←エンデュランス 遠乗り会・駈歩三昧
(2003.11.15〜16 山梨・大泉高原牧場フリースペース)
154鞍目→
旭
1日目のお相手、旭。いやー、やっぱ和種はいい。
土曜日の朝7時過ぎ、日の出乗馬倶楽部へ。今日と明日は、日の出乗馬倶楽部の遠乗り会。会員18名とオーナー、I野先生、K野さんの総勢21名で泊りがけの外乗をする企画です。行き先はなんと先週行ったばかりの大泉高原牧場フリースペース。何しろペンションでもあるフリースペース、この週末は日の出で貸切になります。
7時半、日の出のオーナーが運転するマイクロバスで、一路フリースペースへ。途中、高速のサービスエリアで昼食を仕入れ、フリースペースへ到着したのは11時前。フリースペースの入り口に、おかあさん(高木オーナー夫人)が出てきました。高木オーナーは馬場で下乗りをしてくれているよう。

食堂に案内され、そこで各自お弁当を食べます。この2日間で4鞍乗ることになっていますが、ここでの1鞍は30分なので、外乗30分でもないだろうと、1度に2鞍分の1時間コースで外乗に出ることになっています(つまり、1日1時間の外乗×2日で、合計2時間)。
今日は13時からの出発になっているので、フリースペースの高木オーナーとおかあさん、I野先生が配馬の打ち合わせ。あらかじめロゼッタコース(速歩班)、ロッキーコース(ちょっと駈歩ありの速歩班)、ホクトコース(がんがん駈歩班)の3班に分けてありますが、私は何を血迷ったかホクトコースに申し込んでしまいました。でも、ちょっとだけしか駈歩しないんじゃ欲求不満になりそうだし、と申し込み時点では思っていたのですが、先週のエンデュランスでまた自信がなくなっていて、速歩班に入ろうかと真剣に考えたほど。
速歩班5名、駈歩あり速歩班6名、駈歩班11名(先導馬含むので、計算が合わないのはご勘弁を)という構成ですが、まず駈歩あり速歩班が出て、間をおかずに速歩班が出ることになりました。駈歩班は全ての馬が帰ってきてから乗り替わることになっているので、速歩班が出発するのを見送り、しばし休憩タイム。

速歩班が帰ってきて、駈歩班の配馬。あらかじめ高木オーナーに「私はこの班の中でかなり下手なほうです」と自己申告したのですが、そのときは「じゃあマーベルか旭かな」と言われていました。結局配馬されたのは旭、木曽馬の牡馬です。
この子はマーベルよりもさらに背が低いし、鞍はもう当然ウェスタンなので、ホーンにつかまって踏み台なしで騎乗。座ってみると、右と左で鐙の長さが違ったので、おかあさんを呼んで直してもらいました。スタッフさんに短鞭を渡されたので、この子はどうやら重いらしい。
外に出るまで、馬場で常歩と速歩。あっちへ行きなさい、と行っても他の馬がいるほうに行こうとしたり、内にささろうとしたり、意外とわがままだな。なんか首振るし。近くにいたスタッフさんに「このヒトもしかして、ハミ持つと反抗する?」と聞いてみましたが、「いや、そんなことないんじゃないですかね」という返事。どうしても手綱を引っ張ってしまいがち(しがみつくとも言うが…)な私なんだけど、じゃあ少しは持っても大丈夫なのかしら。

駈歩班の先導は高木オーナーが務めますが、何しろ11名にもなる(フリースペースでも初めての人数とのこと)ので、中締めとしてベテランのAさん、最後尾に日の出のスタッフK野さんを配置。私は前から6番目、Aさん&ヤマトのすぐ後ろです。このコンビは先週40kmを走破したけど、けっこう足が早そうなんだよね。対して私の旭は、先週の競技を見ていても重そうだったので、ヤマトに引っ張ってもらおう。
高木オーナーの後ろについて馬場を出て、常歩でアスファルトの坂道を下ります。さらに最後尾には、ボロとりのための車がつきます。車が通れる道ってことだから、先週みたいな山道は通らないってことだな。

