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(2004.6.10 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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梅雨の合間、晴れ間がのぞいた木曜日。…ん、木曜日? いや実は、ちょっと有休を消化する必要が出てきたので、仕事の立て込んでいないところを狙ってお休みにし、馬に乗ることにしたのでした。
前日にO先生に「何時が配馬しやすいですか」と問い合わせてみたら「13時が空いてるよ」ということだったので、13時の予約を入れておきました。11時過ぎ、倶楽部に到着して配馬表を見たら、あらぁほんとに私以外誰もいないわ(笑)。午前中はそれなりに混んでいたようですが、午後は見事に誰もおらず、私だけ。いやー、平日っていいなぁ。

で、記念すべき(?)200鞍目のお相手はダンスくん。普通のレッスンのつもりで予約を入れていましたが、午後は他に人いないし、馬がダンスくんでもあるし、月末に控えた3級の経路レッスンに変更してはどうか、という話になりました。
それでN子先生に聞きにいくと、「いいけど、今日は正規馬場作れないよ、O先生お休みだもん」「あー! そうか」いつもO先生に歩測で馬場を作ってもらっているのですが、その技術を持った人が今日はいません。標識だけなら自分で並べられるけど、その距離感は私には組めない。
「でもKYOKOさん、経路は大丈夫でしょ? 気になるの、あそこだけでしょ?」「はい、駈歩の巻き乗り」「じゃあさ、そこの区切った馬場(たまたま、前のレッスンで30×30程度に区切られていた)の中で、駈歩の巻き乗りみてあげるよ。それで、その前に私が馬をできるようにしといてあげるから、12時半ちょうどに馬出してきな」というわけで、13時からのレッスンのために、N子先生が30分間下乗りをしてくれることになりました。
でも私の後ろに予約が入っていないので、先生にあわててお昼休憩を切り上げてもらわなくてすむように、下乗りが13時から、そのあと適当なところで乗り変わってもらうことに。

というわけで12時半ごろ、ダンスの馬房に向かいます。さてさて、今日は馬房からちゃんと出てきてくれるかな。前に何かイヤなことでもあったのか、馬房に入って無口をかけようとすると、ぷいっとお尻を向けてしまう癖のあるダンスくん。馬房の中でお尻を向けられると、それ以上踏み込むのは危険だから、気長に待ってあげるか、食べ物で釣るか(ヘンな癖がついたらイヤなので、これはあまり使いたくないが)しかないんですよね。
昼飼いを食べ終わって、馬房の扉に顔をこすりつけたりして遊んでいたダンスくん。ゆーっくり扉を開けて、無口を見せると、「逃げよっかなー、どうしようかなー」と体半分逃げて、お尻を向けそうな素振りを見せます。でも本気で逃げたい雰囲気ではないな。本当は遊んでほしいんじゃないのかい。つかまえようと思えばつかまえることもできたけど、こういう子に焦って接しても多分ダメだろう。納得するまで待ってあげて、自分から来させないと。

馬房の入り口に立ち、「ダーンス、ダンスくん、こっちおいでー、一緒にあそぼー」と何度か声をかけると、お尻を向けようとしていたのをやめてこっちを見、顔を近づけてきました。そこでゆっくり首の左側に入ると、反抗もせず素直に無口をつけさせてくれました。よしよし、いっぱい褒めてあげよう。
馬繋場で裏堀り、ブラシかけをしていると、そこへやってきたN子先生が「おや、すぐに出せたね」だって。先生くらい毎日接している人ならすぐ出てくるらしいけど、時々しか乗らない私あたりでは、先生にこう言われてしまうくらい快挙なんですよ。(あ、もしかして先生、私がすぐに出せないだろうから助けに来てくれたのかも。)

馬場に馬を出して、N子先生に乗ってもらい、自分はクラブハウスへ。本当はこのとき、N子先生がどうやって乗っているか見ていなければいけなかったのですが、ついI野先生とおしゃべりをしてしまいました(あとでN子先生にかる〜く怒られた)。
20分くらいしてから、「もういいよー」とN子先生がダンスの上から呼ぶので、踏み台を持って馬場へ。いざまたがってみると、「あらー、この鐙、ちょっと見栄張りすぎました」「そう?」「そうって。だって私、これじゃ軽速歩とれないですぅ」。この鐙は騎乗前に私が自分の腕の長さに合わせたものだったのですが、1穴長かった。でも私とほとんど体格の変わらない先生はそのままで乗ったらしい。あー、やっぱ先生と私じゃ、鐙の長さ違うんだなー。

蹄跡に馬を出して、すこし常歩をしてから速歩に移行。最初は「軽速歩」と言われたので、軽速歩をとって、少し鞭を使いながら前に出していきます。さすがに先生が乗ってくれた直後だけあって、伸ばしやすいな。
軽速歩で4〜5周もしないうちに、「じゃあ速歩」え、もう座るんですか。まぁダンスくんはけっこう座りやすい馬だから…のはずなんだけど、今日は下乗りのおかげで動きが良いので、ストライドが大きい分動きも大きくなって、馬についていけてない私。「馬はちゃんとKYOKOさん仕様にしといたんだからね。…でもそんなにお尻が跳ねる仕様にはしてないよー!」「すいませーん! 馬が出たら座れないんですぅ」「それくらいで出てるなんて言うなー!」早くもスポ根モード突入です(笑)。

しばらく速歩で蹄跡を走ります。「はい、そこから駈歩」早っ。もうですか。半減却を使ってから、駈歩の扶助を出したつもりが速い速歩になってしまいました。そこでちょっと焦って、「シッ」と声で駈歩を出そうとすると、「『シッ』なんかじゃ出ないよ、もう出ないようにしといたもん」あら、そうですか。それは困った(苦笑)。「外方の手綱はしっかり、やわらかく。内方は拳で使うじゃなくて、中指と薬指で使うんだよ、分かった?」って、そんな難しいことを簡単に言われても…。
まぁどうにか駈歩を出して、蹄跡を駈歩。蹄跡というか、ほとんど馬の勢いに負けて、大きな輪乗りになってたけど。「拍車ばっか使うなって言ってるじゃん! 股割って、もっと座れ! 駈歩でそんなにお尻が浮く人はいないよ!」そうかと思えば、「なんでそうやって踵上げるのかなぁ!? 今度踵上げたら脚縛り付けるぞ!」と、N子先生に怒られっぱなしで駈歩を続けます。

今日は調子よく駈歩がつづくとはいうものの、基本的に軽い馬ではないので、油断すると速歩に落ちてしまいます。落ちてしまってから駈歩に戻そうと思うと、けっこう苦労する。そういうときの速歩は割とストライドが大きいので、座れていない私は座骨が安定しなくて、なかなか駈歩発進が決まらない(男性の騎乗なんか見ていると、けっこう勢いで駈歩に戻せちゃったりするみたいだけど、私にはそれだけの力やウェイトがないからなぁ)。
「常歩に落としてからでもいいから、ちゃんと駈歩っつったら駈歩にしなさい」と言われて、いったん常歩に落とすことに。これがまた、落ちないんだなぁ。ダンスくんはまだ調教中の子だから、下方移行がよく分かっていないらしいんだけど、調子よく走っていればいるほど下方移行ができない。座骨で座り込んで手綱を固めると、もうすぐ常歩、というところまでは落ちるんだけど、いつまでもだらだらとゆるい速歩のまま。
「そんなんじゃ常歩に落ちないよー、あなたが速歩のリズムだもん。こっちが常歩のリズムにならなきゃ、常歩にならないよー」はぁ、なるほどね。座骨でついていくんじゃなくて、座骨を止めるってことなのかな、と思って座骨を鞍に沈めようと思うのだけど、そうすればするほど、速歩のリズムに座骨でついていけちゃってるし(泣き笑い)。

蹄跡での駈歩から、「輪乗りに入りなさい」という指示で輪乗りに入ろうとしたら、けっこう馬が外側にふくれるというか、蹄跡に戻りたがるというか。控え手綱を使って、内側を向かせようとしますが、なかなか内に入ってこない。さっき先生が、さんざん10mの巻き乗りをやっといてくれたから(そこは見ていた)、そこに持っていけないはずはないんだけどなぁ。
「内方の拳下げないの! 内方の拳は自分の肩に向かって使うんでしょ」前にも言われたけど、自分では下げてるつもりは全然ない(少なくとも外方よりは上に置いている)んだけど、先生から見れば上げかたが足りないってことなのかな。
ちょっと時間をかけて(じゃないとできなかった)、少しずつ輪乗りをつめていきます。「そう、今これが10mだよ。体で覚えちゃいなさい」。

速歩に落としてから、「そこで半巻き」と言われたものの、馬の勢いに負けて半巻きができない。手綱を先行させて曲げるのは一番ダメなはずなので、座骨と脚で曲げようと思うのですが、馬がどんどん反抗して、鼻先だけ内側に向けたまま肩から逃げていきます。
「諦めないで半巻きしなさい」と言われるのですが、なかなか曲がっていかない。「分かった、じゃあ外方の手綱離しちゃいなさい」ええぇっ!? ちょっとドキドキしたけど、外方の手綱を一杯に伸ばすと、「それで内方控えてみなさい」おや、ようやく少し曲がった。でもやっぱり曲がりにくいには違いない。
しかも手前を換えてから、駈歩がぜんぜん出なくなってしまいました。常歩に落とすと「ちょっとサドルホルダー持ってみて。そう、外方で。そして、内方は思いっきり開いちゃいなさい」外方はサドルホルダーとの間でぴんと張るくらいにして、内方の拳を開きます。「もっと開けない? まだ手綱が馬の首についてるじゃないの」と言われるのですが、これ以上どうやって開いていいか分からないよぅ。
そのまま、「内方をカンって引いて、同時に座骨と脚使うの。それで駈歩出るはず」と言われて、内方を引いているつもりなんだけど、なかなかできない。うーん、わけが分からなくなってきた。

常歩に落として、巻き乗り。うーん、なかなか中に入ってきてくれないな。「そういうときはね、もう内方の手綱ガンと使っちゃいなさい。外方はサドルホルダー持っていいから、内方の手綱は一瞬だけガンと引っ張っていい」と言われ、外方をサドルホルダーで固めて、内方をくっと引きますが、なかなかダンスくんには伝わらない。「そんなんじゃなくて、馬がギャッていうくらい使っていいの。弱いとかえってナメられるよ。ちょっとくらい暴れたって落ちやしないから、やってみな」
「そうじゃないの、もっとガンと使っていいんだよ」と先生は言いますが、これでもガンと使ってるつもりなんどな。「も〜ぉ、なんでできないのぉ? ガンとやっていいって言ったら、やって大丈夫なの。大丈夫なときしか言わないんだから。ちょっと貸してみな」ということで、いったん下馬。
N子先生が乗り替わりながら、「あなたが負けず嫌いなのは分かるんだけど、でも何につけ『弱い』んだよねぇ」「思い切りが足りないですか」「それもだけど、脚とか座骨とか、全部弱い。ダンナさんと、あなたのその優しさを足して2で割ったらちょうどいいんだけどなぁ」と先生は言ったが、これは言葉を選んでくれていると思う。先生から見たら歯がゆくてしょうがないのかも。

乗り替わったN子先生が「ほら、こうやるの」と言って見せてくれた内方の手綱の使い方は、本当に「ガン」と内方の拳を外方の肩に向かって一瞬強く引っ張る感じ。これに比べたら、私が今までやっていた引っ張り方は「くっ」くらいでしかない。
「ほら、しかもこういう手綱には使い方があるんだよ。内方の肩が上がったときに、手綱をカンって使うの。ほら曲がるでしょ」おお、ほんとだ。「肢踏ん張ってるときに、何やったって馬は動けないよ。肢が上がってるときにやったら、さっとできる」。
「ついでだから見せたげる。ほら、こうやって出すでしょ」と、先生が駈歩を始めます。「ほら、こんだけ出したらね、手綱ちょっと引いたら詰まるの」N子先生がちょっと手綱を引くと、すっとダンスの後肢が馬体の下に引き込まれました。「すごい、トモが入った」「でしょー。で、前を許したら伸びる」また後肢が元の位置に戻り、ぽんと前に出ます。すごいな先生、こういうの緩急自在っていうのかしら。「前肢をコントロールするのは手綱、後肢のコントロールするのは脚、そしてそれが全部集まるところが座骨なんだよ」うーん、深い。

先生が下馬して、またダンスに騎乗。速歩を出して、巻き乗りに入ります。座骨、脚と使ってから、内方の拳をさっき先生がやっていたくらいの勢いで「ガン」と使います。ダンスが「うっ」という反応をして、内方を向きました。そうか、この子ってまだ内方姿勢とかがちゃんと分かっている子ではないから、これくらいやってあげないと分からないのか(余談ですが、これって真似しないほうがいいと思います。たぶん口のできている馬なら暴れるんじゃないかと思う。ダンスはまだ口ができていないんで)。
「そうだ、そしてまた真っ直ぐ向きそうになったら、同じように『ガン』って使え」内方の肩が出るところを見計らって(というか、股の下の動きを感じ計らって)またガンと手綱を引くと、ふーっと内方に入ってきます。こういう馬だったら、こういう使い方もあるのね。

「だいたい、自分の最大の問題が何か分かるでしょ?」「座骨かなぁ」「そうだ。ちゃんと股割って、座れてれば座骨が使えるはずなのに、騎座が浮いてるから使えないんだよ」。
ということで、ゆっくり速歩を出して「自分のついていける速さでいいから、速歩で座骨でついていって。サドルホルダー持ってもいい」サドルホルダーを持つと、若干お尻が浮かなくなるので、サドルホルダーの助けを借りて座ることに専念します。
座骨を馬の前肢に向かって刺すようなつもりで、動きについていっていると、ふっと馬がスムーズに前に出たときがありました。「そう、そう、今の2歩だけ上手かった」「今のが、座骨で推進できてる状態?」「そう、2歩だけね」自分でも、その2歩だけがちょっと動きが違ったなというのは分かったんです。どう説明すれば分からないんだけど、すーっと座骨が鞍に吸い付いたまま前に出る感じが、今までとちょっと違ったんですよね。3歩目からは同じだったんだけど。

ちょっと沈静化して、今日のレッスンは終了。気がついたらほとんど駈歩と速歩しかしてないや。いやー、すっごい疲れたけど、いい200鞍目になりました。
汗だくのダンスくんを洗ってあげて、たてがみもよく櫛を通してきれいにしてあげました。右前肢を洗っていると、絶対首をぐーっと曲げて、私の手元を覗き込みに来るんですよね。あぁもう、かわいいなぁ。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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