| ←449鞍目 | 外乗・ハナを切る (ってアリですか!?) (2007.11.4 山梨・大泉高原牧場フリースペース) |
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![]() 昔、日の出のクラブ所有馬だったころは物見が激しかったホクト。今は引き馬や撮影にも使えるっていうんですから、変われば変わるものですねぇ。 |
今週末は、乗馬クラブ兼ペンション、フリースペースに1泊して外乗。6人で行ったので、馬の数や経験差を考慮して、相方とわたし2人、それ以外の4人で別グループになって出ることになっています。 前夜の食事どき、フリースペースのおかあさんと配馬の話になり、「おふたりはブラックとホクトかな」と言われました。ブラックはちょっと駈歩発進にクセがあるうえに物見する馬なので、お客さんにはほとんど出さないらしいのですが、わたしは一度乗せてもらってけっこうおもしろかった馬。ホクトは、以前日の出からフリースペースに売却した馬で、日の出にいたころは若くて元気が有り余っていた&物見が激しくて挙動不審だったのですが、フリースペースに行ってからは落ち着いたらしく、子どもの引き馬や撮影にも使える馬になったそう。 「ブラックもいいけど、ホクト乗ったことないから乗りたい」と主張すると、あっさりOKが出て、わたしはホクトで外乗に出ることになりました。日の出にいたころは怖くて乗ったことのない馬に、外乗で乗れるなんておもしろいなぁ。 翌朝、朝食をいただいてから歯を磨いていると、廊下からおかあさんの呼ぶ声がします。何度も通っているこのクラブではスタッフ同然なので、何か手伝うことでもあるかと思ってキャップをかぶって表へ出ると、「ちょっとブラック乗って。外に行く前に動かしときたいんや」ということ。 乗るのはもちろんやぶさかではないのですが、チャップス、グローブ、メットが全部車の中で、車のカギを持っている相方はまだ部屋で準備中。まあキャップはかぶっているし、チャップスやグローブなしでも乗れることは乗れるだろうと腹をくくり、乗ることにしました。 鞍がウエスタンなので、自分で腹帯や鐙を調整することができず、スタッフさんに手伝ってもらい、騎乗。ティーディマンがつけられていましたが、Tオーナーが「馬場のなかでは要らんよ」と言うので、ティーディマンはハミに通さずに乗ります。 常歩を少しやって、速歩に移行。前に馬場で乗ったときは、隅角に行くとワガママして止まったり、内に切れ込んだりした記憶がありますが、今日はあんまりそんな気配がない。ティーディマン着けてないのに、外方の拳をかっちり持ってやったら、それなりに受けてきてるし。 「すぐ駈歩してもええぞ、昨日も動かしとる」とTオーナーに言われ、駈歩発進。ありゃ、ちょっと出にくいか。Tオーナーに短鞭を渡され、発進するとすぐに出ました。少し外方にふくれるので外方拳をきっちり持つ必要はあるけど、乗りにくさは感じません。 「どや?」と言うTオーナーに、「前より乗りやすくなってない?」と答えると「そやろ? 最近オレしか乗っとらん」…って、やっぱりお客さん乗せてないんだ(笑)。 しばらく乗っているうちに、ようやく準備のできた相方が出てきたので、乗り代わってもらいました。車からメットやチャップス、グローブを出してもらって装着している間に、ホクトが馬場に連れ出されてきました。ホクちゃん、今日も困った顔してかわいいねぇ。 騎乗して、馬場のなかでブラックの後ろで速歩。先導のTオーナーもペガサスに乗り、「ほな行くで〜」と、3騎でコースへ出ました。 天気は上々、舗装された農道をカッカッと音立てて速歩で進むと、「富士山見えるで」。そう言われて見ると、八ヶ岳連峰よりもまだ高く、雲の上に富士山の頭が浮かんでいます。ふもとの方は霧でかすんで消えていて、頭だけぼうっと空に浮かぶさまは、まるで山の幽霊みたい。 農道を進むと、畑のなかでトラクター(耕運機?)が動いています。ああいう動きと音は、物見する馬にはキツいなぁ、と思って見ると、相方の乗るブラックはやっぱりビクビクしています。でもわたしのホクトは、気にしてはいるもののビクついている感じではありません。大人になったんだねぇ、ホクちゃん。 農道を抜けて、いつもの林道に入ります。コースの脇を流れていた小さな沢が、コンクリートで整備されていたのは寂しい限り。ホクちゃん、速歩でもけっこう早くて、前のブラックのお尻にぴったりくっついてしまいます。知らんで、蹴られてびっくりしても。 林の急カーブを曲がると、そろそろ駈歩をするところだと覚えているので、ホクちゃんが走りたがっている感じ。まぁまぁ、もうちょっと待ちなさいよ。 「ここ曲がったら、速歩から駈歩するけど、ブラックは駈歩出すとき絶対蹴るから、ホクトあんまり近づけたらアカンで。ホクトは駈歩速いからな、抑えて行け。前傾したら突っ走るで」とTオーナーが言うので、「あたし馬場乗りだから、前傾の駈歩なんかできませんよ〜」と返事したら、間にいる相方が「モンキー乗りできるくせに」とかなんとか言っていました(笑)。いやいや、あれは木馬だからね。 前についていきたがるホクトを抑えつつ、前が駈歩になるのを待ちます。と、やっぱりブラックが2度ほど後肢を蹴り上げ、ホクトは少しびっくりしたようだったけど、そのまま駈歩発進。先頭から「大丈夫かー」とTオーナーの声がしたので、相方と2人して「問題ありませ〜ん」と返事。相方もわたしも、この程度の跳ねなら慣れている。 確かにホクトの駈歩は速いし、しかも力があるので、どうやったってブラックを抜きにかかりそうになります。いっそ速歩にしとくか、と駈歩を出さずに前についていくと、トロッター系のホクトは速歩もかなり速くて、前2頭が駈歩してるのに速歩でついていけてる。 思わず大笑いしていると、相方が気がついて「なんで速歩なの」と言い、「だってついていけるんだもん。じゃあ駈歩するよ」と駈歩発進すると、簡単に駈歩に。トロッターは本来速歩のほうが得意だと聞いているのに、この子は日の出にいたころから駈歩が割と得意です。 その会話を聞きつけたTオーナー、「ホクト先頭行くか?」と言い出しました。「は!?」「先頭のほうが駈歩しやすいで」「いやそういうことじゃなくって! あたし道分かんないし!」「大丈夫大丈夫、後ろから言うたる」 ここでいつまでもゴネてるのも男らしくないので(あれ?)、覚悟を決めて先頭へ。「抑えていけよ〜」って、ホクちゃんの駈歩、あたしじゃよう抑えんから! 行けるところまでは速歩で行きましたが、あんまり抑えっぱなしでもかわいそうなので、見通しがいいところで駈歩にしました。あらホクちゃん、嬉しそうに走るねぇ。 自分の前に馬がいない状態で林道を駆け抜けるのは、めちゃくちゃ楽しい反面、うっかり道路に飛び出してしまったらどうしようとヒヤヒヤもの。このコースを走るのはもう6〜7回目だけど、いつも後ろをついて走っていただけだし、極端な方向音痴のわたしがそれで道を覚えているわけがない。 わたしのアヤシイ方向感覚でも、そろそろクラブが近いから道路に出ちゃうかな? と思ったあたりで、行く手に対抗馬が見えました。どうやらおかあさんが、他の初心者グループを先導してきたよう。とりあえず馬を止めます。 ちょうど分かれ道になっているところで、Tオーナーが「オレらが走ったら向こうの馬びっくりするから、ちょっと止めて待とう」というので、この機会にもとの順番に戻してもらいました。こ2ら先は道路とか別荘とか通るしね。楽しかったけど、やっぱり先頭は怖いですよ、いくらなんでも。 そんな感じでクラブに帰ってくると、「ちょっと飛ばしすぎたか。50分で帰ってきてしもた」「まぁいいですよ、最初に馬場でもけっこう乗ったもん」。相方の乗ったブラックはこれで終わりなので、馬繋場へ。馬をつないで戻ってきた相方に、Tオーナーが「どや、ペガサス乗ってみるか」と言っています。 ペガちゃんはかなりワガママで、外乗ではTオーナーしか乗ったことのない馬。でも、Tオーナーによると乗り心地はものすごくいいそうで、「馬場の中ならわがまませぇへん」ということで、乗せてもらった相方が「あ、乗りやすい」とか言ってる。 いいなぁ、とホクトの背中から見ていると、「変わるか?」とオーナー。うん、ペガちゃんも乗ってみたい。下馬した相方と馬を取り替え、ペガサスにまたがらせてもらいました。 ペガサスは手頃な大きさのクオーターで、ウエスタンのハミが入っていて革手綱は輪になっておらず、長いひもが2本、といった感じのもの。それをゆるめに持って、まずは速歩。あら、正半撞でも乗りやすいんじゃないかい。 Tオーナーが「オレがここにおるから大丈夫や、駈歩してみ」と言うので、駈歩発進。ふわっと駈歩が出て、しかもなんという半撞のラクさ。「なんだこれ、馬場踏みたい! Tさん、こんないい馬乗ってんの!?」と思わず失礼なことを言ってしまい、スタッフさんに笑われてしまいました。 いやこれは、冗談抜きに乗りやすいですよ。「そやろ? 駈歩伸ばすのも詰めるのも簡単やしな」もちろん、Tオーナーがさんざん乗った後だし、そこにTオーナーがいるからわがままもしないんだろうけど。 速歩をしていると、やっぱりワガママの片鱗が見えてきました。ペガちゃんは自分の行きたい方に行く馬らしく、内側への切れ込み防止に置いてある踏み台なんて蹴っ飛ばして歩きます。しかも突然ピタ止まりするので、手綱の余りを鞭代わりに振り回して叱っても、[あ、そ。しょうがないな、行ってやるよ]程度の反応しかしません。こりゃ面白いけど、確かにエンデュランスの距離を乗るとなると、相当手強いな。O先生がくじけそうになったっていうのも分かるわ。 そろそろ第2陣の人馬が揃い、自然にわたしが先導馬のようになって馬場を周回します。おかあさんが「そのまま外行くか? 大丈夫大丈夫、ペガは外のほうがワガママせんから」なんて言ってからかうので、「うそや、ゼッタイうそや。Tさん、そろそろ代わってぇ〜」とTオーナーを呼びつけ、代わってもらいました。 第2陣の4人も、外乗を楽しんで帰ってきて、ついでにフリースペース内の露天風呂も楽しんで、帰路につきました。相変わらず面白いです、フリースペースは。…っていうか、Tさんとおかあさんのほうが、わたしらが来ると面白がってるかも(笑)。 |
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![]() 書き割りみたいな空ですね。富士山も見えてたし。 お尻だけ見えてるのがペガサス、続いてブラック、最後がホクト。やっぱりホクちゃん、頭高いぞ。 |
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