも意外にもロッキーちゃんは走り回らず、その場で「何が起きたの?」という顔をしてとぼとぼ歩いています。どこかに行ってしまわないように、ロゼッタでロッキーの進路をふさぐようにしますが、あまり近づいてびっくりさせても危ないしな。見ると、ロッキーのティーディマンの金具が外れている。あれ、金具こわれちゃったのか。
「じゃあそのまま常歩で歩いててー」というN子先生の指示で、そのまま常歩。あとで周囲に聞いたら、別にロッキーが暴れたわけではなくて、ティーディマンが切れたせいだから、ロゼッタがぱたついたのとは関係ないということでした。でもティーディマンが切れるのって、よっぽど馬が首を上げたのか何かじゃないのかなぁ。やっぱりロゼッタのせいでロッキーが驚いて首を上げたんじゃないのかなぁ、と少し罪悪感。

「各個に右へ」の号令で、馬場中央に入ります。最後だからいい停止をしようと思い、手綱を持ち直して鞭を入れ、速歩が出そうなくらいに前に出します。他の2頭と並ぶ直前に半減却を使い、腰を張って停止。停止そのものはうまくいったつもりだったのですが、止まるが早いかロゼがもぞもぞ遊び始めました。
「こッの、くそじじいめっ」と鞭を入れ、もう2歩だけ前に出して停止をし直しました。「そうだ、それだっ」とN子先生が言うので、停止を褒めてもらえたのかと思ったら「その意気だっ」だって。まさか馬の叱り方について褒められるとは思わなかったなぁ(笑)。

下馬して、鐙をまとめて歩きだそうとすると、ロゼが動こうとしません。軽く手綱を引っ張ったり、舌鼓をしたりすると、1歩だけ動いたのですが、なんか動きたくなさそう。あんまり馬の顔ばっかり見てると余計動かないものなので、前を向いて手綱を引いて歩き出そうとしたら、クラブハウスのほうからI野先生の「寝るぞ、寝るぞ」という大声。
ん? と思って振り返ると、ロゼッタがまさしく膝を折って、馬場に寝っ転がろうとする瞬間でした。鞍つけたままですよ。こんなことをするのは、緊張感のない証拠。てめーふざけんなよ、と間髪入れず長靴の先で肩を蹴っ飛ばしました(傍から見てると踏んづけたように見えたそうですが)。
するとロゼ、[えーなんでダメなんだよぅ]というような恨みがましい目で私を見上げて、しぶしぶ立ち上がりました。ま、叱ったらすぐ言うことを聞くのがこいつのいいところではあるんだけど、そもそも私を無視して砂浴びしようとするのが間違ってる。相手を見てやんなさいよ、私を誰だと思ってるの。甘やかしてくれる相手じゃないわよ。

とか言いつつ、体がかゆいらしいロゼッタを濡れタオルでがしがし拭いて、念入りにブラッシングしてやったのはこの私です(笑)。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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