田んぼのまわりの、農道らしき舗装道路を速歩で。舗装された道は馬の脚にもやさしくなさそうだし、私も木曽馬のちょこまかした速歩で軽速歩をとるのは大変なので、できるだけ腰を浮かして2ポイントで進みます。さすがに下り坂は自信がないので、座って速歩。
アスファルトが切れて、舗装されていない道に入りました。けっこう調子よく速歩で進むと、目の前にちょっと丘のようになっている上り坂。あれがもし下り坂だったら、先週の10kmコースでバランスを崩して落ちそうになった坂と同じくらいだな。目の前のAさんは、私がついてきているかどうかを見ながらペースを合わせてくれていたのですが、そのせいでその前の馬から少し離れてしまいました。それでヤマトが行きたがったらしく、あらら駈歩になっちゃったよ。登り坂だし駈歩の方がラクかもなぁ、と思う間もなく、旭も勝手に駈歩に。まぁこれは抑えるまでもないだろう、とヤマトに追いつくところまでは好きに駈歩で行かせました。
坂を登りきって、前の馬が常歩になったのでヤマトも常歩に落ち、旭も常歩に。Aさんに「この馬おもしろーい、勝手に駈歩になるぅ」と言うと、「こっちが駈歩になっちゃったからなぁ」と言われましたが、前の馬に釣られて勝手に駈歩になるくらいが、外乗のときは却って安全だと思うのです。前の馬に追いつけなくて馬がパニック起こしたら危険だもん(経験済み)。この馬だったら、ひっかかって前を追い越しそうな気配は全然ないし。

軽速歩と2ポイントの速歩で、だんだん林の中へ入っていきます。やっぱりよく首振るな、この子。20分くらい速歩と常歩で進み、別荘地らしい民家も見えなくなったところで、「駈歩やるからねー」と前から声がかかります。
前の馬が順次駈歩になっていき、ヤマトが駈歩になりそうなところで私も駈歩発進。さっき軽く出たから、今度もラクに出るだろうとタカをくくっていたら、そうでもないみたい。ヤマトから4〜5馬身離れてしまったので、ちょっと焦って両方の脚でむぎゅーっと押し上げるようにすると、ようやく駈歩が出ました。旭の鞍が堅いということもあるけど、お尻を鞍に叩きつけるような駈歩になってしまう。ごめんよ旭。
前のヤマトは体も大きくて(とてもサラとは思えん)足も速く、旭は体が小さいので、なかなか追いつけない。走りながら脚を入れているつもりだけど、あんまり効いていないかも。そのうち、駈歩をやめてしまった旭、スーパー速い速歩になられても困るんだよぅ。
前にいたAさんが気がついて止まってくれて、ようやく追いつけたものの、この馬ってマジで重いぞ。

時々速歩で待ってもらいながら、出せるところでは駈歩。発進だけはできるんだけどなぁ、どうして続かないんだろう。
登り坂の途中で、「もういいやー」って感じで速歩に落ちてしまい、そうなってしまうともう、いくら脚を使っても駈歩に戻せません。後ろのライラックの鼻息がすぐ背後で聞こえて、追い越されないように駈歩に戻さなければと焦れば焦るほど出ない。最後尾から「がんばれー」とK野さんの声、「ありがと、頑張る」と返事はしたものの、やっぱり駈歩には戻せない。
ヤマトが行きたがるのを押さえながらAさんが待っていてくれなければ、前の馬を見失ってしまうところでした。ヤマトってば行きたすぎて、なんちゃってピアッフェになってる。

速歩のところで、Aさんが「手綱持ちすぎなんじゃないか? もっと緩めて前に出したほうが出るよ、こういう馬は」…あ、そっか! さっきから旭が首を振っていたのも、手綱がきつくてイヤだったんだ。馬場で乗っているのなら、「あと10センチ短く持って」と言われるような手綱の長さだったのですが、外乗用の木曽馬の場合、手綱がたるむくらいの長さでも良かったのかもしれない。
次の駈歩ポイントでは、思いきって手綱を5〜6センチ前に出してみます。おお、ちゃんと走るじゃん。しかも続くじゃん。それでもヤマトよりは足が遅いんだけど、駈歩でついていっている限りはヘンな不安はありません。
ようやく駈歩が楽しくなってきたころ、見覚えのある風景のところに来ました。あれ、もう戻って来たってことかな? 時計を見ると、もうすぐ1時間。あぁ、もう終わっちゃうのかぁ。
Aさんが振りかえって、「どう、自信がついたろ?」とニコニコしています。「うん、いかに自分が手綱に頼って乗ってるか分かりました」調教が違うと言えばそれまでなんだけど、手綱をリリースして乗る馬の動かし方、少しは分かったかもしれない。先週分かってれば、もう少しマーちゃんに上手く乗ってあげられたのになぁ。

馬場に入って下馬。スタッフさんが来て旭を連れていってくれました。この日は馬を軽く拭いて、蹄の裏堀りをするだけでいいという指示で、馬の手入れをします。それから内風呂に入って汗を流してから、炭火焼肉の夕食。ここでは高木オーナーが、インストラクターからペンションのオーナーに変身し、かいがいしく皆にゴハンを配ったり、ビールの希望を聞いたり。おかあさんもそうだけど、本当によく働く人達なんです。
ゴハンのあと、今度は露天風呂へ入って、軽く酒盛り。いやいや、こういうのが遠乗り会の醍醐味だよね。

夜の間、ずっと雨の音がしていました。雨の中で山道走るのは危険だなぁ、なんてぼんやり考えながら寝ていて、6時半頃目が覚めてみるときっちり晴れているじゃないですか。我々よっぽど日ごろの行いがいいんですねぇ(と言いながら、豪雨に降られたことがあるが)。
朝食をいただいて、予定通り10時からの外乗。高木オーナーがパジェロをかっとばして踏査に行ったところ大丈夫だというので、今日は駈歩の分量を増やすということになりました。
昨日と同じく速歩組・駈歩ありの速歩組が先に出て行き、私達は待機。ペンションの食堂でコーヒー飲んだりしていると、テラスにはI野先生とAさんの姿。ばっちりウェスタンファッションのおじさまが2人、テラスでコーヒーを飲んで談笑している光景、おいおいホントにここは日本なのかい? と、食堂の中で言っていると、Aさんが「外のほうがあったかいよ、中にいないでこっちにおいで」と言ってきたので、ちょっとテラスに出て、その光景の仲間入りをしてみました。
夜中に雨が降っていたことなんて嘘のように晴れていて、日差しもぽかぽか。これならカットソーの上にプロテクターをつけるだけで大丈夫だね、という話をしていると、かすかに遠雷が。「うわ、なんかイヤぁ〜な音がしましたね」「これから降ったらイヤだねぇ」私たちが出たらいきなり豪雨なんてそんなギャグみたいなこと、ありそうだから怖い(笑)。

そうするうちに、表から馬の蹄の音。速歩班の1班目(駈歩あり)が帰ってきたようです。あわてて表に出て、帰ってきた馬たちを出迎えます。今帰ってきた班の中には、私の乗る馬はいないみたい。おおむね昨日と同じ馬に乗るみたいなので、たぶん旭だと思うんだけど。
帰ってきた人たち、ふだん馬場でそんなに駈歩をしていない人たちも今日はずいぶん駈歩ができたみたいで、「楽しかったの〜」と涙ぐんでいる人さえいました。あぁ、外乗ってこれだよな。ただ駈歩が楽しい、それでいいじゃないの。
高木オーナーが先導馬として乗っているペガサスから下馬し、「Aさん、ちょっとこれ乗ってみ」とAさんを乗せました。ペガサスのハミはちゃんとウェスタンなので、引っ張ったら動かないんだろうなぁ。Aさんもかなり手綱ゆるゆるで乗っているみたいだけど、高木オーナーは本当のウェスタンができる人だから、乗り方がまるで違う。そのあとペガサスに再騎乗して、「こんな馬場の中やったら、手綱持たんで駈歩してもどこも行かんよ」と、本当に手綱から手を離して駈歩をやってみせてくれました。すげー。
もう1班も帰ってきて馬が揃ったので、私たち駈歩班が騎乗します。私は最初、旭に乗る予定だったのですが、高木オーナーから「やっぱりマーベル乗ろか」と言われ、「やったー!」と思わずガッツポーズ。少なくとも10kmをともにした馬、他の馬よりは分かってるし。私が昨日旭で駈歩を持続できなかったことと、私がマーちゃんにめろめろなことを知っているオーナーの心遣いだったかもしれません。

マーちゃんに騎乗して、馬場の中を常歩で動かします。馬場の中で、指示されたとおりに隊列を整えていきます。今日は11頭のうち、前半を重めの馬、後半を軽めの馬にするよ、ということで、自然発生的に前半は女性陣、後半は男性陣と分かれました。私は先導馬を入れて5頭目。目の前はKさんの乗る旭です。
この隊列で、さっそく馬場を出て外へ。今日は昨日と違うコースだということでしたが、途中までは昨日と同じアスファルトの道。昨日と同じく、2ポイントをとりながら速歩で行きます。私の前が旭、その前がAlmo夫人の乗るビリーだったんですが、ビリーの歩様が明らかにおかしい。なんか右後肢が異様に内向してて、そのせいで右後肢の動きもおかしいような。これで外乗に出ていいのか? と心配になるほどなのですが、この馬はさっきおかあさんが先導に使っていたくらいだから、もともとこういう歩様なのかなぁ。横断歩道を渡るために一時停止して、隊列が縮まったときにKさんとAlmo夫人にそう言ってみると、Almo夫人はあらかじめ「この子歩様おかしいから」と言われていたとのこと。あとで聞くところによると、ビリーはケガでそんな脚になってしまって、ふだんは引き馬にしか使わない馬なんだそうです。「そんなになっても出されないで使ってもらえる馬って幸せだよね」と、Almo夫人も言っていました。

