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(2004.6.5 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日の2鞍目はモンブラン。基本的には初心者用の馬なので、あの子に乗るのはなんと1年3ヶ月ぶり。あんまり久しぶりすぎて、O先生に「モンちゃんの馬装って、なにか注意事項ありましたっけ?」とか聞いてしまいました。その昔は、モンちゃん専属厩務員と言われたほどの私なのに。
何しろ初心者用ということは、馬のほうが拍車に慣れていないということなので、拍車はつけずに馬装に向かいます。

装備品を馬繋場に準備してから、馬房の扉を開けて「モーン、モンちゃん」と呼ぶと、ちょっと顔を上げましたがまた何やら下を向いてしまいます。仕方がないので馬房に踏み込んでみたら、モンは元気に自分のボロを食べていました。あーもー、ダメだっつの。
まぁ別に無口を嫌がる子ではないので、無口と引き手をつけて馬房の外へ。一番奥の馬繋場しか空いていなかったのでそこに入れましたが、ここは昼飼いの準備をする場所でもあるので、食べるのが生き甲斐のモンにとってはちょっと酷な場所だったかもな。
あれれ、モンちゃんの右前肢から血がにじんでいる。よく見せてもらうと、前肢の前膝をすりむいています。たぶん、前掻きの拍子に飼い桶か馬房の扉ですりむいたのでしょう。触ると嫌がるので、どうしようかなと思ってO先生に聞きに行くと、「あぁそうだった。じゃあちょっとオペに行きましょう」と一緒に見に行ってくれて、傷口を消毒した上から使い捨てバンテージを巻いてくれました。

蹄の裏堀り、ブラシかけをして馬装。相変わらず、馬繋場でじっとしてない馬だな。
時間が来たので、モンブランを連れて馬場へ出ます。騎乗補助をしてくださったI野先生に「モンブラン乗るの、ものすごく久しぶりですよ〜」と言うと、「そうだな、油断はするなよ」だって。モンブランは去勢以来ビビリになってしまったので、ちょっとしたことで跳ねるしな。現に昔乗っていたときには、レッスンごとに1度は跳ねられていたような。
それにしても何だろ、この鞍。装鞍のときには分からなかったのですが、座ってみると重みで沈んで、前橋が外れかけたところに釘みたいなものが見えているし、座った感じはまるで和鞍みたいに硬い(いや、和鞍に座ったことないけど)。こんなんで、この反動のきついモンブランで速歩やったら死ねるな。

O先生の指示で、ジュンヨー、ダンス、ハイセイコーJR.、コスモ、モンブランの順で馬場に出ます。コスモの後ろっていうのもまたびみょーだな。コスモがぱたぱたしてモンちゃんがつられっ跳ねするのが先か、モンちゃんが跳ねてコスモがもっとびっくりするのが先か。ま、こいつに跳ねられてもどうにか対処はできるでしょ。
常歩から速歩の号令、すぐ軽速歩にして走らせます。軽速歩でも意外と重くて、O先生に「モンブラン重いけど頑張って、今日は拍車も鞭もないけど、革長だから脚は効くはずですよ」と言われます。できれば蹴るような脚は使いたくないんだけど、こいつは普段から蹴られつけているから、脚で圧迫したくらいでは動かないらしい。でもコスモみたいにやわらかくない分、かえって軽速歩をとるのはラクかもしれない。硬いから、軽速歩の手前も分かりやすいし。

モンブランは蹄跡から外れないことが偉いと思っているらしく、隅角を深く回そうとしても、かなり反抗します。こんなもん力ずくで回そうとしてもムダだし、控え手綱なんて使っても、普段そんな扶助を使われていないんだから分からないんじゃないのか。
順次に巻き乗りでは、なんだか知らないけど内へ内へと切れ込んでいこうとするし、左手前ではそうでもないけど、右手前だとなんか内側からコスモを抜こうとするくらいに切れ込んでいきます。それを阻止しようと内方に壁を作っても、却って力で反抗してくる。こんなに扱いにくい馬だったっけなぁ。つまり右手前がキライなんだな。考えてみれば初心者レッスンの場合、基本として左手前が圧倒的に多いもんね。そう言えばトリコロールも右手前がキライだったが、あれは右目がすこし悪かったらしいからな。

