←188鞍目 189鞍目・彼の季節
(2004.5.3 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
190鞍目→
連休の中日、今日は一日スタッフとして朝8時に日の出へ。早朝から馬房掃除や馬場のボロとり、お客さんの騎乗や手入れの手伝い(っていうか指導に近い)をして、報酬として1鞍タダで乗せてもらえることになっています。どうせ普段から「準スタッフ」と呼ばれているくらい、倶楽部の仕事は手伝っているんだけどね(笑)。

13時からアルフォンスに乗ることになりました。前に誰も乗っていないので、下乗りも兼ねているな、この配馬は。
12時半過ぎにアルフォンスの馬房へ。とっくに昼飼いは食べ終わっていたので、「こぞう、仕事だよー」と声をかけながら中へ。無口をつけて馬繋場に出します(ここらへんの一連の動作がスムーズになったことだ…アルが噛まなくなったから)。
蹄の裏掘り、ブラシかけをしてから装鞍。この時期、敏感肌のアル(似合わねー!)は虫を気にし始めるので、噛まれるよりも蹴られる心配のほうをしなくてはいけません。しかも皮膚をしじゅうぶるぶるさせているので、汗取りタオルと毛布をかけたあとにぐずぐずしていると、すぐずれてしまうんです。「ぶるぶるしないでー」と言いながら装鞍しているけど、アルにそんなことできるわけない。

時間が来たので、アルを連れて馬場へ。馬場の中央で停止し、アルが虫を気にするので蹴られないように注意しながら腹帯を締め直します。踏み台を持ってきてもらい、騎乗。
まわりはまだ騎乗準備ができていなかったので、とりあえず蹄跡にでることにしました。けど、アルって1頭で出そうとするイヤがって、めちゃくちゃ反抗するんだよなぁ。
とにかく脚で前に出そうとすると、1歩だけ前に出たところでびたっと膠着し、それでも前に出そうとすると後肢から逃げはじめ、挙句にその場で後肢旋回のよーにぐるぐる周りはじめます。もー、あんたってどうしてそうなのよ。
完全に行きたい方向と反対を向いてしまったので、もう一度思いっきり内方脚をぐりぐり入れて回らせ、行きたい方向に向かせたところで鞭を2発ほど入れます。それから手綱を軽くして上体を後ろに倒し、思いっきり座骨で推すと、素直に蹄跡に向かって歩き始めました。あら、素直じゃない。いつもならここで反抗して後退しはじめるのに。

他馬にくっつかずに蹄跡に出られただけでもびっくりなのに(レベル低ぅ)、蹄跡に出て常歩で歩かせると、けっこうちゃんと歩くじゃん。軽く鞭を入れれば、すぐ速歩が出そう。ふだんなら、ここで脚でどっかり蹴らないと速歩が出ないくらい重いのに、今日はずいぶん調子がいいぞ。
他の馬も徐々に準備が出来始め、蹄跡に出てきました。あれ、後ろにS田さんのコスモがついてくる。あー、アルは真後ろに馬がいると膠着しちゃうんだよな、追いつかれないうちに頑張って歩かせないと。
後ろの馬との距離がだいたい1馬身を切ると、アルフォンスは膠着するんですが、今日は止まらない。一瞬だけ気にするそぶりを見せましたが、そこで軽く鞭をくれて前に出すと、あとはさっさと歩いている。うわーどうしたのアル、先頭が切れるなんて。そろそろお前の季節が来たか? 例年、春の終わりごろから梅雨明けぐらいまで、異常に調子いいときあるよねぇ、お前。

ギャラリーも「どうしたの、アルフォンスが先頭切ってるよー」と驚きの声を上げる中、O先生も「せっかくですからアルフォンス、このまま先頭行ってみましょうか」と言います。ですよねぇ、こんなに動くアルを他馬の後ろにつけてしまうなんてもったいない。アルフォンスの後ろにコスモ、ハイセイコーJR、ロッキーとついてきて、そのまま部班レッスン開始。
「では常歩のまま、各個に巻き乗ーり」で、巻き乗りに入ったところまでは良かったんですが、そこでアルフォンスがびたっと膠着。あー、気がついちゃった? 何でか知らないけど、各個に巻き乗りすると必ず「自分の前に他の馬がいない!」と思うらしく、びたっと止まっちゃうんだよね。
「はーい、じゃあコスモ先頭で」「O先生、早っ! そんなに早く見限らないでくださいぃ」と泣き声を出してみても「ダメダメ、今日はスタッフだから厳しくいくの」だそうです。というわけで、ここで2番騎に変更。