田んぼ周りの農道を速歩で抜け、別荘の間を抜けて林の中へ。つまみ食い帝王であるマーちゃんは、林の下草をチラ見していますが、その癖は知ってるから道草は食わせてあげないよ。反対側のハミを軽く引くと、すぐ諦めているみたい。ま、走っている間に食べるなんて技は持っていなさそうだし。
この辺でもう、駈歩の合図がかかりました。昨日よりずいぶん早いな、おい。昨日の教訓を活かして、今日は駈歩になる前にすこし手綱をゆるめておきます。前の馬につられて駈歩になろうとするとき、マーちゃんがぐんと手綱をひっぱりました。あ、わかった、ここで譲ってあげないと駈歩出せないんだね。軽く譲ると、簡単に駈歩が出ました。わはは、ほとんど脚使ってないぞ。
マーちゃんもそんなに軽い馬ではないので、前の馬に追いついたりすると「もういいかな?」って感じで速歩に落ちてしまうのですが、そこから駈歩に戻すのはすこぶる簡単。舌鼓か、蹴るかで駈歩に戻ります。私の前のKさんは、私が重くて駈歩を持続できなかった旭で、止まることなく駈歩しています。さすがだわぁ。
速歩ではぜんぜんついてきていなかったライラック、昨日もそうだったけど駈歩だと急に調子が出るらしく、いきなり追いついてきました。またライラックの鼻息がすぐ背後に聞こえるけど、今日は抜かれそうな気配はありません。

先頭のペガサスと2番手のミルキーは足が速くて、ときどき3番手のビリーが追いつけなくなっています。私はそのお陰で、前から離されなくて済んでいるけど。先頭が速歩になったので駈歩で追いついたと思うと、また駈歩になります。ただ追いつかせるために速歩に落としただけなのらしい。もう、できるところは全部駈歩! って感じで、よほどの急カーブや下り坂でなければ、全て駈歩で走り抜けます。こんなにぶっつづけで駈歩したの、初めてかもしれない。
不思議なもので、ずっと駈歩しているとこの反動が普通になって、速歩だとつらく感じるようになっていくんですね。駈歩しながら、まわりの風景を見る余裕も出てきました。こうなると何か、ナチュラルハイに入ってしまいそう。うわはは、駈歩おもしろいぞ。
昨日と違ってぶっつづけで駈歩している分、1時間コースでも長い距離を走れるから、昨日と違うところを走っているようです。ときどきはアスファルトの道があらわれて、さすがにそういう固いところは速歩に落とすのですが、2頭前のビリーったらアスファルトの上でも駈歩しようとしてる。それにつられてマーちゃんも駈歩しようとしていて、おいおい、ここでは駈歩やめようよ。アスファルトの道はすぐ切れて、舗装なしの道になったので、また安心して駈けさせます。

だいぶ走り続けて、林を抜けて田んぼのそばの農道に出ました。なぜかそこに、カメラをかまえた女の人がいます。日の出の人がここまで撮影に来たのかな? でも日の出にいたかなあんな人、と思ってよく見ると、知らないおばさん。近所の人だと思うのですが、ほんとに珍しがって写真を撮ろうとしているみたい。そりゃ、11頭の馬の団体なんて、そう滅多に見られたもんじゃないですな。
また林の中に入り、さらに駈歩。少し速歩に落とす率が増えてきて、風景が見覚えのあるものになってきました。そろそろ1時間経つし、終了かな。アスファルトの道へ出ると、そこはもうフリースペースの目の前。道路を渡って坂道を上り、フリースペースの馬場へ到着。
1時間のうち、40分以上は駈歩だったんじゃないかと思うのですが、楽しかった。素直にこんなに楽しかったのは久しぶりです。

下馬してマーちゃんを馬繋場へ連れて行く途中、マーちゃんが急いで道草を食いました。まぁ良かろう、行程中には我慢したからね。馬繋場につないで、濡れタオルで馬体を拭きます。スーパーホースのマーちゃんはそんなに疲れた様子はないのですが、やっぱり鞍の下とかたてがみの下は汗でびっちょりでした。あとを乾いたタオルで拭き、ブラシをかけて蹄の裏掘り。あとはスタッフさんにお任せして、おかあさんの作ってくれたカレーで昼食。
汗をかいたし、せっかくなのでもう1度露天風呂へ。それから馬場でみんなで記念撮影をし、バスに乗り込んで日の出への帰路につきます。ほんと、楽しかった。

マーベル
2日目のお相手は愛しのマーベル。いやん、もうめろめろ。

トーマス
相方の2日目のお相手、トーマス。一度見たら忘れませんわ。
誰かが「羽子板で負けた模様」って言ってた

看板ポニー
いつも馬場の隅につながれているらしい、看板ポニー。
もしかしたらミニチュアホースかな? ぬいぐるみみたい。

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