速歩に落とすと、まぁ鞍が座骨に当たって痛いこと。でも昔乗ってたときよりも、目に見えてお尻が跳ねるんじゃないあたり、ちょっとは進歩したと言ってもいいのかしら…。座れていないことには違いないんだけど。レッスン前にO先生と雑談していたときに教えてもらった、「馬の反動が下がるより先に自分が座る、上がるときには上げさせる、また下がる前に自分から座る」を意識して座るようにします。馬の反動は抜くのではなく、受けるものというのは、普段からO先生が口癖のように言うこと。
各個に巻き乗りの指示で、巻き乗りに進入。蹄跡から外れたくないらしいモンブランを、無理に手綱で曲げても絶対曲がらないだろうから、座骨と脚で曲げていきます。でも結局手綱使わないと曲がってくれないみたいだけど。…っておい、どうしてここで常歩に落ちるっ!? 今けっこう、座骨で推してたよ? さっきのコスモはこれで充分だったので、すっかり同じつもりでいた。コスモだってそう軽い馬ではないし、コスモに比べてモンブランが特に重いってことはないと思うんだけど、これは重いというより頑固なのかも。

速歩で、右手前で道路側(左図でいうと馬場の左辺)を走っているとき、モンブランが突然前肢を浮かせて軽くばたつかせました。あー、やっぱりやりよったか。手綱を引かないようにしてどっしり座り込み、自分の対処はできたけど、こんなときに限って前のコスモとの距離がない。心配したとおり、コスモが後ろの気配にびっくりしてぱたぱたしていました。あーごめんねごめんねコスモちゃん。
それにしても、馬のびっくりしそうな所とか音とかって、いい加減こっちも分かってきてるので準備ができるようになってきてるのに、今のは何だったのか本当に分からなかったなぁ。ただのわがまま跳ねじゃないのかとさえ思えるぞ。

先頭から順次、駈歩の指示。モンブランで駈歩をやったことないんだけど、ずいぶんヘンな駈歩をするらしい。前肢と後肢の動きが噛み合わない不正駈歩をするそうで、「それでも左手前だと我慢して、30mくらいは正駈歩してるんだけどねー、すぐ不正に換えるね。右手前だと、3歩くらいしか我慢できないですぐ不正になるよ」とはN子先生の談。駈歩そのものは出やすいらしいけど、きちんと座って駈歩をするとすぐ不正になるんだって。何じゃそりゃ。
先頭の2頭はそれぞれ駈歩をしましたが、JRとコスモは「速歩で」という指示が出たので、これは私も駈歩ナシかな? 私の順番が来て、O先生が「ではモンブランは、はやあーし」と言った瞬間、モンブランが私の扶助を待たずに速歩を出してしまいました。さすが初心者用馬、先生の号令だけで動くなんて、むかつく〜(笑)。

隊列を組み直し、速歩でもうしばらく走ってから沈静化し、今日のレッスンは終了。午前中の騎乗とは打って変わって、自分が下手になった気分にさせてくれる1鞍でした…。

モンブランは今日はこれで終わりだということなので、足を洗ってタオルで拭き、すりむいている前膝の消毒をしなおします。脱脂綿に消毒液をつけて、傷にそっと当ててみると、軽く振り払うような仕草を見せます。O先生によると「ちょっと蹴るかもしれないから、肢巻を巻くようなふりをしてごまかしながらやってみて」ということだったので、洗った足をタオルで拭くフリをしながら、脱脂綿を当ててみると、おとなしく触らせるじゃん(笑)。傷がそんなに痛いわけじゃなくて、なんか治療めいたことをされるのがイヤなだけだったのね。傷に触らないように、傷の上から使い捨てバンテージを巻いて馬房に返しました。
そこにさっきのボロがあって、馬房に入った瞬間からじーっとそれを見ているモンブラン。食べたいらしい。相方を呼んで、「ちょっと今のうちにそのボロ取ってくれない」と頼み、モンブランを押さえたままボロを取ってもらいました。その間、「なにするんだよぅ」という顔で、ボロを取る相方の背中をうらめしそうに見るモンブラン。バカだなぁ。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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