「それでは始めましょう。気を付け、速あーし」で、速歩に移行。お、スムーズに出たな。軽速歩のタイミングに合わせて、内方のトモ足が出るときに鞭を入れて走らせていくと、どんどん前に出る。いい感じじゃないか。
腰の調子が悪くてスピードの出ないコスモの後ろだと、コスモのお尻を突っつきそうになる。S田さんもそれに気がついたらしくて、内蹄跡を通ったりしてショートカットしてくれているので、私はその好意を無にしないように、できるだけ隅角も大回り。
「うん、それくらい出していれば先頭のままいけたでしょうね。さっきのは、あれでもう少しだったんですよ」とO先生。うーん、速歩でならこのくらい出せるけど、常歩で馬を前に出すってことは難しいなぁ。

順次に巻き乗り、速歩に落として動かします。巻き乗りだと止まりやすい馬だけど、巻き乗りでの推進、だいぶ分かってきたぞ。今までアルフォンスに巻き乗りで止まられていたのは、私の推進の仕方が全然この子に伝わってなかったんだ。座骨できちんと推せていれば、脚も鞭もそんなに使わなくて良かったんだな。
「ではアルフォンス気をつけてねー、各個に、巻き乗ーり」はい、気をつけて推進して、巻き乗り、と。あれっ。「各個だって言ってるじゃないですかー」とS田さんからツッコミ。うわー、各個だって聞こえていたのに、推進することに夢中になって順次に巻き乗りやっちゃった。
「教官の言うこと聞いちゃぁいないですねー」とO先生にも茶化され、「うわー、すみませんすみません、決してそんなつもりでは! あぁっ、しかも右手前だし!」ちょっと前、ジュンちゃんの勢いに負けて右手前の巻き乗りができず、結果的にO先生の号令を無視した形になってしまった前科もあったりして…とほほ。

常歩から、「では全頭、無理はしなくていいですから鐙を上げて」うげ。アルフォンスでの鐙上げ、速歩だと座れないから落ちそうになるんだよねー。と思っていたら、鐙上げは常歩だけでした。鐙を履いて、速歩から軽速歩。そこから輪乗りの指示で、コスモの後ろについて輪乗りに入ります。
あれ、私の前のS田さんが速歩に落としている。あれ、輪乗りは速歩だったかしら。巻き乗りや半巻きは速歩に落とすんだけど、輪乗りは軽速歩のままでも良かったと思うんだけどなー。でも前がやっているので、速歩に落として輪乗り。
私はアルフォンスの反動がかなり苦手なのですが(というと、「誰だって苦手だよ」と誰かに言われたっけな。反動が硬いわけではないけど高い)、輪乗りで座ってみると、内方の推進が軽速歩よりイメージしやすいかも。
「では輪乗りをつめていきましょう。できるだけ脚で」内方の拳を、自分の外方の肩に向かって軽く控え、あんまり内方脚で押し出さないように、外方脚も強めに押さえます。そうやって少しずつつめていき、今度は「では輪乗りを開いて」これは簡単、前のコスモよりもすこしずつ外め外めを走らせれば自然に輪乗りが開くから(先頭のほうが大変だと思うけどね)。

後半、ふと気がつくと、前でコスモに乗っているS田さんがずっと速歩をしています。あれー、今は軽速歩だったと思うんだけどな、と思いましたが、どうもS田さんは自分でやりたいから速歩に落としているらしい。
なぜかここで、むらむらと対抗意識が燃えてきた私。負けないぞー、とアルフォンスで速歩。どうせ今日はこの1鞍しか乗らないし、このあとずっと速歩で頑張ってやろうじゃないの。
よくよく考えてみたら、アルフォンスで座るよりコスモで座るほうがずっとずっと楽だから、勝負にもなんにもならないんですが(笑)、この場ではすっかりそんなことは忘れている。ほとんど意地になって座ってみます。
アルフォンスの速歩、スピードがぜんぜん出ていない速歩だとうそみたいに座れるんですが、そんなもんで座れても意味がない。ちゃんと前に出した上で座れないと。アルフォンスの反動はきついのでバランスを崩して前傾してしまうことがあるんですが、するとアルったらまるで前傾センサーがついているみたいに膠着してくれるので、油断はできない。
ずっと速歩で反動をとっていると、たまーに「あっ、反動受けられた」と思うことがあるんですが、10歩と続かない。でもおもしろいな、やってみるもんだな。
迷惑だったのは後ろの2騎で、軽速歩の指示が出ているのに先頭2頭が速歩しているから、どっちを信じていいのか迷わせてしまったようです。すみませぬ。

時間がきたので、少し沈静化してレッスン終了。今日は駈歩なしでした。今日のアルフォンスはよく動いていたから、駈歩も出しやすかったかもしれないな。ま、それは次にしよう。
中央に馬を並べて挨拶、馬を愛撫して下馬しようとしているとO先生が来て、「いつも言ってるけど、つま先もっと内側だって! もう、この脚にギブスつけてやりたい」と言われました。うーん、自分でも最近は気にして乗っているつもりなんだけど、私もギブスがあるなら欲しいですぅ。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

←188鞍目 190鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop